ニール・ヤング − 『Journeys』 | Music and others

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先週のニール・ヤング(Neil Young)の『Live at The Celler Door』に続くシリーズ、今度はBlue-rayでの映像作品です。 傑作と言いました、ライヴ・アーカイヴ・シリーズの『Live at The Massey Hall』と同じ地元で行われた2011年5月のソロ・ワールド・ツアーの最終公演です。


監督はこのところずっとお馴染みの名匠、ジョナサン・デミ(Johnathan Demme)が担当しています。ライヴ・ドキュメンタリーとなっており、最後の2日間に焦点を絞り撮影しています。 いくつかの映画祭にも出典した、ニールならではこだわりが垣間見える作品になっています。


ただ、これはドキュメンタリー映画であり、普通のコンサート・フィルムではありません。 従って、ライヴを堪能できるような内容ではありませんでした。 15年位前より、何処かのフィルム・フェスティヴァルに出品したいと考えていたようで、そのための製作がスタートになっています。

音楽面でも、製作面においても、今回の主眼は”個”であり、コンサート会場のライヴ映像に、この生まれ故郷を訪れたニール自身がドライヴするシーンがミックスされています。 純粋に”ライヴ”を楽しむ内容ではありません。

トーキング・ヘッズ(The Talking Heads)の素晴らしいライヴ映像である、あの『ストップ・メイキング・センス』(Stop Making Sence)を撮ったジョナサン・デミとの長編映画の3作目に当たります。前2作、『ハート・オブ・ゴールド』(Heart of Gold)と『トランク・ショー』(Trunk Show)とはコンセプトが異なります。


映像の美しさ、音像の素晴らしさ、どれをとっても文句の付けようのない作品だと思います。 ただ、ニール・ヤングのコアなファンでないと退屈するかもしれません。


演奏面ではニール一人だけの、アコギ、エレキ・ギター、ハープ、ピアノというシンプルな楽器のみですが、実際には加工されており、バンド形式での音のような”重層的”な音像に仕上がっています。従って、先日アップしたライヴ・アーカイヴ・シリーズ(Neil Young Archives Performance Series、略してNYAPS)のCDに入っている音(ここ↓)とは全く異なります。




演奏した曲の大半は、あのダニエル・ラノワ(Daniel Lanois)がプロデュースした2010年リリースの『Le Noiseからの曲です。 オリジナルとはまた違う音像です。

◇ Songs ;

1.Peaceful Valley Blvd
2.Ohio
3.Down By The River
4.Sign Of Love
5.Rumbling
6.Love And War
7.Leia
8.After The Gold Rush
9.I Believe In You
10,My, My, Hey, Hey (Into The Blue)
11.You Never Called
12.Hitchhiker
13.Walk With Me

エンドロールを含め、あちこちのシーンで、”Helpless”と”Cortez The Killer”が鳴っているのがとても印象的でした。


ドキュメンタリー部分は、ニールの育ったオンタリオのオムミー(Omemee)と云う小さな街を訪ねて、すでにない生家の場所に行ったり、街中を渋いオールド・フォードを運転して廻ったりするシーンが続きます。(産まれたのはトロントですが、その後移り住んだそうです)

風化しているように見えるけれど、しっかりとそれぞれの心の中で息づいていることが伝わります。だからこそ、わざわざ”オハイオ”(Ohio)を演奏したのだと思えるのです



傑作だったのは、本編ではなくて特典映像としてのフィルム・フェスティヴァルにおけるトーク.ショーです。 本作品に関係なく、会場にいる観客からの様々な質問に答えるシーンが面白いです。

二人が初めて出会った映画、『フィラデルフィア』(Philadelphia)でのサウンド・トラック依頼の話。 2時間掛けた映画で言いたかったことを、ニールの作った曲はたった2分半で伝えていたことに驚いたと。そして、その曲をエンドロールに入れて、その後オープニングの曲をブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)に依頼したそうです。その曲は、ニール作が”Philadelphia”、そして,ボスの作品が”Streets of Philadelphia”です。





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とにかく、本編にもまして、トークショーと映画公開記念の会見が楽しい内容で“目から鱗”のような話が次から次へと”ネタ”のように飛び出します。


 ー レイナード・スキナード(Lynyrd Skynyrd )がニール作の曲、”Powder Finger”をレコーディングし、そして同じステージに立つ予定があった。しかし、レコーディング前に例の飛行機の墜落事故で叶わぬ夢と終わってしまった?!

 ー あのリック・ジェームス(Rick James)とバンドを組み、作曲をしてモータウンでレコーディングをしていたが、麻薬騒動で逮捕されお蔵入りとなった。


本末転倒ですが、本当に楽しい話ばかりですので、日本語字幕入りの方をお薦めします。 MP3の音を全くダメだと言い切るニール,凄いです、そのこだわり方は・・・・。 何度も出て来るドライヴのシーン、乗っている車は1956年製のヴィンテージカーである、オールド・フォード(Ford Crown Victoria)です。


そして、エンド・ロールでは、
    To Ben "Long Grain" Keith
”Let the good times roll”
と、2010年に亡くなってしまったお馴染みのペダル・スティールの名手であったベン・キース(Ben Keith)に捧げられています。


◇ Neil Young Journeys Official Trailer;