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Music and others

偏愛する音楽、Fashion、Macintoshと日々の雑感

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 ルー・リードLou Reed)のトリビュート・アルバム、『The Power of the Heart: A Tribute to Lou Reed』が、レコード・ストア・デイの4月20日にCDとアナログ・レコードのメディアで発売されました。

 

アルバム・タイトルですが、”The Power of the Heart”は2008年にカルティエ財団(the Cartier Foundation.)により制作されたコンピュレーション・アルバム、『Love』に、ルー・リードが寄せた楽曲になります。 

 

当時、結婚し3番目の妻となった、ローリー・アンダーソン(Laurie Anderson)、に捧げた楽曲です。 控えめなアコースティック・ギターとストリングスがフィーチャーされており、ローリーへの深い愛を表現した歌詞になっています。

 

ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)は、2010 年のカバー ・アルバム、『 Scratch My Back』でこの楽曲をカヴァーしていますが、正直印象には残ってはいません。 他にも取り上げるべき印象に残る楽曲があるように思いますが・・・・・・・??

 

過去の同趣向のアルバムは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドThe Velvet Underground)の楽曲に焦点を当てたものでしたが、今回は1972年以降のソロ・アーティスト時代の楽曲に絞ってのカヴァーです。 但し、全12曲中1曲だけ例外があります、一番の目玉と言えるキース・リチャーズ(Keith Richards)の選んだ楽曲のみ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代の“I’m Waiting for the Man”となっています。 本アルバムのプロデューサーであるビル・ベントレー(Bill Bentley)が多分一番驚いたと思います、受け取ったMIDIファイルを聴いて!? 

 

苦笑いしていた絵ずらが思い浮かびそうですが、キースのコメント、

  「私にとって、ルーは際立っていた。本物だ! アメリカの音楽、そしてすべての音楽にとって重要な存在だった!

  彼と彼の犬が恋しいよ。」

を読めば、それ以上の感想は必要ないと思いますが・・・・・・正に、「我が道を行く。」ですね。

 

 

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一説によれば、目玉となるべき某大物アーティストに参加を依頼するも、断られたと言う噂があり、その相手はボブ・ディラン(Bob Dylan)だと言う話が・・・・・。 ボブ・ディランが、1984年リリースの『New Sensations』に収録されている楽曲、”Doin' the Things That We Want To”を気に入っていると言うことからのようです。 ボブ・ディランに代わり、キースに声がかかったという事みたいですネ ?! 

 

後は、デヴィッド・バーン(David Byrne)も参加する意向はあったようですが、時間的に調整が付かなかったようです。

 

結果的に、キース・リチャーズがカヴァーした”「I’m Waiting for the Man”(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド1967年のデビュー・アルバム収録)が、ルー・リードの誕生日にあたる3月2日にリリースされ、ミュージック・ビデオも公開され、大きな話題になりましたが、それ以降はあまり話題に上がることもなく、表舞台から消えて行ったようです(残念ですが・・・・・)。

  1. Keith Richards: “I’m Waiting for the Man”

  2. Maxim Ludwig / Angel Olsen: “I Can’t Stand It”

  3. Rufus Wainwright: “Perfect Day”

  4. Joan Jett and the Blackhearts: “I’m So Free”

  5. Bobby Rush: “Sally Can’t Dance”

  6. Rickie Lee Jones: “Walk on the Wild Side”

  7. The Afghan Whigs: “I Love You, Suzanne”

  8. Mary Gauthier: “Coney Island Baby”

  9. Lucinda Williams: “Legendary Hearts”

  10. Automatic: “New Sensations”

  11. Rosanne Cash: “Magician”

  12. Brogan Bentley: “The Power of the Heart”

 

冒頭のキース・リチャーズによるカバー、流石の出来栄えです、言うことはなにもないです!

□ “I’m Waiting for the Man”   by Keith Richards;

 

 

 

そして、楽曲にオリジナル以上の哀愁を吹き込んだのは、ルーファス・ウェインライト(Rufus Wainwright)です。 彼による””は、フィンガー・ピッキングによるギターに穏やかなハーモニーを加えた美しい仕上がりです。 何と、ルーファスは個人的にルー・リードと付き合いがあり、ウェインライト家の盛大なクリスマス・パーティーをルー・リードが訪れたことがあるそうです!

□ “Perfect Day”   by Rufus Wainwright;

 

 

 

さて、ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ(Joan Jett and the Blackhearts)がカヴァーするのは”I'm So Free”はルー・リードらしい、ビートの効いたロックン・ロールに仕上がっています。 しかし、まだ現役だったとは知りませんでした・・・。

 

そして、”Sally Can’t Dance”はブルーズ・シンガーである御年90歳になるボビー・ラッシュ(Bobby Rush)がカヴァーしています。 ファンキーなR&Bっぽい楽曲だからか、ただ捻りは全くないよう気がしますけど・・・・。

 

このアルバムの中の驚愕のベスト・トラックが、次の”Walk on the Wild Side”でしょうね! なんと、一番最初にオファーに対して「OK」したらしいですが、リッキー・リー・ジョーンズ(Rickie Lee Jones)にしかできないカヴァーでしょう、他にいるとすれば、トム・ウェイツ(Tom Waits)ですかね・・・。 この官能的な”酔いどれ天使”のような歌声で、新しい曲に生まれ変わったように感じました、唯一無二です。 コードを変えて、数小節を追加しているようです。

□ “Walk on the Wild Side”   by Rickie Lee Jones;

 

 

 

グランジ世代のロック・バンドであるアフガン・ウィッグス(The Afghan Whigs)の”I Love You, Suzanne”は、意外にも真っ向勝負のカヴァーでした。

 

そして、”Coney Island Baby”はアメリカーナのフォーク・シンガーであるメアリー・ゴウシュ(Mary Gauthier)がカヴァーしています。 「驚くほどの弱さと残酷なほどの正直さを持つ荒々しい都会の詩人で、彼の言葉は生々しくリアルでした。 しかし、そこにはいつもメロディーがありました。」と言う彼女の言葉通りの歌唱ですね。 歌詞をあらためて見て驚きました、タイトルのイメージとは全く違う世界でした。

□ “Coney Island Baby”   by Mary Gauthier;

 

 

 

そして、カントリー風にスイングするルシンダ・ウィリアムズ(Lucinda Williams)の”Legendary Hearts”では、ルー・リードのスリットを完全に表現していると感じました。

□ “Legendary Hearts”   by Lucinda Williams;

 

 

 

そして、ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)の長女になるロザンヌ・キャッシュ(Rosanne Cash)がカヴァーするのは”Magician”です。 89年リリースのコンセプト・アルバムである『Magic and Loss』からの楽曲です。 正直、その前の『New York』はよく聴きましたが、これは殆ど聴いた記憶がないですね。 

□ “Magician”   by Rosanne Cash;

 

 

 

それにしても、歌詞と言うよりは独自の文学(世界観)とでも言えるワードの洪水ですね、やはり詩人だったのです。