こんばんは。
2月20日より24日まで恵比寿アメリカ橋ギャラリーで行われました、「いにしへの肖像写真展」にお越しいただきありがとうございました。
いつものように感想など書きます。
最初にお声がかかったのは主催であるwaiwanさんから。「ごうさんってどれぐらいポートレート撮ってるの?」と。
あまり自分でも数えたことなかったのですが、よく考えてみたらもう15年にもなることに気づきました。
それで10年以上前に撮った昔のポートレート写真展というお話を聞き、なんなら一番最初のデジカメで撮った写真を出してみようか、という気になったのが始まりでした。
ちなみにフィルム時代にはポートレートは撮っていません。
展示のキャプションボードに書いたことですが、たぶん初めて写真らしきものを撮ったのは、自宅にあった古いカメラで、中野や四谷に電車の写真を撮りに行ったのが最初。ピントの合わせ方すらわからず、ピンボケ写真ばかりでしたけど。高校で天文やってたので、カメラが欲しかったけど、買うようなお金は自分にも家にもなく。そんなとき、プロカメラマンだった叔父が使わなくなったニコンFをくれたので、それで天体写真を撮っていました。その後大学では興味は別の所へ行き、カメラには一切手を触れることなく、結婚して子どもが生まれて、子どもを撮るためにカメラを買い、でも、子どもとか家族とかばかり普通に撮っていて。
そして2000年代になるとデジタルカメラなるものが出現。当時、キャノンか富士かの二択でした。そこで私が買ったのが富士のファインピクス。200万画素。それで十分でしたけど。今回の展示もそのカメラで撮ったものです。
そのデジカメとフィルムの一眼レフをもって全国鉄道撮影行脚に出かけ、カメラはどんどん進化していきましたが、気づいたら47都道府県、全部訪れていました。
その途中で出会った、駅で見かけた光景。そこでその人たちにお願いして撮らせてもらっていたのが、ポートレート撮影の始まりでした。だから最初はスナップみたいなものですね。
そこから勇気を出してポートレートにも手を出し始めたわけです。
今回の写真は大きくはここに載せられないのですが、当然ポートレートの光とか構図とかはまったく考えられておらず、瞬間をパシャっとシャッター切っただけのものです。
最初どうなのかなぁ…って思ってましたが、展示用に印刷してみてよく見ると、今の自分には逆にできないことがたくさん詰まってる写真でした。
光も読んでない、背景に何が入っているかも考えていない。それにカメラの性能が何と言っても200万画素のコンデジ。それも単焦点。だけど逆にそれじゃなきゃ写せなかった世界が広がっていた。こういう展示もありかな、と思って出展しました。
うれしいことに見ていただいた方にも同じような感想をいただき、写真ってそういうものなんだなとあらためて感じた経験でした。
モトユキさんがおっしゃっていたように、被写体と自分がそこにいた証拠。同じ光景や同じ状況は二度とないけど、写真はそれを残す。
女の子の表情も犬の表情もこの一瞬だけのもの。合格したよ!ってうれしい笑顔を見せるのもこの瞬間だからあったこと。背景に人がいて、バケツが置いてあって。でもそれがリアルな現実。
ポートレートの作品を作るためにいろいろ考えて、いろいろ苦労してモデルに協力してもらって。それもいいと思います。が、原点はやっぱりここにあるのかな、と。写真に行き詰った時は何も考えずにシャッター押してみるといいかもしれませんね。
他の人の写真にも昔だったからできたそんな瞬間がたくさんあって。なんかすごく勉強になりました。技術に走る前に大切なことがあるなぁと。今さらながら。
ツイッターなどのタイムラインには絶対に流れてこない作品の数々。いいですね。こういうのも!
こんな機会を与えてくれた主催のwaiwanさんをはじめ、ご一緒された方々には深く感謝いたします。
もうさすがにこの写真展の続編は作品がありませんし、今からでは撮れませんけど。参加できて本当によかった!!