1974年当時、このアルバムがU.S.マーケットで大ブレークしました。 リアルタイムで聴いていましたが、このアルバムのライヴ感覚はあるけれど、少しばかり緻密さに欠けるサウンドがここまで”ウケル”とは思いませんでした!? 同時期だと、ドゥビー・ブラザーズ(The Doobie Brothers)の『The Captain and Me』とか『What Were Once Vices Are Now Habits』がリリースされていましたね。 スタジオで勢いに任せて一発録りしたかのような、ギターのチューニングがずれていたりと・・・・結構アラが目立つんですね、聴き直してみると。 当然ですが、リマスター盤ではその辺りは完全に修正されていますけど・・・・・。
スタジオ・レコーディングであればオーヴァーダビングなどを駆使して完璧なサウンドを求めるはずだけど・・・・・シンプルかつソリッドなハードロック、でもやたらヘヴィーではなく少しブリティッシュ風味が全体を覆う、ありそうでない感じですね。
フリー(Free)、モット・ザ・フープル(Mott the Hoople )にキング・クリムゾン(King Crimson)出身のアーティストが集まったスーパー・グループのような呼び声で瞬く間にトップに躍り出てしまいました。 当時は、大学の軽音サークルでは人気のバンドでした・・・・あまりテクニカルには難しいことしていなかったからでしょうか? 但し、リード・ヴォーカルのポール・ロジャース(Paul Rogers)のブルージーで味のあるヴォーカルは唯一無二であり、アマチュアのレベルでは不可能なレベルでした。
この1stアルバムの想定外の大成功が、結果的にバンドの行く末に様々な影を落とすことになります。 このアルバムの爆発的な成功により、”バドカン”は約10年に亘り巨大なスタジアムを満員にするビッグ・ネームとなり、一方ではドンドンと疲弊し、メンバー間の不和や方向性の違いが顕著になって行きます。 82年の6枚目のアルバム、『Rough Diamonds』で終焉を迎えてしまいます。
このアルバムの良さは、スタジオでの化学反応の瞬間を冷凍保存しているからでだと思います。
度重なるリマスター、しかしながら、きちんとしたポリシーに基づいたリマスターとは言えない、その場しのぎに度重なる”デラックス・エディション”のリリースに合わせてのリリースのためか、確かに音圧が増し、迫力も生々しくなったサウンドになっています。 でも、これが現存メンバーの意図を汲んだものなのか、疑問に感じざるを得ない面があります。 しかも、カサを増すためにスタジオのアウトテイクやデモ・ヴェージョンをもう1枚のまとめたり、未発表のライヴ盤を付けると言った常套手段で出されるのが常ですが、大物の現役アーティストであるローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)などと比べるとかなり雑な構成だと言わざるを得ません(悲しいかな!?)。
今回の2015年版のリマスターは、前回2009年版と比べるとよりワイドレンジでクリアーな丸裸にしたかのようなサウンドになっていると感じました(個人差があるとは思いますが!?)。 特に、ドラムスのミックスが大きくなり、シンバルやハイハットがよりクリアーになっていると思います。 個人的には、オリジナルに近い楽器個々の響きを抑えたアナログ感覚に近い、2009年版の方がいいと思います!!。 しかしながら、制作は共にリマスターでは定評のあるライノ(Rhino Atlantic)なんですから、メンバーがどの程度関与したかに因りますね。
80年代に入り、フォーリナー(Foreigner)やジャーニー(Journey)を筆頭に産業ロックの時代に突入して、分かりやすいハード・ロックのサウンドが主流となり、ベースにブルーズやソウル嗜好があるポール・ロジャースにとっては相容れない方向性が明確になり脱退します。 ポールが脱退後も新たなヴォーカリスト、ブライアン・アンソニー・ハウ(Brian Howe )を据えてバンドを継続して行きます。 がしかし、低迷するばかりでこれと言ったセールスを挙げることが出来ず、挙句にヴォーカリストを ロバート・ハート(Robert Hart )に交代してアルバムを2枚リリースしますがかつての勢いは取り戻せませんでした。 以降は、ソロ活動やクィーン(Queen)とのジョイント・ツアーである”Queen + Paul Rodgers ”で表舞台に戻ってきたポール・ロジャースを呼び戻してリユニオン・ツアーを行い、ライヴ・アルバムをリリースしています。
オリジナル・メンバー4名の内、存命なのはドラムスのサイモン・カーク(Simon Kirke)とポール・ロジャースの2名だけとなりました。 ミック・ラルフス(Mick Ralphs)は2016年に脳卒中で倒れてから病床に伏して昨年の6月に亡くなりました、81歳でした。 ベーシストだったボズ・バレル(Boz Burrell)は音楽活動からは退いていましたが、2006年に60歳で病死しています。 ただ、ポール・ロジャースも幾度なく脳卒中を発症しており、体調は万全ではありません。
□ Track listing;
Disc 1;
1. "Can't Get Enough" (Mick Ralphs) 4:17
2. "Rock Steady" (Paul Rodgers) 3:47
3. "Ready for Love" (Ralphs) 5:03
4. "Don't Let Me Down" (Rodgers, Ralphs) 4:22
5. "Bad Company" (Rodgers, Simon Kirke) 4:51
6. "The Way I Choose" (Rodgers) 5:06
7. "Movin' On" (Ralphs) 3:24
8. "Seagull" (Rodgers, Ralphs) 4:04
Disc 2;Demos&Outtakes
1. "Can't Get Enough" (Take 8) Ralphs 4:21
2. "Little Miss Fortune" (Demo Reel 1) Rodgers, Ralphs 3:58
3. "The Way I Choose" (Demo Reel 1) Ralphs 6:39
4. "Bad Company" (Session Reel 2) Rodgers, Kirke 4:40
5. "The Way I Choose" (Version 1 Including False Start) Ralphs 7:16
6. "Easy on My Soul" (long version) Rodgers 6:15
7. "Bad Company" (Session Reel 8) Rodgers, Kirke 5:33
8. "Studio Chat / Dialogue" 0:23
9. "Superstar Woman" (long version) Rodgers 6:11
10. "Can't Get Enough" (single edit) Ralphs 3:30
11. "Little Miss Fortune" (B-side of "Can't Get Enough") Rodgers, Ralphs 3:51
12. "Easy on My Soul" (B-side of "Movin' On") Rodgers 4:41
13. "Can't Get Enough" (Hammond Version) Ralphs 4:23
□Personnel;
Produced by Bad Copmany
■Musicians;
Paul Rodgers – vocals, piano (4, 5), rhythm (1) and acoustic (8) guitars, tambourine (8)
Mick Ralphs – lead guitar (all but 8), keyboards (3)
Boz Burrell – bass (all but 8)
Simon Kirke – drums (all but 8)
Additional personnel
Sue Glover and Sunny Leslie – backing vocals (4)
Mel Collins – saxophones (6)
冒頭の大ヒット曲、”Can't Get Enough”ですが、コード進行はシンプルですよね・・・・「C Bb F」の3コードで、コーラス部分で「G」が出るくらいですが、このシンプルでカッコ良さ!。
ツイン・リード部分でのチョーキングの不正確な音程が更にライヴ感覚を醸し出しています。
シンプルの極みを行くソリッドなサウンドだからこそなんでしょうね!!
□ "Can't Get Enough" by Bad Company;
続く"Rock Steady"も正にブリティッシュ・ロック的なギターリフから始まる、少しファンキーな感じが新鮮でしたね。 次の曲、 "Ready for Love"が私の最も好きな楽曲でした。モット・ザ・フープル(Mott The Hoople)時代に未完成な形で発表されていますが、このミドルテンポのマイナーキー(Am)の曲調の裏で細かなビートを刻むボズ・バレルによるフレットレス・ベースがいいアクセントになっている曲だと思います。
ボズはジャズ畑出身ですが、ベースプレイヤーと言う訳ではなくて、キング・クリムゾン(King Crimson)に参加した際にロバート・フリップ(Robert Fripp)翁に命じられてベースを手にした変わり種です。 フレージング自体はさほど難しいわけではありませんが、8ビート主体でフレットレス固有のスラーがかかったトーンがいい味を出しています。ギターは弾けたらしいですが、フレットレスを選ぶところはジャズ畑出身者らしいと思いますし、音感は良かったんでしょうね。
□ "Ready for Love" by Bad Company;
全8曲とかなりコンパクトな収録数ですが、ミック・ラルフスとポール・ロジャース各人が持ち寄った単独での楽曲を比較すると特徴が良く出ていますよね。 "The Way I Choose"と "Movin' On"とを比べれば一目瞭然です。 哀愁さが漂うソウル風味の曲調はポール・ロジャースならではあり、ミック・ラルフスによる"Movin' On"のストレートなブギー調のよくある楽曲、明確な違いが感じられます。
□ "The Way I Choose" by Bad Company;
アルバムの最後を飾るのがフリー(FREE)時代から変わらないポールのアコースティック主体で穏やかで叙情的な謳い上げる楽曲、”Seagull”です。 彼の持ち味であるこのブルージーでソウルフルなバラッド、時代が変わりバンドが変わろうと、ソロ活動においても一貫しているところだと思います。
□ "Seagull" by Bad Company;
さて、デラックス・エディションの目玉??であるDisc2の”Studio Outtakes&Demos”の全13曲になります。 収録時間に合わせるかのように、あまり変わり映えしないデモが含まれていたりするのは、少し残念ですね。まあ、ポールの脱退以降には数多くのライヴ・レコーディングがこれでもかと言う感じでリリースされていますので、目玉となるような隠し玉がないと言えます!
冒頭に収められた”Can't Get Enough (Take 1)”はなかなか興味深いテイクだと思います。 ラフに演奏していますが、楽曲の良さが明確に分るテイクだと言えます。もう完成形に近くて、これがラフアイデアの「Take 1」には思えないですけど・・・・・・・。 悪口みたいですが、サイモン・カークの”ドタバタ”ドラミングは完成版と大して変わらない気もしますけど・・・・どうなんでしょうか?
”Little Miss Fortune”は、リードシングルとなった”Can't Get Enough”のB面曲としてリリースされて、アルバムには未収録のままでしたが、今回はデモ・ヴァージョンと併せて収録されています。
ヴォーカルのキーがかなり違い、デモ・ヴァージョンは低いキーで歌っています(肩慣らしだったのかな?)。
また、”Bad Company”は2つのデモ・ヴァージョンが収録されています。 最初のテイクではギターレスでピアノのみなので正にデモだったのでしょうね・・・・もう一つのテイク8では、ギターが入っており両方のテイクを収める意図が解らないですね?? 強いて言えば、ギターにエフェクト(レズリー・スピーカー)が掛けられており、最終版とはサウンドが異なっています。
□ "Bad Company" (Session Reel 8) by Bad Company;
あと、気になったのは解散したフリー(Free)なのに、サイモン・カークと二人で最後のアルバム、73年リリースの『Heartbreaker』に収録されていた”Easy on My Soul”を再録している点ですね。 出来栄えに納得していなっかったのか、よほどこの楽曲が好きだったのか分かりません。
想像するに、アルバムの収録曲数が足らないと考えて、昔の楽曲を取り上げてみたのか、それとも、肩慣らし的にスタジオ・ジャム的にトライしたのか、どちらかでしょうね。
□ "Easy on My Soul" (long version) by Bad Company;
今まで、ポール・ロジャース(Paul Rodgers)について触れたブログは一つしかありませんでした。 懐かしいフリー(Free)についてのブログがありましたので、併せて再掲したいと思います。
2017年7月 FREE ”Wishing Well ” (こちらです↓↑)
2024年2月 Paul Rodgers 『Midnight Rose』 (こちらです↓↑)


