ブッカー・T&The MG's(Booker T. Jones&The MG's)の伝説的ギタリストとして、またスタックス・レコード(Stax Records)のサウンドの創始者として、数々の名曲の誕生に貢献したスティーヴ・クロッパー(Steve Cropper)が旅立ちました、84歳でした。 家族より声明が発表されました。
私がこのことを知ったのは、先日のジミー・クリフ(Jimmy Cliff)の時と同様にストーンズのキース・リチャーズ(Keith Richards)のSNSでした。
「With a heavy heart, I say goodbye to Steve Cropper! Happy to have shared some good times and music!」
スティーヴ・クロッパーは、音楽史に残る不朽の名曲、“(Sittin’ On) The Dock of the Bay”、“Soul Man”、“Knock on Wood”、“In the Midnight Hour”の誕生に多大な貢献をしました。
私はこの曲が真っ先に浮かびますが、皆さんはどうでしょうか?
□ ”Green Onions” by Booker T. Jones&The MG's;
ロックの殿堂入りを果たし、グラミー賞受賞者であり、ソングライターズ・ホール・オブ・フェイムの栄誉も受けた彼の影響力は計り知れません。 ブッカー・T&The MG'sのメンバーはリーダーであったブッカー・T・ジョーンズ(Booker T. Jones)ただ一人が存命と言うことになりました。
ギタリストとしてはあまりテクニカルな面で際立ったプレーヤーではないと思いますが、シンプルであるが故にそれが個性だったと思います。 最後になった2024年リリースのアルバム、『Friendlytown』発売に合わせて行われたインターヴューの中でこんな発言をしていました。
Q:ギタリストに求める最も重要な要素は?
「グルーヴ。グルーヴを持っている者は、持っていない者よりずっと長く生き残れる。グルーヴが何を意味するかは人それぞれだが、僕にとってそれはソウル。そして枠の中で演奏すること、外じゃない。それが人々に好まれる。枠の外でやりすぎると、好きにはなってくれないんだ。」
伊達に長く演奏して来ていない彼だからこそ、発することができる含蓄のあるメッセージです。
私にとって最も印象深かった出来事は、第2期ジェフ・ベック・グループの2ndアルバム、通称『オレンジ・アルバム』のプロデュースをスティーヴ・クロッパーが担当したことでしょうか?
ジェフ・ベック(Jeff Beck)というギタリストをプロデュースすることの難しさは、『Blow by Blow』をプロデューサーを担当した故・ジョージ・マーティン(George Martin)のため息にも似たコメントを読めば一目瞭然ですから・・。
同じインターヴューにて、
Q:長年にわたって多くのギタリストと一緒に演奏してきましたよね。誰かに驚かされたことはありますか?
「ジェフは頭で考えたことに、必ず手が追いつく。“それは無理だ”なんて言わない。彼はただ手を伸ばして、それを掴み取るんだよ。彼は誰も不可能だと思っていたことをやってのけ、しかもそれを完璧に聴かせた。ジェフ・ベック・グループのアルバム (クロッパーがプロデュースし、1972年にリリースされた) に参加したことは、僕の最も誇らしい瞬間の一つだよ!!」
□ ”Fire It Up” by Steve Cropper ;
スティーヴのお家芸である奏法、マルチ・ストリングを駆使したギターリフが自在に飛び回る瞬間は未だにゾクゾクします。
最後は渋くて沁みるこの曲を・・・。
◇ Steve Cropper with Dan Penn - ”Someone Made You For Me”
多くの素晴らしい音楽をありがとうございました・・・・・安らかにお眠りください!!
R.I.P. for Steven Lee Cropper (October 21, 1941 – December 3, 2025)
過去に、ブッカー T. & ザ MGsについてブログで取り上げた内容を再掲しておきます。
2013年5月 Steve Cropper 『Dedicated』(ここ↓↑)
2013年5月 Steve Cropper 番外編(ここ↓↑)
2021年5月 スティーヴ・クロッパー『Fire It Up』(ここ↓↑)
2025年2月 Albert King『Born under a Bad Sign』(ここ↓↑)
2025年2月 Booker T. Jones 『Note By Note』(ここ↓↑)
2025年2月 Steve Cropper & The Midnight Hour(ここ↓↑)

