黒田清輝作『見知らぬ女』・・・ネットオークションで出現した作品

 

上の作品が

ネットオークションに

黒田清輝作『見知らぬ女』として

出品されていたのを見た時は

思わず吹き出してしまいました。

 

落札価格は、六桁。

結構な金額です。

 

でもこの作品は

出品者によって

きちんと予防線を

張ってありました。

 

未鑑定に付き、模写として。

出品タイトルは、こうなってました。

 

黒田清輝 肉筆油彩『見知らぬ女』

藤島武二鑑定シール 額装 模写

(※一部省略)

スタート価格・・・1000円

 

本文中にも

きちんと責任を持たない事は

明記されていますので

たとい贋作であろうと

キャンセルは出来ませんし

全ては落札した側の責任。

出品者側としては

何の落ち度も有りません。

 

が・・・

 

この作品は

贋作以前の問題。

もし黒田清輝の真作と思って

落札したのだとしたら

落札した側が

黒田清輝の事だけでなく

名画の事を

余りにも知らなさ過ぎる。

 

世界的に有名な作品ですから。

 

美人画を

少しでもかじっている人なら

知ってて当然。

むしろ知らない方がオカシイ。

 

ロシアのモナリザ。

複製画もいっぱい売られている。

 

ちなみに

『見知らぬ女』のワードで

ググって画像検索すれば

ずらりと出て来ます。

ウィキにもこのタイトルだけで

項目が立っています。

イワン ニコライビッチ クラムスコイ 作

『見知らぬ女(あるいは、忘れえぬ人)』

大判です。壁紙に使えます。

同・部分

 

この絵の本物を

見たいが為に

作品が来日した時

渋谷の BUNKAMURA まで行って

この絵の前に置かれていた

ベンチに座り

30分間ずっと眺めていました。

半分居眠りしてましたが(笑)。

 

この人を見下した様な

生意気そうな表情が

全てです。

 

この表情によって

公開当時は批判され

モデルは勝手に

高級娼婦の疑いを

掛けられ

その表情故に

名画として

ロシアのモナリザと称されるまでに

なりました。

 

生意気は美徳です(笑)。

 

この作品と

ポール・シャバスの『九月の朝』は

完全に日本人好みの名画。

複製画も多数作られている。

知っていなければなりません(笑)。

ポール・シャバス『九月の朝』

数多くの複製画が、制作されています。

 

それは兎も角として

作品の裏書や鑑定シールは

当然の事ながら仕込み。

何の意味も持たない。

 

せめて

もう少し原画並みに

上手く描かれていればと

思うのですが・・・?

 

タイトルが全く同じと言うのも

笑える所です。

 

黒田清輝が模写したって?

 

この絵が発表された時期は

確か黒田の滞欧期だったかな。

 

ロシアに行く暇など

有りませんから。

ましてや

発表されたばかりの作品。

模写する機会も

当然の事ながら有り得ません。

 

当時は名画じゃ無いんですから。

美術館に入っている筈も無い(笑)。

 

願わくば

落札者が

全てを承知の上で

この絵の中の女性を気に入って

入手されていれば

良いのですが・・・。