水曜日 スラニ



ジール(はぁ……結局ナナイさんと揉めたまま別れて、なんか疲れたな……)


リイヴ「おー、おかえりジールちゃん。出かけてたのかぁ」
ジール「あっ……兄さんも帰ってたのか。ただいま」


リイヴ「何処行ってたんだ?」
ジール「編集と打ち合わせして……で、その後にナナイさんに捕まって霊力を上げる為とか言われてレイブンウッドに連れて行かれて……喧嘩別れした」
リイヴ「なんで?」

ジール「……ナナイさんが頭ごなしにギャアギャア怒鳴るから悪い」
リイヴ「ほーん」


ジール「それより兄さんは仕事どうだった?上手くいったか?」
リイヴ「あー、上司は相変わらず生意気だが上手くいってる……てかジールちゃん!!なんで弁当がラーメンなんだよ!?」

ジール「兄さん、スープとかそういう汁物が好きだろ?」
リイヴ「好きだけども!!どんぶりに入れて持たせるのはなんか違くね!?」

ジール「なんだよ、ワガママだな」
リイヴ「ええぇ……」


そして21時



彼女(テンペランス)が現れたぜ!!
今はリイヴ操作中だったので、取り乱しておきましょうか。


リイヴ(んん?なーんか不吉な気配がするようなしないような……)


ジール「なんか悪霊の気配がするな……いや、今はそれより執筆……遅れたぶんを取り戻さないと……」
ヴェナート『ジール……世の中には執筆より大切なことがあるんだ……』


ちなみに兄弟の家の裏にはタロイモがありまして……なんと、死神キャリアに就いていると開花中の植物の魂を刈り取る事が出来ます。


タロイモを刈り取るぜ!


刈り取った後はこの通り、植物はなんか枯れた?のか萎れたのか小さくなりましてが所持品に入ります。


そして、その植物の魂をポストを使って行き場のない魂を送ったり出来ますぞ。


魂を送ったら、死生学のスキル経験値が溜まりますぞ。
死生学はなんか、こう、自律で死者の言葉を話して失敗して会話相手に負のメモリーを付けるから あまり良い印象がありませぬ……。

死神キャリアの仕事についていけば、ポータルに植物の魂も解放できるのかな?
また試してみようっと。


ジール「ふう、なんとか執筆が終わった……」
ヴェナート『終わった……じゃないだろ、後ろになんか悪霊いる』
ジール「まったく落ち着く暇もないな」


テンペランス『アンタね、無視してんじゃないわよ!脅かしてやる!!』
ジール「うわああああ、やめろっ!!PCが壊れたらまた修理する事になって、修理に時間を取られた分 執筆が遅れて締切に追われる羽目になる!!俺はそれが一番怖い!!」
テンペランス『アタシに怖がりなさいよ!!なんなのアンタ!!』


ジール「今さら幽霊の悪戯ぐらいでビビっていられるか!!こっちはずっと幽霊の恨み言を聞いて育ってきたんだぞ!PCが壊れる前にさっさと出てこい!!」
テンペランス『ええぇ……』

なんか指示したわけでもないのにキレてるモーションしてて草なんだ。


ジール「クソ、またPCが壊れた……修理しないと……」
テンペランス『ちょっとは怖がりなさいよ』
ジール「無理な相談だ、怖がらせたいなら他所をあたってくれ」


テンペランス(アタシにビビらないとか、なんて おもしれー男……いつの日か絶対ビビらせてやる!)


リイヴ「うおおおい!?なんか浮遊霊じゃなくてゴーストいるんだけどおぉぉ!?なんでジールちゃん、ゴーストが後ろにいるのに普通に執筆出来てんだよおぉぉ!!」


テンペランス『あっははは!このおっさん、めっちゃビビリじゃん!いい気味!!』
リイヴ「のああああ、なんかヤバそうな人形まであるじゃねえかよよおおぉぉ!!!」

ジール「うるさいな……気が散る」
リイヴ「この状態で気が散らないジールちゃんの方がおかしいだろっ!!」


めっちゃ不気味な人形並んでて草。
あとトイレぶっ壊されました。
ちなみにジールに執筆ばかりさせてるのは、あと1冊良い本を書けばベストセラー作家願望が次のステージに進むからです!
頑張れ!


テンペランス『どうよ、こんだけ呪われた人形があったらアンタも怖いでしょう!』
ジール「怖くはないが迷惑はしている」
テンペランス『はー、ムカつくわぁ〜』


リン『ちょっと、お姉さん!お兄さんが迷惑してるでしょ!嫌がらせやめなよ!!』
テンペランス『何よ、このチビ!!アタシはコイツをビビらせないと成仏できないのよ!』

リン『怖がらせても成仏しないでしょ!誰が片付けると思ってんの!?お兄さんだよ!!』
テンペランス『誰が片付けようがアタシの知ったこっちゃないわ!』

ヴェナート『霊同士で騒いでる』
ジール「カオスだな……」


ジール「電気も消えてしまったし、仕方ないから寝るか……リンと悪霊が騒いでてうるさいが」
ヴェナート『ホントにやかましいよなアイツら、霊のクセに活きが良すぎ』

ジール「霊のクセにって……お前だってゴーストだろ」
ヴェナート『…………まあな』


ジール「そういえば お前は他のゴーストと会話したりしないのか?それにお前はいつも姿を隠していて、具現化したこともないし……どんな姿なのかも未だにわからない」
ヴェナート『……他のゴーストには興味がないんだ。それにボクはお前とずっとくっついていたいから具現化なんかする必要ない。今さらそんなこと言わないでくれ』

ジール「そうか……相変わらず変わり者のゴーストだな。じゃあ、おやすみ」
ヴェナート『……おやすみ』




木曜日



ジール「朝だ……この大量の呪いの人形と、あの迷惑な存在に破壊された家具の修理と、掃除と、執筆の続きをしないと……」
ヴェナート『いや1時間しか寝てなくないか?』


ジール「問題ない、こういう時の為にムードレット・シルバーがあるんだ。これがあれば元気百倍……」
ヴェナート『エナドリみたいな扱いするな、あとそれって結局元気の前借りだろ……』


ズタボロの欲求はムードレット・シルバーで回復するんだよぉ!


リイヴ「あふぁ……そんじゃあジールちゃん、お兄ちゃんはお仕事行ってきますよ〜っと」
ジール「ああ、行ってらっしゃい」

リイヴ「……ちなみに今日の弁当は?」
ジール「味噌ラーメン」
リイヴ「……………うん、零さないよう気をつけて持っていくわ」


今日はリイヴを1人で仕事に行かせて……ジールは執筆を完了させて、ベストセラー作家の願望がまた1つ進みました。
ついでに魂の旅も2ステージまで進んでます。


ジール「ふう……執筆も終わったし、行くとするか」
ヴェナート『行くって……何処に?』


ジール「地下墓地だよ。昨日、アリスって人が子を捜してほしいって泣いていただろ。ナナイさんは関わるなって言ってたけど放っておけない」
ヴェナート『……地下墓地なんか行って、何かあったらどうするつもりだ』

ジール「何かあっても お前が助けてくれるんだろ?」

ヴェナート『お前はボクがいるのが前提で事を進めるよな。まあ、助けるのは決定事項だけど』

 


 コモレビ山



ジール「地下墓地がある場所といえば、やはりここだな」
ヴェナート『……お前、墓地は大丈夫なのか?それこそ、ここは霊の溜まり場って感じだけど』

ジール「ちゃんと葬られてるからか、悪い感じはしないんだよ」
ヴェナート『なるほど』


ジール「で……これが地下墓地か。この中にアリスの子供がいるんだろうか」
ヴェナート『当たり前のように入ろうとしてるけど、勝手に地下に入ったら怒られるんじゃないのか。適当に墓参りに来ましたって誤魔化して入れないのか』

ジール「ここは寺が管理してる寺院墓地だから、そういう嘘はすぐバレると思うぞ……埋葬されてる人や身内の情報も把握してるだろうし。住職が見てない内にコッソリ入るしかない」
ヴェナート『大胆……』

ジール(よし、誰も見てないな……今のうちに)
待たれよ!!
ヴェナート『めっちゃ見られてて草』


女性「無断で神聖なる地下墓地に入ろうとするなど、この痴れ者め!」

ヴェナート『なんだよ、子供じゃないか』
ジール「もしかしたら住職の娘かも……

ヴェナート『なんであれ邪魔だな……突き飛ばしてやろうか?』
ジール「すぐに暴力的発想出すのはやめろ、余計に大事になる


女性「拙僧の目の黒いうちは このような愚行は見逃さぬ!そこになおれ、成敗してくれる!」


女性「いざ出陣っ、うおっ!!


女性「あああぁぁ


バターン

ヴェナート『……転んだ』
ジール「ヴェナート、お前まさか突き飛ばしたのか?」

ヴェナート『ボクは何もしてない、アイツが勝手に転んだ』
ジール「まさかの自滅……」


ジール「お、おい……大丈夫か?」
女性「きゅ〜」

ヴェナート『気絶してる……今のうちに地下墓地に行けば良いんじゃないか?』
ジール「いや目の前で転んで気絶した人を放っていけるか!!」
ヴェナート『はぁ……これだから なかなか目的が達成出来ないんだ……』




女性「うーんうーん…………はっ!
ジール「おっ、起きたか。体とか大丈夫そうか?」

女性「ここは誰、拙僧は何処、お主は何様!!」
ジール「あ……頭打ったのか……?」
女性「頭……?」


女性「はっ、拙僧は今 全ての記憶を取り戻した!お主は……そう!神聖なる地下墓地に無断で足を踏み入れようとした痴れ者!拙僧は お主の愚行を目撃し、成敗する為に特攻した!そして儚く散ったのだ!」
ジール「散ってはいないだろ……ただ転んで頭を打っただけだ。そもそも床が凍ってて滑るわけでもないのに、なんで何もない所で転ぶんだ」

女性「それは、拙僧が何も無き場所で足が縺れて転倒してしまうという特技を持っているからである」
ジール「特技……?特技じゃないだろ、それ……」

ヴェナート『頭わいてるんじゃないの』
ジール「お前はシンプルに口が悪い……!


女性「……しかし、転倒の際の衝撃によって絶え入った拙僧を介抱してくれるとは……ただの痴れ者ではないようだな。父上は仰っていた、報恩の心を忘れてはならぬと。拙僧は お主の手によって気を取り戻した。この恩に対し、拙僧は お主の愚行を今回だけ特別に見逃すという行為を返そう」
ジール「いいのか、それで」


女性「うむ、恩を返すとは実に気分の良いものだ!拙僧はお主の罪を赦すことにより、お主だけでなく お主の知人の心の平穏も守ったのだ!感謝報恩!!」
ヴェナート『本人が満足してるんなら良いんじゃないのか』
ジール「……………………」


ジール(しかし、地下墓地への侵入は失敗したな……また日を改めるしかないか……?)


ジール「……とりあえず怪我が無いなら良かった。じゃあ俺はこれで……」
女性「待たれよ!お主の名をまだ聞いてはおらぬ!」

ジール「そんな名乗るようなものでも……」
女性「父上は仰っていた……この世に存在する事象は全て因と縁によって成立していると。これ即ち因縁生起“いんねんしょうき”!拙僧とお主の間には因縁によって結びつきが出来た!拙僧は この縁を良いものとして捉え、大事にしたいのだ!」
ヴェナート『このガキ、面倒くさい』

女性「拙僧はサクラ ミヤビと申す……お主の名は?さあ、さあ、さあ!!
ジール「ジ……ジール・レーヴェンだ」


ミヤビ「……じいる・れえべん、とな?」
ジール「そうだが……なにか……?」

ミヤビ「もしや、小説家のジール殿でござるか……?」
ジール「! そうだ、小説家だ!もしかして知ってるのか!?読んだことがある!?」
ミヤビ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛


ミヤビ「拙僧は、拙僧は!!ジール殿の小説の愛好者であるからして!!即ちっ!!推しておるからしてっ!!即ちっ!!


ミヤビ「……きゅ〜」
ジール「また気を失ったんだが!?」
ヴェナート『なんだコイツ……』