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奴と初めて出会ったのは……新たなキングによって体を滅ぼされ、ウィンカーの体で逃げおおせて分離の儀式を終えた後だった。
ドンドンドンドンッ
「だ、誰か!誰かいないんスか!!いるなら開けてくれ、助けてくれ!!」
ドライブ(……助けを求めている……?)
男性「あっ……!良かった、人がいた……た、頼む!助けてくれ!わー、悪いヴァンパイアに追われてるんでさぁ!」
ドライブ「悪いヴァンパイア……?」
「見つけたぞ!」
ヴァンパイアの女「……あなた、誰?そいつの仲間?」
ドライブ「……仲間……ではない……」
ヴァンパイアの男「そうか、じゃあそいつを渡せ」
男性「わ、渡さないでくだせえ!わー殺されちゃう!」
ヴァンパイアの男「ああ、殺すとも!そいつは敵だからな!!」
ヴァンパイアの女「仲間じゃないなら、そこを退いて!あなたには関係ない話よ!」
ドライブ「……助けを求めてる人を放ってはおけない……それに……1人相手に2人で寄ってたかって……ますます見過ごせない……」
ヴァンパイアの男「チッ、面倒な!」
ヴァンパイアの女「頑張って!」
男性「ひいー!」
ヴァンパイアの女「きゃあああ!大丈夫!?」
ヴァンパイアの男「いや……パワーが違いすぎるんだ……俺達に勝ち目はない……一旦引くぞ!」
ヴァンパイアの女「ええ……!」
ドライブ「ん……ケガとか、してないか?」
男性「はい、お陰様で!」
現代 レイブンウッド
「どっしええぇぇぇぇーー!!」
長髪の男「お、お前なぁ!何が可愛いだよ、ふざけんな!」
短髪の男「お前だって女だと思ってたじゃんか!」
短髪の男「幸いニヴ様もマゼンタもいないし……見なかったことにして、コッソリ逃げようぜ!」
長髪の男「そ、そうだな!」
男性達「へあっ」
ドライブ「……はぁ、まったく……酷い目にあった。まさか胸部を触られるとはな……危うく手が出るところだった」
『でも触られるまで女の子って思われてたよ、良かったね』
ドライブ「良かったけど良くはない」
『似合ってたのに……勿体ないなぁ』
ドライブ「嬉しくない褒め言葉だ」
『あの中……誰か入ってるのかな』
ドライブ「……入っているだろうな、遺体が。そして この漂ってくる香り……恐らく棺の中は血の海だ……文字通りの」
『ひ……』
エンジン「ガウ?」
ミッチ「ん、どうしたエンジン」
ミッチ「お、おい何処に行くんだよ!待てって!!」
男「悪いがな……こっちもやられたくないんだわ、来てもらうぞ」
エンジン「ガオ!」
男「何だお前は!?」
ミッチ「オレはミッチ……今からロックにお前を捕まえる男だ!」
男「はぁ……?」
ミッチ「おー、逃げろ逃げろ!」
男「あっ……ま、待て!」
男「うわああぁ!!」
ミッチ「え……マジ……?」
エンジン「……クゥン……」
ミッチ「う、うわー!!」
ミッチ「あっ……」
ミッチ「ライトー!!」
ライト「夜中に黒髪の女性を狙って徘徊している人が何を言っているんですか」
男「うるさい!とにかく邪魔立てはさせない!」
ライト「はぁ……」
ミッチ「おう、わりいなライト!今回ばかりは助かったわ!」
ライト「会話成立してませんけど?聞きたいのは礼ではなく、何をやっているのかという質問に対する答えだバカ」
ミッチ「バカって言うな!!」
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ミッチ「……か、活躍したかったんだよ……オレ1人だけ小学生のまま成長出来てね〜のは……オレが……弱くて何も取り柄がねえからだと思って……だから、サザンクロス……ドライブが今追ってる事件をオレが先に解決すれば、成長出来るし皆も見返せるかなって……」
ライト「事件……黒髪の女性を狙った連続殺人事件か」
ミッチ「なんだよ知ってんのかよ」
ライト「俺はバカのお前と違って毎日ニュース見てるからな」
ミッチ「だからバカって言うんじゃね〜よ!!」
ミッチ「み、見てたのかよ!!」
ライト「ええ、貴方が飛び出していってから ずっと後をつけていましたから。即座に連れ戻そうとしても“オレはロックにやれんだよ!”とか言って聞かないことは容易に想像できたので、魔法が効かずに情けなくも縮こまって現実を思い知らせたところで助けに入ったんです」
ミッチ「相変わらず性格わりいな……!」
ライト「そういう風にプログラムされていますので」
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ライト「まあ、これで分かったでしょう?貴方には事件の解決能力などないと。さっさと帰りますよ、オムニも心配しています。貴方を追いかける時、事前にミッチのことは私に任せてくださいと言ったので家で大人しく待っている筈ですよ」
ミッチ「なんでオムニも連れて来なかったんだよ」
ライト「アイツがいたら話がややこしくなるし、騒いでうるさいだけだろ」
ミッチ「あ~」
ミッチ「おう」
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ミッチ(オレじゃ事件を解決できない……でも……だったらどうすりゃいいんだ?どうすればオレは成長できるんだよ……強くなれるんだよ……こんなに成長が遅れたのは初めてだ……今のオレには……何が足りないんだ……?)
ライト「どうしました、エンジン…………っ!」
ミッチ「あ?」
ライト(反応鈍い、あのバカ!!こうなったら……)
ミッチ「うわっ、なんだよライト!!」
ミッチ「……ぅ……な、何が起きたんだよ……」
ミッチ「な、なんだテメェは!!」
エンジン「ヴヴヴ……!!」
レイブンウッド
『どうだった?彼らの記憶から情報は得られた?』
ドライブ「……大した情報は無かった。コイツらはニヴから黒髪の女性を連れて来いという指示を受けていただけ……ただの下っ端だ」
『そっか……』
ドライブ「!」
ドライブ「ふん、女性ではなくて残念だったな…………貴様が連続殺人事件に関わっている事はわかっている。無駄な抵抗は辞めて大人しく捕まることだな」
マゼンタ「…………………」
ドライブ「聞いているのか」
マゼンタ「………………ハァ……ハァッ、ハァハァ……!」
ドライブ「……なんだ?」
『なんか様子変だよ……』
ドライブ「……何をブツブツ言っている、気でも触れたか」
マゼンタ「…………………………………美しい」
ドライブ「…………?」
ドライブ「……………………は?」