金子みすゞさんの詩を好きな人は、みすゞさんときれいに呼びます。それは、みすゞさんの詩を読むと、心がやわらかくなって、やさしくなるから。
みすゞさんは五百十二編の詩を遺した。発表したのはわずかに九十編ほど。
以下、僕が気に入っている詩です。

「蜂と神様」
蜂はお花の中に、
お花はお庭の中に、
お庭は土塀の中に、
土塀は町の中に、
町は日本の中に、
日本は世界の中に、
世界は神様の中に、
さうして、さうして、神様は、
小さな蜂のなかに。
ただ見るだけでなく深く見ること、心で観ることの大切さを気付かせてくれます。
草がたんなる草でなく、仏が宿っているように、蜂を見た時、みすゞさんは目に見えない神を見、「蜂と神さま」は生まれた。

「星とたんぽぽ」
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぼぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根はめに見えぬ。
みえぬけれどもあるんだよ、
みえぬものでもあるんだよ。
みすゞさんは、いつも、二つで一つという心理を心に置いていた。小さいものと大きいもので一つである。この「蜂と神様」のように。そして、見えるものと見えないもので一つである。「星とたんぽぽ」のように。