物語という名のパラレルワールド ~なるほど、このシーンからはじまるのか~ | 夢はなくとも 希望はなくとも 

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「“アレ”、もう読んだ?」image

 

 

会場に入って席に着くなり、僕はいきなりそう聞かれた。

 

このタイミングで、挨拶以外の会話が始まること自体が珍しい。

 

帰り際に雑談程度の会話をすることは何度かあったが、今まで始まる前に言葉を交わしたことはあまりない。

 

それが、この時ばかりは様子が違っていた。

 

そこから雑談が始まったのだ。

 

しかも、向こうから。

 

それも、話したくて仕方がないといった様子で。

 

「“アレ”、もう読んだ?」

 

珍しいこともあるものだと思ったが、その理由を僕は知っていた。

 

「いや、まだ読んでないんですよ」

 

それは、まだ発売になっていない本のことについてだった。

 

「そういえば、出版社さんで直接受け取られてましたね」

 

その本の著者さんよりも一足先に、出版社さんで本を受け取っている様子がSNSの投稿で上がっているのを見たことがあったのだ。

 

―なるほど、その本をすでに読み終えて、それが相当面白かったってことだな。

 

そう思った僕の予想は、間違いではなかったようだ。

 

「いやー、ほんと面白かったですよ」

 

それはまるで、哀川翔が新種のカブトムシでも見つけてきたかのようだった。

 

目をキラキラとさせて、それがいかに面白かったかを語り始めたのだ。

 

そして、最後は実感を込めてこう締めくくった。

 

「やっぱり実話は強いわ」

 

 

僕は、毎月大阪で開催されている雲黒斎さんのトークイベントの会場に来ていた。

 

(雲黒斎さんは、「あの世に聞いたこの世に仕組み」や「極楽飯店」、「ラブ、安堵、ピース」といった本を書かれたベストセラー作家さんです)

 

その日は、自分のトークイベントの日でもあった。

 

日中に、自分のトークイベントの開催を終えて、その足で雲黒斎さんの夜のトークイベントに参加したのだ。

 

その会場で、受付を済ませて席に着いた僕に、黒斎さんはこう話しかけてきた。

 

「上さま、泰三さんの本もう読んだ?」

 

僕は、その時点ではまだ読んでいなかった。

 

いや、読んでいなかったというのは正確ではない。

 

正しくは、“まだ届いていなかった”のだ。

 

その数週間前、僕は東京で泰三さん本人に会う機会があった。

 

話題は勿論、泰三さんの新刊についてのことが多かったように記憶している。

 

その時に、泰三さんから、

 

「上さまにも、本送るね」

 

と言っていただいていた。

 

僕は、泰三さんの本が届くのを今か今かと待ちわびていた。

 

しかし、黒斎さんのトークイベントに参加した時点では、まだ僕の手元には“届いていなかった”のだ。

 

だから、僕はこう答えるしかなかった。

 

「いや、まだ読んでないんですよね」

 

僕がまだ読んでいなかったので、それ以上話しても仕方がないということでそこで会話が終わってもよさそうなものなのだが。

 

黒斎さんは、僕が読んでいようが読んでいなかろうが、そんなことは一切関係ないといった様子でそのまま話しを続けた。

 

「ああ、そうなんですか。いやほんと面白かったですよ」

 

こんな風に、黒斎さんが話すのも珍しかった。

 

今まで、幾度となくトークイベント内で本の紹介をされてきたのを僕も聞いたことがある。

 

それでも、ここまで絶賛された本は今までなかったのではないか?

 

そう感じさせるほど、実に楽しそうに語るのである。

 

「こういうの好きだわ。ほんと口が悪くて」

 

「んふっ……」

 

思わず声が漏れる。

 

口が悪いて……。

 

口が悪いところが面白いって……。

 

そうは思ったが、それについては僕も同感である。

 

以前、泰三さんの本のそで部分がSNS上で紹介されているのを見たことがある。

 

そこには、こう書かれてあった。

 

「いくら俺が自己啓発の作家だからといって、この世界は愛だの感謝だので済ますと思うなよ」

 

それを見た瞬間、同じように、

 

「んふっ!」

 

っと声が漏れてしまったことを思い出す。

 

なるほど、これと似たフレーズが全編に渡って散りばめられているわけか。

 

それもそのはず。

 

他の誰でもない泰三さんが自ら執筆した新刊なのだ。

 

全編を通して泰三節が繰り広げられていないわけがない。

 

むしろ、そこが一番の読みたいポイントだったりもするのだ。

 

僕は黒斎さんのその反応を見て、より一層早く読みたいという衝動に駆られた。

 

一刻も早く泰三さんの新刊を読みたい。

 

あと数日もすれば、僕の手元にも届いているはずだということはわかっていても、その期待値はどんどん増すばかりだった。

 

そして、黒斎さんは最後にこう締めくくって、僕の衝動にさらに拍車をかけた。

 

「やっぱり、実話には勝てないよね」

 

そう。

 

それは、どこまでもフィクションのようであって、まさかの実話なのだ。

 

 

「また台風が来てるのか……」

 

僕はその日、大阪で仕事を終え天満橋駅から京阪電車に乗って帰宅した。

 

どうやら、また台風が日本列島に近付いているらしい。

 

予報では、翌日に上陸して、真夜中から明け方ころまでには近畿地方を抜けるということだった。

 

大阪で仕事がある日に台風が上陸しなくてよかったのだが、その日は大雨だった。

 

僕は、帰宅してから中に入る前に郵便ポストの中を見る。

 

「やっときた」

 

ポストの中に“それ”はあった。

 

泰三さんの新作がやっと僕の手元に届いたのだ。

 

僕は、急いでポストから本を取り出し、家の中に入った。

 

僕は決めていた。

 

「何よりもまず、本を読むことを優先させる」と。

 

夕食を済ませ、早々に子どもたちを寝かしつける。

 

やらなければならない仕事を横目で見ながら、そのすべてを僕は華麗にスルーした。

 

封を開けて本を手に取る。

 

山葵色を少し色鮮やかにしたような色のカバー。

 

一般の文芸書よりも若干多めのページ数と心地よい分厚さ。

 

「決めた未来で、きみを待っている―。」という、これ以上にないくらい絶妙なコピー。

 

―やっと読める……。

 

さあ、始まりだ。

 

僕は、「パラレルワールドで待ち合わせ」というこのタイトル通り、“物語というパラレルワールド”の世界にゆるやかに移行していった。

 

 

実を言うと、そのパラレルワールドを僕は一度経験済みだった。

 

約一年前、この物語の元となった、泰三さんが交通事故に遭ってからの体験を綴ったエッセイを読ませていただいたことがあったからだ。

 

白石泰三さんと野引香里さんの実話にして二人の物語。

 

そして、この二人以外にも、物語に出てくる何人かの登場人物とは面識があった。

 

それに、直接本人から聞かせてもらったエピソードもあったし、リアルタイムで泰三さんのその後の姿を見させていただいたりもしていた。

 

僕がこれから再び体験しようとしているパラレルワールドで一体何が起こるのか、僕は事前に知っているということになる。

 

そう。

 

ほぼネタバレしているということだ。

 

でも、だからこそ僕はもう一度経験してみたいと思ったのだ。

 

あの奇跡を。

 

僕には絶対経験できない、信じられないような数々のシンクロニシティーを。

 

あんな経験、パラレルワールドの中でしか決して味わうことはできないだろうから。

 

 

僕はソファーに腰掛け、まずは呼吸を整える。

 

気が散らないように、余計な物は片付けた。

 

何事も先を急いではいけない。

 

その世界に入り込めるように、環境を整えるということも大事なのだ。

 

小説を読むには、意識を集中しなければならない。

 

何度か呼吸を繰り返す。

 

意識せずとも呼吸が整ってきたのと同時に、徐々に肩の力も抜けてきた。

 

僕は息を吐ききって、これから吸うというそのタイミングで本の1ページ目をそっとめくった。

 

本のタイトルが視界に入る。

 

さらにページをめくる。

 

目次があった。

 

そこには、スピリチュアル、臨死体験、パラレルワールド、UFO、龍等といったワードが並んでいる。

 

その時点で、フィクション、ジャンルで言えばファンタジーかとも思うくらいだが、これはたしかに実話なのだ。

 

またページをめくる。

 

―なるほど、このシーンから始まるのか……。

 

二人の思いが交錯し、ここからすべての出来事が劇的にこの二人を中心にして同時進行していく。

 

そこからはもうページをめくる手が止まらなかった。

 

面白い。

 

とにかく、面白い。

 

知っているのに、面白いのだ。

 

これから二人が何を経験してどうなっていくのか。

 

その成り行きをほとんど知っているというのに。

 

それでもやっぱり、このパラレルワールドは面白い。

 

スピリチュアル小説としても面白いし、恋愛小説としても楽しめる。

 

それに何より、泰三さんの類稀な表現力は群を抜いている。

 

唯一無二の文章アート。

 

こんな文章誰にも書けない。

 

そうそう、これだ。

 

これを待ってたんだ。

 

ほんとにこの二人は口が悪い!

 

いいわー。

 

こういうの好きだわー。

 

僕は何度、

 

「んふっ!」

 

っと思わず声を漏らしてしまったことだろう。

 

面白い。

 

実に面白いのである。

 

 

「すべての出来事には意味がある―」

 

僕はこの物語を読んで、その言葉の意味が初めてわかったような気がした。

 

どこかの誰かが言ったその言葉の意味が、言葉という枠を超えて、あるべき姿であるべきところにストンと納まる。

 

そんな感覚になるのだ。

 

もしあの時、声をかけていなかったら……。

 

もしあの時、間違えていなかったら……。

 

もしあの時、気持ちを伝えていなかったら……。

 

もしあの時、連絡を取ろうとしなかったら……。

 

もしあの時、会いたいと思わなかったとしたら……。

 

その可能性の分だけ、パラレルワールドは存在する。

 

そして、今この瞬間にもパラレルワールドへの分岐点は存在しているのだ。

 

もし仮に、今まで自分が選択した分岐点のたったひとつでも、違う選択をしていたとしたら。

 

今自分がいるこの世界には存在していないだろう。

 

また違った別のパラレルワールドに移行しているということになる。

 

だとすれば、今までのすべての出来事は、今自分がここにいるということのために起きていたことになるのではないだろうか。

 

あるいはこう言い換えてもいいかもしれない。

 

「すべての出来事は必然である―」

 

その瞬間その瞬間に起こる出来事は、すべてが点でしかない。

 

それらが、時間を経て、線となってすべてが繋がっていく。

 

偶然なんて存在しない。

 

偶然と必然を分ける境界線なんて、実はどこにもないのだ。

 

「あると思えばある。ないと思えばない」

 

このシンプル過ぎる世界のカラクリを、泰三さんは自らの体験を通して、僕たちに見せてくれたのだ。

 

僕は今、泰三さんがいるこの世界(パラレルワールド)にいることができて本当に良かったと思っている。

 

泰三さんのいない世界なんて、そもそもつまらないし、この物語だって読むことはできないのだ。

 

そういう意味では、今までの僕の選択はひとつも間違っていなかったと思う。

 

僕はそう確信している。

 

 

 

ちょうど一年近く前のこと。

 

東京で泰三さんが交通事故以来初めてとなった「復活祭」というイベントがあった。

 

そのトークイベントに、僕も泰三さんから声をかけてもらって参加させていただいた。

 

その時、その会場にいた全員でこう言って泰三さんを迎えたと記憶している。

 

「泰三さん! おかえりなさい!」

 

そして、もう一度、僕はこの場を借りてこう言いたいと思う。

 

「おかえりなさい、泰三さん! この世界(パラレルワールド)に帰ってきてくれてありがとうございます! それと、この本(パラレルワールド)、さいっっっこうに面白かったです!」

 

 

 

さあ、この物語の中で、一体どんなパラレルワールドが展開されているのか。

 

それは、ぜひともあなた自身が“物語という名のパラレルワールド”に移行することによって自ら体験していただきたいと思います。

 

一人でも多くの方に、このパラレルワールドを体験していただきたい。

 

きっとあなたは、一度ではなく二度でも三度でも、この先の展開がわかっているにもかかわらず、再びこのパラレルワールドを体験することを選択してしまうことでしょう。

 

何故なら、面白いからです。

 

とにかく、面白いのです。

 

ぜひこの機会に、実際に手に取って体験していただければと思います。

 

この本の中にある、あなたが決めたパラレルワールドで待ち合わせをしてみてはいかがでしょうか。

 

そして、できればお近くの書店で!

 

 

 

 

「あー面白かった」

 

僕は、その日のうちに293ページすべてを読み終えた。

 

なんという心地よい読後感。

 

そして、爽快感だろう。

 

僕はその余韻に浸りながら、そっと本を閉じた。

 

物語の世界(パラレルワールド)から、現実の世界に戻ってきたのだ。

 

僕はリビングの窓から真夜中の外の景色を見る。

 

「雨降ってんなあ。明日は台風か……」

 

泰三さんの本が届くタイミングで台風が来てるってことは……。

 

さては、泰三さんが本と一緒にアマゾンプライムみたいにして台風飛ばしてきたなこりゃ。

 

「これじゃまるで、TYPHOONならぬTAIZOONだな」

 

そう独りごちて

 

我ながら、あまりのくだらなさに、

 

「んふっ!」

 

っと思わず声が漏れた。

 

 

 

 

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