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福祉と公共交通の視点から、鉄道のあり方を熱く語る?
blackcat こと加藤好啓です。
現在の公共交通の問題点などを過去の歴史などと比較しながら提言していきます。
随時更新予定です。

下記のような記事が出ていたのですが、本当にもう1本青函トンネル建設するだけのメリットは有るのでしょうか?
その後の維持費等も考えたうえでの発言なのでしょうか?
ここでは、貨物輸送のために新幹線が140㎞/hに制限されることに対して新たなトンネルを建設しろという案なのですが。
仮に、もう1本作るとして、路線の維持主体はどこになるのでしょうか?
現在の青函トンネルも、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有し、JR北海道に貸し付ける形となっていますが、新青函トンネルの場合も鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有し、JR貨物に貸し付ける形になるというのでしょうか?
JR貨物が単独で使用料を払うにはあまりにも大きな額ではないでしょうか?
そうなると最終的な負担は誰が負うのでしょうか?
個人的には、非現実的なというか、建設ありきの議論に思えてなりません。

以下は、新聞記事から**********
河北新報
河北新報

「第2青函トンネル」建設を 青森県内で待望論
新幹線も減速走行となる現在の青函トンネル

 北海道新幹線・新青森-新函館北斗の2016年春開業を前に、青森県で「第2青函トンネル待望論」が急浮上している。現状ではトンネル内は高速走行できず、所要時間が長くなるためだ。2本目となる世界最長の海底トンネルの建設は夢物語にも聞こえるが、県幹部は「非現実的な話ではない」と真顔で語る。

 「国土強靱(きょうじん)化に力を入れているのだから、もう1本掘ってくださいとお願いした」
 青森県議会の阿部広悦議長は6月30日の定例記者会見で、12日に国土交通省を訪ねた際、事務次官に非公式ながら要望を伝えたことを明かした。
 国は11年、新青森-新函館北斗間149キロのうち、青函トンネルを含む82キロの区間は、在来線特急並みの速度とする考えを示した。トンネル内で高速走行の新幹線が貨物列車と擦れ違うと、風圧でコンテナ破損などの危険があるためという。
 全ダイヤの高速走行を前提に、05年に工事計画に同意した青森県は反発した。完成まで、総工費の一部約800億円を県が負担することも反発の背景にある。

 両駅間の所要時間は高速走行なら39分だが、減速すると18分遅く57分となる。利用促進へのうたい文句が「約30分」と「約1時間」ではアピール度が大きく違う。
 国はその後、県の反発を抑える形で、18年春から1日1往復に限り高速走行すると表明した。新幹線の中に丸ごと貨物列車を載せるトレイン・オン・トレインや、擦れ違う時のみ新幹線を減速させる技術も研究するという。県などによると、どちらも例がなく、実現の見通しは立ってない。トレイン-は研究と新車両の製造に計約3000億円かかるとされ、擦れ違い時減速は安全への懸念が大きい。
 新たな青函トンネルを建設する場合、総工費は約5000億円と見込まれる。過去のトンネル工事の地質データがそろっているので、既存の技術で建設は可能だ。
 県議の一人は「膨大な費用を使い、ただ貨物列車を新幹線に載せるだけなら、初めから2本目のトンネルを掘った方が賢い」と指摘する。
 全ダイヤの高速運行は北海道からも要求されている。
 青森県の千葉耕悦新幹線・並行在来線調整監は「自民政権になり、大型公共工事を復活させようという声が全国各地で上がり始めている。国の高速化への対応次第では、第2トンネルの建設を要望する可能性はゼロではない」と話す。

2日前の記事でこのような記事を見かけたのです、新幹線と貨物列車が対向する時に列車風の影響があるので、もう1本トンネルが必要という、トンネル建設待望論が上がっているわけですが、これって可怪しくないでしょうか?

現在の青函トンネルに関しては、鉄道建設・運輸施設整備支援機構がその施設を保有しJR北海道に貸し付けるという形となっています、その費用だけで年間4億円、更に維持費も年間8億円(実質2/3は国の補助金)となっています。

この視点では新幹線を敷設するためのトンネルを掘れとなっていますが、その建設費は?更にそれは国がまるごと負担したとして、その後の維持費は?JR丸投げとは行かないでしょう。

トンネルは欲しいですが、建設に関しては県もお金出しますが、それ以外はJRでやってくださいと言うのは現実問題としてどうなのでしょうか。

なお、本件で800億円の負担というのは、新幹線を高速で通すための、共用区間には防風壁や脱線防止ガードを設置して風圧や脱線を回避するという案が、国交省から出されていて、この建設費用負担が約800億円と試算されたわけであうが、工事費の追加負担を誰が負担するかで議論が紛糾、青森県は「増額の要因は貨物列車対策であり、 JRが負担すべき」と反発。」 したことを挿しているものと思われます。

結果的に、共用区間では新幹線が在来線並みの時速140キロメートル まで減速する、つまり新幹線としての機能を放棄するというその場しのぎの対応で今日に至っているのが現状であり、防風壁や脱線防止ガードを設置して風圧や脱線を回避するという案が、より現実的なのではないでしょうか。

 


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