ティム・ボガート 旅立つ - 轟音ベースと共に | Music and others

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 アマチュアバンド時代に衝撃を受けたベーシストの一人、ティム・ボガート(Tim Bogart)が1月13日に旅立ちました、76歳でした。
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ベーシストとして、きちんと名前とそのプレースタイルを認識したのは、ジェフ・ベック(Jeff Beck)と結成したハードロック・トリオのベック、ボガート、&アピス(Beck, Bogart&Appice)でした。
ティムの50年来の盟友である、ドラマーのカーマイン・アピス(Carmine Appice)のFacebookでこの悲しいニュースを知りました。
 
 
 
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69年にデビューしたヴァニラ・ファッジ(Vanilla Fudge)のヒット・チューンであった、”You Keep Me Hangin' On”は日本でもかなりヒットした記憶があります。 当時の日本固有の造語である、”アートロック”と言う括りで紹介されたいたように記憶しています。 デビュー・アルバムを初めて聞いた印象は、オルガンがサウンドの中心にある、一風変わった楽曲が並んでいるなとものでした。 更には、収録されていた楽曲の大半がカヴァーであり、しかも、ビートルズの曲が2曲も入っていると言う意外な内容でした。
 
アナログ盤を買ったのは、このデビュー・アルバムではなく3枚目の『Renaissance』を後追いで入手しました。 デビュー・アルバムとはかなり印象の違うサウンドで、馴染みのあるような曲は一切なく、プログレッシヴ・ロック寄りで音楽雑誌の評価とは違う印象を受けました。 サウンドの主導権を巡り、微妙に方向性の違いが出てきたのでしょうね、5枚目のアルバム、『Rock & Roll』を最後に解散の道を選びました。
 
□ Shotgun by Vanilla Fudge

 

 

 
 
そう、私が以下のブログで取り上げた通り、ジェフ・ベックが第1期ジェフ・ベック・グループのアメリカ・ツアー中に知り合い意気投合して、新しいバンドを結成することが決まっていたのです。 バンド名は決まってはいませんでしたが、69年にデビューする筈だったのです。
 
Cactus01
 
 
しかしながら、ジェフ・ベックが交通事故により頭蓋骨骨折の大けがを負い、このプロジェクトは立ち消え(延期)となってしまいました。このため、窮余の策として??新しいバンドを結成します、それがカクタス(CACTUS)でした。
 
□ ”Parchman Farm by Cactus in 1970

 

 

 
 
 
4枚のアルバムを出していますが、サウンド自体は完全なるベック、ボガート、&アピスのプロトタイプと言えます。 手数の多いカーマイン・アピスのドラムスに、唸る轟音ベース、違うのはリード・ヴォーカリストがいる点だけです。
 
     BBA の真実 2013年12月(ブログはこちら↓↑) 
 
本来は、あっさり解散してしまった、第2期ジェフ・ベック・グループの延長にある、リード・ヴォーカリストとキーボードが加わった編成でのバンド活動を続行するはずだったのですが、ボビー・テンチ(Bobby Tench)とマックス・ミドルトン(Max Middleton)が早々に脱退してしまいます。 この二人は、ハミングバード(Hummingbird)と言う通好みの渋いバンドを結成します。
 
結果的にスケジュールされたツアーを続行するために、パワー・トリオとして活動し、アルバムをレコーディングします。たった1枚のスタジオ・アルバムと73年5月の来日公演が『BB&A Live in Japan』(2枚組)としてリリースされました。
 
      BBA 『Live in Japan』40周年記念盤 2013年12月(ブログはこちら↓↑)   
 
このライヴ・アルバムにはハマりましたね、来る日も来る日も聴きまくりました。 何故に73年になって、時代遅れとも言えなくない”パワートリオ”によるハードロックを展開するのか?、当時はそんなこと考えることもなく、火の玉ストレートで押し切る剛腕に夢中になりました。 ギミックなしの人力一本やりのロックに。そして、自暴自棄になったかのような生身のジェフ・ベックのギターに魅せられました。
 
□ Livin' Alone live in Japan by Beck, Bogart&Appice

 

 

 
 
 
また、リズム・セクションを組むティムとカーマインの二人に共通するソウル&ファンク志向に惹かれて、カーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)を聴き始めました。 そして、ほどなく虜になってしまったのです。
 
最初に演奏していたベースのモデルが、フェンダー・プレシジョン(Fender Precision base)のコピーであったのも何かの縁だったのでしょうが、ティムのリードベースには驚きました。 ベースは縁の下の力持ちであり、表に出て目立つのは本来の役割ではないと思っていましたから、彼の唯我独尊振りには驚かされました。 私にとっては、表に出ていいのは、ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)しかいませんから。
 
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皆さんも機会があれば、このベック、ボガート、&アピス(Beck, Bogart&Appice)のライブ盤を聴いてみてください。 私が感じた、この音圧の凄まじさが分かると思います。
 
最後に、盟友だったカーマイン・アピスがティムに捧げた、この言葉を記しておきます。ジェフ・ベックは相変わらず何のコメントも出していませんね(残念です!)。
 
          『Rest in peace, my partner. I love you. See you on the other side.』
 
 
 
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最強のリズム・セクションでしょうね、二人で成り立つのは!
 
□ Tim Bogert on the Bass from the Cactus "Live, Loud & Proud"