『銀座今昔きもの大市』のポスターが

ネット上で炎上した話しから

少し思い出した事が有ったので

書いておこうと思います。

 

何十年か前の話しになりますが

某所で一枚のデッサン画を見せられ

「これ、どう思う?」

そう聞かれました。

 

其処には着物姿の男性が

確か鉛筆画で描かれており

その隅には近代の巨匠のサインが

入れられていました。

 

「自画像らしいんだけど」

 

そう言われれば確かに

写真で見覚えの有るその人そっくりに

描かれています。

サインもその人のモノです。

 

真顔で聞かれたので

その時は正直に答えました。

 

「自画像では無いでしょうね。

多分ダメだと思いますよ」

 

そして・・・

 

「だって、着物の合わせが

左前になっていませんから」

 

炎上した『銀座今昔きもの大市』のポスター

炎上理由は、左前は死装束だから、です。

過去の着物イベントのポスター

過去の着物イベントのポスター

 

ネット民のブーイング理由は

自分にはどうでもよくて

それは

着物姿の自画像は左前になるし

有っても不思議でも何でも無いから。

小磯良平作『自画像』東京藝術大学蔵

三岸節子作『自画像』三岸節子記念美術館蔵

 

着物姿の自画像は

鏡を見て書くから

全て左前になります。

 

つまり

全て死装束の合わせに

なってしまうって事です。

 

現代では写真が普及して

自撮りして絵に起こす事も

有るでしょうし

自分を外目から客観視して

描く人もいるでしょうから

一概に自画像では無いとは

言い切れませんが

古い絵を見る時

画家が見る自分だけは

左右反転している事だけは

忘れないで下さい。

 

これって

推理小説の本人確認にも

使われた事が有るんです。

 

火傷で自分の顔が

判らなくなった人の話し。

 

左右反転した写真で

自分の顔はこれだったって

思い出す話しです。