マリー・ローランサン作『バラの女』複製画

 

マリー・ローランサンの名前で

このページに飛んで来た人にとっては

上の写真を見て

? ? ?

と成ったではないでしょうか。

 

何この絵?

全然違うじゃん!

そう思ったに違いありません。

 

そう、全然違うんです。

色が。

 

でも初見の人にとっては

こういう絵なのかなって思ってしまう。

 

淡いブルーで描かれた作品。

 

本当はこういう絵です。

マリー・ローランサン作『バラの女』

 

複製画も、最初はこんな感じです。

新品の複製画。

色鮮やかで、美しい。

 

何が起こったのかと言うと

簡単に言えば、退色です。

 

光によって、色褪せて行く。

紫外線のイタズラ。

 

その証拠がコレ。

この四隅を見て下さい。

額で隠れていた部分。

額で隠れた部分は、きちんと色が残っています。

これが元の色です。

 

印刷や複製画は

その多くが(例外は有りますが)

三色分解によって起こされた版で

印刷されます。

それが

 

イエロー(黄)シアン(藍)マゼンタ(紅)

 

でもこの三色だけで

印刷すると

メリハリが無いので

黒味の部分を

更に黒く強調する為に

墨(すみ)の版を加えます。

 

イエロー(黄)シアン(藍)マゼンタ(紅)

墨(すみ)、の四色。

 

ざっくり言うと、黄、青、赤、黒です。

これが四色刷り。

それで美しいカラー印刷が出来ます。


ここで問題になるのが

インキの耐光性

 

黄色が一番光に弱い。

次いで赤が光に弱い。

 

最弱の二色。

 

ところが、青と黒は

めっちゃ光りに強い。

 

結果

長い間光に晒された

複製画は

黄色と赤色が色飛びして

青い色彩だけが残って行く。

 

これがブルー化現象です。

同じ複製画ですが、バラと唇の紅が残っています。

黄色は、ほぼ色が残っていません。

 

で、前回の田崎広助作品。

見た感じ、全体青く感じませんか?

少しだけ黄色の痕跡が、残っている様にも感じます。

色褪せた、ルノアールの複製画。

全体がブルー化しています。

 

私自身は

以前に顔料や溶き油など

材料に関して調査して来ましたので

その延長線で

複製画に関しても

結構判っていた積りでいましたが

それでも失敗した事が有ります。

 

この作家には

複製画は無いだろうと思って

オークションで買ったら

見事に複製画でした。

 

少々不安が有って

前もって複製画かどうか

出品者に質問していましたので

返品には応じて頂けましたが。

それがこの複製画。

菅沼金六作『ブルー服の女』複製画

 

掲載したのは

自分が買ってしまったのと

同手の複製画です。

少しは退色しているかも知れません。

 

まさか

菅沼金六に複製画が有るなんて

当時は思っても見ませんでした。

 

人気の有無に関係無く

飾り易い作品は

複製画が作られているケースは

結構多いです。

 

ネットオークションや

フリマアプリで

気になる作家作品の

絵全体が

青味を帯びていたら

先ず複製画を疑って掛かって

見て下さい。