自分は楽茶碗が
それ程好きでは有りません。
簡単に言えば
一部の未使用の楽茶碗に
見られる
その匂いに
ケミカルさを感じるから。
そして焼きの甘さ。
コンコンとすると
くぐもった鈍い音がします。
そして楽茶碗って
もの凄く欠け易い。
一番脆い
御茶碗なんではないでしょうか。
で、その楽茶碗のハナシ。
伝世の楽茶碗は
出来上がった当時の姿を
していない。
当時そのままではない。
経年変化では有りませんよ。
その事を知っている人は
巷にどの程度いるのでしょう。
この事は
老舗の古美術商なら
多分御存知の事と思います。
それは何か?
楽茶碗の末路を見た事が有りますか?
自分は有る古物商の
御茶碗コーナーで
奇麗な共箱に入った
新品の赤楽茶碗の
その末路なる物を
実際に見ました。
御茶碗のカタチのままで
全身ひび割れて
共箱の中で
ボロボロになっている姿を。
箱から出せば
そのままバラバラに
砕けそうになっている
赤楽茶碗の末路を。
そうなんです。
楽茶碗は経年と共に
ボロボロになって
砕けてしまう可能性を
常に秘めているんです。
楽茶碗の始祖
長次郎の御茶碗が
出来上がった当時のままと
思っている
古陶磁研究者は
先ずいないでしょう。
当時のままでない事は
知ってて当たり前の事だからです。
古作の楽茶碗は
特にそうです。
楽茶碗の焼成が甘いと
前述の末路を辿ります。
全体がボロボロになって
砕けて行ってしまう。
だから
大抵の古作の楽茶碗には
必ずある処置が
施されます。
それは何か。
漆を染み込ませ
固めてしまうんです。
ボロボロにならないように。
確か
東陽坊が重文指定を受ける際の
その経緯の文章を読んだ時の事。
どの程度当時の面影を残しているかの
質問に対し
有識者からは
問題は無かろうとの返事をした、との
記述が有りました。
長次郎作『東陽坊』重文
漆で固めた影響の程度を
問われた訳です。
古い楽茶碗は、漆で固めてある。
長次郎作『大黒』
長次郎作の頂点の一碗として君臨しています。
もしくは
漆で固めておいた方が
将来に対して万全である。
現代に於いては
焼成とは何か、を
科学的に研究されているので
焼き抜く、とは
どういう事なのかを
焼成温度と時間で表現してあるのを
時折り見かけます。
生焼けの陶器にならないように。
楽茶碗は低火度の焼き物ですが
それ故に生焼けがしばしば起こります。
自分が手に入れようとした
小森松庵氏の楽茶碗も
実は一部で生焼けが起こっていた事が
有りました。
箱の中で
一部がひび割れていました。
そういう事が実際有るんです。
薄作の赤楽でしたが・・・。
で、その御茶碗は
購入を断念しました。
実はこの御茶碗には
後日談が有るのですが
その話は又の機会に。
その一件も有って
自分の御茶碗群の中に
楽茶碗は一切有りません。
過去、20~30碗くらい
買ってはいますが
すぐに手放しています。
もの凄く出来のいい
楽茶碗でも
怖くて持ち続ける事が
出来ませんでした。
もし楽茶碗の古作を
お持ちでしたら
果たしてその御茶碗は
出来た当初の顔を
しているのでしょうか?
もしかしたら
漆で固めてあるかも知れません。

