ナリタの、おかしな行動を不思議に思う人は、
私だけではなかったはず。
私はヨウコに聞いた。
「別れたの??」
ヨウコの返事はNOだった。
今まで通りだという。
「でも、いいの。
休憩時間だけだから。」
ヨウコは笑った。
私はそういう問題ではないだろ・・・と、
突っ込みたい気持ちをおさえた。
でも、
ナリタとハルはどんどんエスカレートしていく。
休憩時間だけでなく、
帰りも一緒に帰り、
ヨウコは、
ナリタの家から出てくるハルを何度も見るようになった。
すれ違いざまに、
ハルは、
鼻で笑うという。
ヨウコは一瞬、みじめになる。
でも、
それはほんの一瞬。
ヨウコが部屋に入ると、
ハルの匂いが残っている。
桜のようなやわらかい香りの香水。
ナリタは、
たばこを吸いながら、
「遅かったね」と言って、
ヨウコを抱き寄せる。
それを聞いて、
ヨウコはまたナリタを好きになる。
ナリタの腕の中にいると、
ヨウコは、
他のことはどうでもよくなってしまう。
「ハルとは、今だけだ。
そのうち、また、
私だけのモノになる。」
ヨウコは、そう確信する。
その繰り返しだった。
でも、
ナリタは、
ハルとの関係をやめなかった。
そして、
2年生になろうとしている頃から、
ヨウコを家に呼ばなくなった。
ヨウコも、
ナリタを問い詰めなかった。
それを待っていたかのように、
ナリタは、
ヨウコを無視しはじめた。
ヨウコの存在を消した。
堂々と、
ハルを
自分の彼女として扱い始めた。
行事があっても、
修学旅行でさえ、
ナリタはヨウコを一切無視した。
ヨウコは黙認した。
3年間ずっと、
ヨウコは黙認した。
ナリタを問い詰めるわけでもなく、
他の恋をするでもなく、
ナリタを思い続けていたのだと思う。
結局、
卒業まで、
ナリタとヨウコは、
一言も口を利かなかった。
今になっても、
ナリタの行動の意味は、
何だったのかわからない。
言ってしまうと、
ヨウコの3年間は何だったのかわからない。
ヨウコは、
その後も、
何人もの、
ダメ男とに出会っていく。
卒業して、
2年後、
私の友達トモは、
偶然ナリタに偶然会った。
「ハルとはまだ続いているの??」
トモは、聞いた。
ナリタは、答えた。
「うん。続いているよ。
もう1年連絡とってないけど。」
やっぱり、
ナリタは、
何だったのかわからない。
