ニール・ヤング − 『Live at the Cellar Door』 | Music and others

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ニール・ヤングNeil Young)が、貴重なライヴ作品として定期的にリリースを続けている連作の最新作で、第6作目になります。 正式には、ライヴ・アーカイヴ・シリーズ(Neil Young Archives Performance Series、略してNYAPS)と呼ばれております。 リリースされている全作品を購入する気はありませんが、70年代の作品には人一倍想い入れが強くて,当時の彼の生の声を聴きたくなってしまいます

評価としては、以下の2作品が圧倒的に高い支持を受けていますよね・・・。

1作目の『ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト』(LIVE AT THE FILLMORE EAST)、ニール・ヤング&クレイジー・ホースの伝説のパフォーマンスですね。 収録時期は1970年2月と3月、今は亡き(Danny Whitten)がフューチューされたアルバムで、まだ轟音期ではないですが良い音像が聴けます。


そして、最高傑作と評された2作目、『ライヴ・アット・マッセイ・ホール 1971』(LIVE AT MASSEY HALL)、このライヴの収録はニールの地元であるトロントにて1971年1月に収録されています。 凱旋公演のような意味合いのライヴですが、リリースされた2007年には、素晴らしいチャート・アクションを示しており、ビルボードで6位、カナダでは1位というセールスでした。40年近く経ったライヴアルバムがこんなに売れるなんて、驚きました。 ジミ・ヘンドリックスとかの故人であれば、あり得ますけどネ。


After The Gold Rush』には想い入れが強くならざるを得ない、自身の体験が重なってしまいます。 勿論、リアルタイムではなく少し遅れて手にして聴いた記憶があります。


レコーディング・データからすると、このライヴは『After The Gold Rush』リリース直後の70年11月30日、12月1、2日にワシントンD.C.のクラブ、ザ・セラー・ドアー(The Cellar Door)でのステージでの収録からピック・アップされています。 残念ながら、このミュージッククラブは80年代に閉鎖されました。 このライヴが行われた当時は入場料が3$で、後はフード&ドリンクのミニマム・チャージが2$だったそうです。



私自身が、きちんとニール・ヤングと向き合ったのは、それから2年後辺りからですね、多分。 クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(Crosby, Stills, Nash, & Young)として聴いたのが最初で、それからソロ作品、そして、あの伝説のバッファロー・スプリングフィールド(The Buffalo Springfield)まで遡ったのではないかと思います。 当時は、フォーク・ロックであり、ロックではないと一線を画してあまりきちんと向き合っていなかったのです。




すでに、アマチュア・ロック・バンドに参加していたのですが、彼の曲はバンドで取り上げるようなタイプではなくて、あくまでプライヴェートで聴くタイプの曲だと思っていました。内省的で、且つ、ロックンロールという雰囲気のする曲調ではなかったから、多分。 ステージで演奏しても、盛り上がるような内容ではありませんでした、弾き語り(ギターかピアノで)で”歌”をダイレクトに送り届ける楽曲のように思います。

記憶が曖昧ですけど、取り上げたことがあるのはたった1曲、”サザーン・マン”(Southern Man)だけだったように思います。




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◇ Track-list *****


1.Tell Me Why
2.Only Love Can Break Your Heart
3.After The Gold Rush
4.Expecting To Fly
5.Bad Fog Of Loneliness
6.Old Man
7.Birds
8.Don’t Let It Bring You Down
9.See The Sky About To Rain
10.Cinnamon Girl
11.I Am A Child
12.Down By The River
13.Flying On The Ground Is Wrong








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この中の曲で、極めつけなものは、ピアノでの弾き語りによる「シナモン・ガール」("Cinnamon Girl")でしょうか? この曲は、1969年リリースの記念すべきソロ・デビュー作であるファースト・アルバム、『Everybody Knows This Is Nowhere』の冒頭を飾る曲です。 アルバムでのアーティスト名は、ウィズ・クレージー・ホース(Neil Young with Crazy Horse)という形式で、バック・バンド名を堂々と謳っています。


◇ ”Cinnamon Girl”by Neil Young - Live At The Cellar Door ;






私にとっては、甘酸っぱい想い出がよみがえるこの曲(ロマンティックなカントリー・ワルツ)に尽きますネ。今でも、歌詞は全て憶えており、唄えますよ!?

◇ ”Only Love Can Break Your Heart” by Neil Young - Live At The Cellar Door ;










この当時は、まだ25歳になったばかりという天才ぶりです。演奏の合間にくだらないジョーク言うのは、今も変わらないようですけどネ。




このライヴの数週間前には、アリーナ・レベルのホールでクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(Crosby, Stills, Nash & Young)の1stツアーを演っている訳ですから、驚くべき変化です。 ニール曰く、「Small clubs are groovy!」と云うことらしいです。





このライヴ音源は、先にリリースされている2作品『ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト』と、『ライヴ・アット・マアセイ・ホール1971』、との間に位置するために、、アーカイヴ・シリーズのVolume 2.5と呼ばれております。 コアなファンの間では、この時期の後にやってくる”黄金期”のアーカイヴが間もなく出るはずと心待ちにしている方が多いそうです。



「名盤」と呼ばれる『After The Gold Rush』からの曲が多数収録されていることが、やはりこのアルバムを魅力的にしていると思います。
「テル・ミー・ホワイ」「オンリー・ラヴ」「バーズ」「ブリング・ユー・ダウン」「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」と5曲も演奏しています。
そして、60年代に向き合うように、バッファロー・スプリングフィールド時代の楽曲を3曲聴かせてくれます。「アイ・アム・ア・チャイルド」、「エクスペクティング・トゥ・フライ」、「僕のそばに居ておくれ」(Flying On The Ground Is Wrong)。


彼の最大のヒット作品となった、72年2月リリースの『ハーヴェスト』(Harvest)に収録されている「オールド・マン」がプロトタイプのまま演奏されています。


何とも頼りない歌い方、ヘタウマな独特の奏法のギターにピアノ、懐の深い人なんですね、ニールって・・・多分。


個人的には、「Cowgirl In The Sand」が収録されている点で、『ライヴ・アット・マアセイ・ホール1971』をお薦めしますが、この人は”枯れる”ってこととは無縁の人ですね。


2003年の武道館公演、行くべきでした。 私にとっては、一度も生で観たことのないアーティストの一人です。 全く無視していた、異色作『グリーンデール』(Greendale)を掲げたツアーであったのが災いして、パスしてしまいました。
でも、アンコールでは轟音4連発、「Hey Hey, My My」や「Like A Hurricane」を演奏したことを後日知り、がっかりしました。 ソロの弾き語りツアーでもいいから、来て欲しいと切に思う今日この頃です。


最後に、このライヴ収録の会場となった、ワシントンD.C.(Washington D.C.)の”セラー・ドアー”(The Cellar Door)にもヤング繋がりの人物がいます。 ギター小僧こと、ニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)が17歳の頃より、ここに居候して、ロック・ミュージシャンを目指していたのです。 数々のミュージシャンのライヴを観て聴いて、さらには、控え室や宿泊先のホテルにまで押し掛けて色々なアドヴァイズを受けていたそうです。 その後、あのグリン(Grin)を結成し、ソロとなり夢を実現して行ったのです。 ”縁は異なもの”と言いますが、ニール・ヤングの『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』にも参加しています。