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―抱き合える時―
何をしていても、
本当に何をしている時でも、
それが頭から離れなかった。
まるで、錆付いたナイフが後頭部に突き刺さって居るような感じだ。
忘れようとすると、却ってその傷は熱をあげて痛む。
そしてぼくは、誰かが隣りに居る事、抱き合って居る事さえも忘れてしまいそうになる……。
その錆付いたナイフを、自分で抜き取らなければならない事は 分かってる。
たとえ沢山の血が流れても……。
きっといつか必ず、そのナイフを抜き取らなければないない時が来る。
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時々どうかすると、何年か前に時間が一瞬戻ったような感じがして、たまらなく怖い瞬間がある。
あの時と 同じ。
だけど絶望感の心地良さなんて今は 感じない。
そして時間を溯る事が出来なかった。
もう 何処にも行かない。
ボクがぼくである限り…。