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フォーゴットン・ホロウ
キバ「俺様も久々に来たわー」
ヤテン「……お前はフォーゴットン・ホロウに家があるのではなかったか……当たり前のように毎晩ウチに泊まっているが……」
キバ「まあ、そうなんだけどよ……やっぱ1人でいるよりダチとワイワイ過ごしたいじゃん?ハハハ!!」
ヤテン「……まあ、別にお前ならば構わんが……」
キバ「おう、アイツだぜ。つーか いつも親いねえな……あのガキ、変なテンションだから苦手なんだよな……」
ヤテン「話を聞くだけなのだから問題あるまい……しかしドライブさんはどうしたのだ?」
キバ「アイツ、最近忙しいらしいからよ……代わりに俺様が聞きに来たってわけ。でも俺様、長い話を一字一句違わずに覚えられる自信がねえから、お前を連れてきたってワケよ」
ヤテン「私はメモ帳ではないのだぞ、まったく……」
エンジン「ガオ!」
ミッチ「ん?」
ミッチ「えーっと…………あっ!」
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ミッチ「虎の聖地の管理人のおっさん!確か名前は……あんぽんたん!!」
AJ「覚えててくれて良かったよ。しかし、あんぽんたんではなくアントン・ジョンだよ……まあAJと呼んでくれ、その方が覚えやすいだろう?」
ミッチ「おう!」
ミッチ「オレは今ロックに飛び出してきてんだ!そんな簡単に帰れね〜よ!」
AJ「お父さんと喧嘩をしたのかね?だが、これでは風邪を引いてしまう……うーむ……」
AJ「ああ、今スープも作ってあげよう。座って待っているといい」
ミッチ「おう!」
ミッチ「ドライブが無神経なのがワリーんだ!アリスやライトと比べてオレ1人だけ成長が遅れてて、オレはそれを気にしてんのに……気にするなとか焦るなとかよ……焦るに決まってんだろ!下手な慰めしやがって!」
AJ「あー……そういうパターンか……」
ミッチ「それに心配だとか、何かあったらいけないとか……一言二言目にはそんな事言ってくるんだぜ?なんかもう気に食わねえ!」
AJ(親の心子知らず……)
ミッチ「なんで分かんねえんだよ、オレが頭悪いからか?」
AJ「いや……頭の良さは関係ない。そういうものだよ……子供は親の全てが煩わしく感じてしまう時期があるんだ。きっと今の君はそれさ」
ミッチ「ふーん」
AJ「それで、そういう時期の時にお互いに接し方を間違えたら……深い溝が出来てしまうんだよ。出来てしまった溝は一見 埋まってるように見えても残っていて、わだかまりが生じ続けてしまう」
ミッチ「説得力あるな、AJのおっさんはそんな体験したのか?」
AJ「……ああ」
ミッチ「おう……もしかして おっさんの娘か?」
AJ「そうだよ……でもね、もう6年も連絡が取れてないし……何処に住んでいるかわからない。縁を切られているような状態さ」
ミッチ「えっ!?親子なのに何でだよ!?」
AJ「私も娘も お互いに接し方を間違え……いや、主に私が悪いんだよ。私が娘に対して過保護すぎて、それが あの子の怒りを買ったんだ」
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AJ「私は昔から心配性で、娘に対して口癖のように“心配”とか“大丈夫なのか”とそればかり言っていた。そんなある日、娘がミュージシャンになりたいから都会の音楽学校に行きたいと言ってきて……私は“都会なんて危ないし、怖い人ばかりで心配だからやめなさい”と言ってしまった。その言葉が今まで娘の中に蓄積されてきた不満を爆発させた」
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「パパはいつも心配、心配、そればっかり!!あたしが何をするにもそればかり!!パパにとって あたしはそんなに心配するほどダメな子なわけ!?そんなに心配するってことは、あたしのこと信用してないってことだよね!?もうウンザリよ!!」
AJ「はは、そうだな…………寂しくはあるが、娘が生きていて幸せなら……私はそれで良いんだ」
ミッチ「連続殺人?そんな事件が起きてんのか!?」
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AJ「ああ……昨日もまた被害者が出たとニュースになっていたし……次は娘が狙われるんじゃないかと毎日毎日、気が気でないんだ……血を吸われて失血死しているからヴァンパイアの仕業らしい。だからヴァンパイアのエキスパート組織のサザンクロスが捜査してるというが……未だに犯人を捕まえられてないみたいだし、早く何とかしてほしいものだ」
ミッチ(サザンクロス……じゃあドライブが最近帰りが遅かったり、部屋に引きこもってPCばっか触ってんのも、その事件のせいか……)
AJ「おや、誰か来たみたいだね」
オムニ「すんませーん!!この家にミッチっていう金髪の子来てませんかー!?」
ミッチ「……オムニだ」
AJ「オムニ?君のお兄さんかな?」
ミッチ「んまぁ……そんなとこ」
オムニ「あっ……アンタ、確かアントンさん!?虎の聖地の管理人の……」
AJ「いかにも……あなたもホワイトタイガーを引き取った時にいたな」
オムニ「へい!いやー、まさかミッチがアントンさん家にいたとは!」
AJ「雨に濡れているところを見かけたので、風邪を引いてはいけないと思い招いたんだ……しかし、よくここにミッチくんがいるとわかったね」
オムニ「オレ、ヴァンパイアだからミッチの気を探って来たんスよ!!」
AJ「なるほど」
ミッチ「…………」
ミッチ「なんだよ……ドライブに頼まれて来たのかよ」
オムニ「んん……ドライブさんから今 私が行ったら逆効果だから お前が行けって頼まれたんだよ。つーか、ドライブさんと何かあったのか?」
ミッチ「ドライブが無神経なのがいけねーんだよ!」
オムニ「む、無神経!?ドライブさん、無神経どころか神経使いすぎっつーか心配性な方だと思うけど」
ミッチ「そう、その心配性なのが気に食わねーんだ!」
オムニ「んあ!?」
オムニ「んあああ!?そんな事はないだろ〜!?急にどうしたんだよミッチ〜」
AJ「す、すまん……恐らく私のせいだ……」
ミッチ「うっ……」
AJ「それに人の家で大声出して喧嘩するのもロックではないだろう?」
ミッチ「確かにロックじゃねえ……わりぃ、おっさん……オレ、帰るよ。風呂とスープありがとな……」
AJ「うんうん」
オムニ(すげえー!あのミッチを簡単になだめるなんて……オレもこのくらい出来たらなぁ……)
ライト「まったく……こんな肌寒い日に傘も持たずに飛び出していくなんて相変わらずバカですね」
ミッチ「うるせーぞライト!」
アリステラ「もう、喧嘩しないの……」
ドライブ「…………おかえり」
ミッチ「……………ふんっ」
アリステラ「ミッチちゃん、ドライブちゃんも心配してたのよ」
ライト「あのバカは今は意固地になっているから、何を言っても届きませんよ……放っておきなさい」
ライト「どうせミッチが変に捻くれているだけでしょう」
ドライブ「いや……私が余計なことを言ってしまったんだ。それでアイツが怒ってしまったんだ」
ライト「子供にナメられては終わりですよ、ガツンと言ってやれば良い」
オムニ「いやいやいや、意地になってる子にそれはダメだってオレでもわかるぞライト!ミッチも今は興奮してるでしょうし、また落ち着いてる時に話しましょうや……」
ドライブ「ああ……」
ドライブ「ああ……しっかり食べなさい」
ミッチ「……………」
オムニ(ミッチまだ機嫌悪いのかよ〜。気まずいなぁ……)
ドライブ「ああ、きっと作れるさ。今度料理のコツを教えよう」
ミッチ「……………」
ライト「いつまで不貞腐れてるんですか?そんなんだからお前はいつまで経ってもガ」
オムニ「ああっと足が滑ったああぁ!!」
ライト(オムニの奴、蹴ってきやがった)
アリステラ「はぁ〜い」
ミッチ(サザンクロス関係の話……)
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ミッチ(……AJのおっさんが話してた連続殺人についての話でもすんのかな……?やっぱり、オレが皆を見返しつつ成長するには……ドライブよりも先にこの事件を解決するしかねえ……オレだって魔法使いの力があるんだ。オレだって……やれるってことを、そしてリーダーらしいとこ見せてやる……!!)