日本の風景を描く

日本画家と言えば

第一等で名前の挙がる

最も有名な巨匠、東山魁夷。

 

その東山魁夷氏作と言われる

油彩画が

某所で購入されて行きました。

東山魁夷「朝静」キャンバスに油彩?

 

絵画の種類···油彩画・油絵 肉筆
形式···額縁入り
主題···風景・海景
F6号 額装 表サイン 裏書き押印あり

額装写真

キャンバスの裏面

著名部分

湖面部分

 

以下は絵の解説文です。


東山魁夷は近代日本を代表する

日本画家の一人で、

風景画の分野では国民的画家といわれます。
ところが実は油彩画も相当数残していて、

そちらのほうを重視するファンも

少なくありません。

それは彼が厳格な家に育ち、大学進学の際、

東京芸術大学を志望しながら

父親が東京大学以外の進学を

認めなかったという

経緯があってのことで、

どうしても芸大進学を諦められなかった彼に

父親がようやく譲歩したのは

「日本画科なら」という条件つき

だったからなのです。

 この「朝静」という作品は

湖面への映り込みを見事に表現した

東山魁夷の日本画の代表作で、

リトグラフなども販売されておりますが

(これに白馬を加えた作品が特に人気)、

ご本人は油彩で描きたいと強く思い、

日本画では表現しにくい湖面のさざ波を

見事に描きあげております。
鑑定書は特にはありませんが、

画伯の筆であることは描かれた作品で

判断できるものと考えるものです。

額縁寸法:天地約44センチ×左右約53センチ
画布寸法:天地約32センチ×左右約41センチ

※写真のみでの判断を

お願いするわけですが、

断捨離とはさりながら、

当方も手放したくないコレクションの

一つです。

誠意をもって安価でお譲りいたしますので、

納得されたうえでご判断いただきますよう

お願いいたします。

 

この説明文の中に

巧妙に嘘が紛れているのですが

判りますか?

 

ところが実は油彩画も相当数残していて、

そちらのほうを重視するファンも

少なくありません。

 

油彩や水彩を描いていたのは

事実ですが

東京藝大に入る前までの事。

ネット上にはこういう記述も有ります。

 

没後公開された芸大に入る前の絵は

全て油彩か水彩。

 

つまり重視の意味は

若い頃の作品には

資料的な価値が有ると言う事です。

 

その事には触れない

このミスリードは上手かったです。

確かに油絵は描かれていましたから

嘘ではない。

 

藝大入学以降の作品は

専攻が日本画科ですので

日本画と水彩が製作の基本。

入学前の作品とは

当然全てが異なって来る。

 

実際問題として

乾きの遅い油彩に比べて

(油絵は酸化重合によって固まります)

下準備に時間は掛かっても

水分の蒸発乾燥によって

直ぐに乾く日本画とでは

製作のスピードが

全く異なりますので

日本画家が油彩に手を染める事は

先ず考えられません。

 

その逆のケースは有りますが・・・。

 

ご本人は油彩で描きたいと強く思い、

日本画では表現しにくい湖面のさざ波を

見事に描きあげております。

 

東山氏御本人を代弁しているかの

記述ですが

波だけの絵を描ける東山氏にとっては

さざ波が表現し難いなんて事は

先ず考えられません。

東山魁夷作『濤声』部分

東山魁夷作『黄山雨過』

従来の水墨表現とは違う描き方です。

 

水墨画ですら

自分の表現領域で展開出来る

稀有な日本画家さんでしたので

推測の論理としては

この嘘はちょっと頂けない。

 

残念ながら

全てはこの贋作を

真作と見せかける為の

強引な暗示(ミスリード)です。

 

現在

有名日本画家作とされる油彩作品は

幾つも出現していて

それはそれで

少し困りものでも有りますし

某所で実物を見かけた事も有る。

平山郁夫作?『月光らくだ行』

F8号、キャンバスに油彩

片岡球子作?『赤い富士』

F8号、キャンバスに油彩

 

日本画家による

キャンバスに油彩作品が

出現して来たら

その画家が著名で有れば有る程

先ずニセモノと判断して

問題は無いでしょう。

 

特に晩年の

代表的な図柄で有れば

尚更です。

 

そして

ニセモノと判っていても

欲しがる人がいるのもまた

事実だったりします。

 

だからせめて

説明文を書く時は

嘘を書かない勇気か

ギリギリで嘘を回避する書き方を

展開して欲しいモノです。

 

真実の積み重ねによってのみ

ミスリードさせる展開を!