義母へ同伴を頼んだのは私では無く、主人の心を支えて欲しいと思ったのもあってのことだった。
午後3時からの診察。
待つ時間は長く、
緊張で口が不味くて仕方ないのに、水も飲めなかった。
予定より1時間程遅れて名前が呼ばれた。
診察室へ入り先生が口を開く。
『検査結果なんですが………』
間が長い!!!
緊張の余りスローに感じてるのかと思うくらい長い!
『悪いものは見つかりませんでした』
私『へ?本当に?』
ホッとしすぎて涙がでた。
慎重な先生の顔も心なしか穏やかに感じたのだか、
すぐに話が戻った。
では何なのか?
針生検の結果はクラス3。
先生はこれをグレーゾーンと表現し、
病名は“乳管内乳頭腫”と伝えられた。
今回針で採取した部分からは悪いものは見つからなかったけれど、
針で採れる部分は一部分。
それ以外の場所に悪いものが無いとは言い切れない。
よっぽど無いとは思うけど。
乳管内乳頭腫は癌との見分けが難しいので、経過観察は必要。
はっきりさせる為には、手術で腫瘍部分を摘出して病理にかければ分かる。
もちろん半年ごとの経過観察でも大丈夫。
白か黒かしか無いと思ってたのに、
ここに来てまさかのグレー判定。
でもブラックから逃れられた私の心は軽かった。
しかし私よりも主人よりも義母は慎重だった。
曖昧なモノを体に抱えて、不安も背負うなら、
はっきりさせたほうがいいんじゃないかと。
その日の診察では経過観察か摘出かは決めず、半月後の診察までゆっくり考える時間を貰って帰ってきた。
でも私の心は晴れやかだった。
乳菅内乳頭腫。
初めて聞く名前。
でも癌ではない!
子供が産める。
それが堪らなく嬉しかった。