日本語を母語とする日本人は、無意識にこうした言葉を使い分けているわけですが、外国人から見れば同音異義語が多い日本語は非常に難解だと言われています。実際に中国も漢字圏ですが。中国人でも時にはその使い方に戸惑うとも言われています。

さて、今日はそうした同音異義の単語として「師」と「士」を取り上げてみたいと思います。

「師」という漢字単体の意味を調べてみますと。

下記のように書かれています。

いくさ
《名・造》
  • 子弟を教える者。人の手本となる人。先生。
「師の教え」
  • 仏教やキリスト教での指導者。
「法師・律師・導師・禅師・牧師・祖師」
  •  工人の長、また技術者。後に、専門家を示す接尾語。
「仏師・絵師・経師(きょうじ)・医師・薬剤師・写真師・講談師・詐欺師・山師(やまし)」
法師・講談師等の姓名に添える敬称。
「神田伯山師」
  • 軍隊。中国の周代の軍制では、二千五百人の一隊を師、五師を軍とする。
「師団・王師・舟師・水師・出師(すいし)」
  • 多くの人。もろもろ。多くの人の集まるところ。大きい
 
 
 「京師(けいし)」

引用:Oxford Languages and Google

 

と色々と書かれていますが、一般的には、人の手本となる人。先生と言う意味で使われることが多いのではないでしょうか。

教師・牧師・芸事での師匠・師範なども該当するでしょうか。

他にも、人の長、また技術者と言う意味での使い方として、

理容師・医師・薬剤師等と言った言葉に使われることもあります。

概ね、人の手本となる人という意味合いがもたれてる場合に使われることが多いようです。

理容師は少し異質に感じますが、中世(1400年頃)の西洋では鋏を使って髪を切る行為だけでなく、外科的手術を行っていたことから、日本古来の髪結いを理容師と言う言葉が当てはめられたわけでしょう。

参考:理容師の歴史を知ろう

さて、そう考えるとき同じ音である、「し」を使う言葉を充てる職業として、いわゆる「サムライ業」・・・「士業」の存在がありますよね。

弁護士・弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・税理士・会計士・土地家屋調査士なんてものもありますが、いずれもサムライ業と呼ばれるように「師」ではなく、「士」の文字を当てることになりますが、これはいわゆる武士階級と呼ばれた(最近の教育では士農工商は身分制度ではなかったと言うのが一般的なようですが、いわゆる武士階級と言われる階級的な意味合いを敢えて持たせているのかなぁと思うわけです。

実際に、こうしたサムライ業に共通するポイントは、試験に合格して認定されないと名乗れない資格という点で共通しています。

もっとも、「医師」も国家試験に合格せねばならず、そうした意味ではサムライ業よりもハードルは高い場合も多いのですが、「師」を充てるのは、不思議な感じがします。

どうして、一部のサムライ業と呼ばれる職業には、「士」の言葉を充ててみたのか・・・そんなことを考えてみるのも面白いのではないでしょうか。

それに自分なりの解釈をつけて、仮説を立てて考えてみる。

その道筋が大事なのかなぁと思うわけです。

もしかしたら、その辺の答えはネットを調べれば出てくるかもしれませんが、敢えて自分の仮説を立ててその仮説に基づき、答え合わせをすると言うことも大事なのではないでしょうか。
そんな気がしてなりません。