「たった1つの冴えたやり方」 | 雪うさぎ

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 子供のときから、作文とか読書感想文は苦手で^^。
 つたないながらも、少女漫画と少女小説の紹介をして
いきます。

著:ジェームズ・ティプトリー・Jr  ハヤカワ文庫


雪うさぎ


 このSF作家との出会いは、このカバー絵でした^^;。

 見る人が見ればわかると思いますが、川原由美子さん

が、カバー絵と挿絵をしています。


 外国の作家のSF小説の和訳は、独特のものがあって、

この作品を知るまでは余り好きではなかったのですが、

この作品・・・ひいては、作者には、ひきこまれました。


 収録されている3本の中篇が同じ舞台設定のもので、

新たなるSFワールドやったのですけど・・・・残念ながら、

このシリーズが彼女の遺作となってしまいました。


 解説によると、波乱万丈な生涯を送り、また、SF作家と

しては、米国陸軍航空隊にいたころの経験を生かしたハー

ドSF・・・・そして、ジェンダー関連が根底にある女性作家ら

しいソフトSF・・・・、どれもすばらしい作品ばかりです。
 この作品の発表の後、痴呆症にかかった夫を、かねてか

らの約束通り、射殺、自らも・・・・と、一家心中してしまいま

した。


 時は、はるかなる未来。

 恒星間移動可能な宇宙船も、すでに、現代の原チャリくら

いの感覚になりつつある。

 16歳の誕生日に小型のスペースクルーザーをこうてもら

ったコーティー(主人公)は、親の反対をおしきって、一人旅に

でかける。


 コールドスリープから目覚めた彼女は、頭の中に、誰かが

いることに気づく。

 そのものは、イアンと名乗り、どうやら、脳内に寄生するタイ

プの無形状宇宙生命体らしい。

 彼(?性別不明)は、仲間とはぐれてしまったらしいのやけ

ど・・・・・。


 そんな中、その生命体の秘密にかかわり、また世界の存

亡にもかかわる重大な事件がおこる・・・・。


 16歳の乙女・コーティーの選択した”たった1つの冴えた

やり方」とは?・・・・・・・。


 経歴の知識からか、SFものではタブーであった、”一般相

対性理論”を、盛り込んでいます。

 一番のタブーは、光速移動に近づくにつれ、時間の流れが

遅くなるというものですね。

 なので、今・現在のコーティの行動と、静止している場所に

いる親たちが、通信カプセルを受け取って、情報を受け取る

場面では、タイムラグが生じます。

 その場面転換が絶妙で、違和感を感じさせない。

 そして、心配しながら、次々と送られてくる情報に両親の

悲痛な願いと、コーティの今現在の緊迫感がまじりあう、

スリリングな展開になっています。



追記>

 ソフトSFのほうでは、

 「汝が半染色体の心」

 「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」

 等が、やはりジェンダーに関わるお話なのですが、うちは

お気に入りです。


 ハードSF、ソフトSFの区分については、自分でぐぐってく

ださい^^;。