⚠WARNING⚠
血の表現があります、苦手な方はご注意ください。
ドライブ(現場は ここか……ドアが壊されているな)
ブレーキ「お疲れ様です、ボス」
クラクション「酷いもんですよぉ……親も子供もバラバラに引き裂かれて……グロテスク……うぷ……」
ブレーキ「刃物を使った形跡はなく、鉤爪のようなもので切り裂かれた傷口があり、他にも四肢を引き千切られていたりなどしています……恐らく何らかのオカルト種族の犯行かと……」
ドライブ「そうか……私も確認してみよう」
クラクション「うぅ、最近 物騒ですねぇ……黒髪美女ばかりを狙う連続殺人事件の次は一家惨殺事件ですか……うー……私、黒髪じゃなくて良かったぁ!」
『エールートだ……エールートの気配が微かに残ってる……』
ドライブ「……!」
『うん、そう……無邪気で幼くて純粋で……だからこそ誰よりも残酷になれる子』
ドライブ「確かに善悪の区別がついていなさそうだったな…………私が一番嫌いなタイプだ」
ドライブ「…………行動に深い理由も整合性もない あのウルフが この周辺にいるという事か……あのような奴が彷徨いているとなれば危険極まりない。トマランの警備強化と……小学校の方にも警備を……登下校にもハンター達を……はあ、やることが多いな……」
『…………ごめんね、僕の……眷属?エールートがこんな事して……』
ドライブ「お前が謝ることでもなかろう、それに私に謝っても……この一家の命は戻ってはこない。それより奴が居そうな場所に心当たりはないのか」
『……僕も、あの子のこと……よくわからないから……』
ドライブ「そうか……」
アリステラ「うん……ごめんね、オムニちゃん……私、最近 泣いてばっかり、暗い顔してばかりで……」
オムニ「仕方ねえよぉ……ツヨシに虐められてた挙句、そのツヨシは誰かに殺されちゃって……もう滅茶苦茶だよぉ、情緒が壊れちまうよ こんなの……」
アリステラ「…………私のせい、なのかな……ツヨシちゃん、私が転校してきてから滅茶苦茶だって、最後に言ってたから……」
アリステラ「オムニちゃん……」
オムニ「悪いのは虐めてたツヨシだし、ツヨシを殺したやつが悪いんだ!!自分を責めちゃダメだぞ!!」
アリステラ「うん……」
アリステラ(………………)
ツヨシ「あっ……ヤバっ……」
オムニ「待てコラー!!」
そして、エルちゃんは私がツヨシちゃんに責められてる間にいつの間にかいなくなって……そして、ツヨシちゃんが殺された。
オムニ「いいぞ、じゃあオレも一緒に……」
アリステラ「ううん……1人で行きたいの。1人で静かに、気分転換したいんだぁ……」
オムニ「んあ……そ、そうか……わかった。でもなるべく早めに帰るんだぞ」
アリステラ「うん、ありがとうねぇ」
オムニ「あ……おかえりなせえ」
ドライブ「ああ……アリステラの様子はどうだ?」
オムニ「へい……やっぱり、こう……ヘコんでます……今は気分転換に出かけてます」
ドライブ「まさか、1人でか?」
オムニ「へい」
オムニ「公園ッスけど……なんか あったんですかい?」
ドライブ「ツヨシを殺したのは…………カオスの眷属のウェアウルフだ。そのウェアウルフがトマラン周辺をまだ彷徨いているかもしれないんだ、1人で出歩かせて襲われては危険だ!」
オムニ「んえぇ、マジっすか!?」
ドライブ「ああ……とにかく私は公園に行ってくる!もしいなかったら また連絡するから待機していろ!」
オムニ「へい!」
アリステラ(私、やな子だよぉ……エルちゃんのこと友達って、そんなことしない、信じたいって思ってるのに……エルちゃん本人に直接聞きたいって、そんな事してないって言ってもらわないと安心できないなんて……エルちゃんのこと、そういうことをするかもしれないって酷いこと思っちゃってるんだ……私、酷いよぉ……)
ツヨシ「だって、君が転校してきてからチーキーちゃんはずっとイライラしてて笑ってくれないんだ!!チーキーちゃんだけだったのに……皆から馬鹿にされて無視されてた僕に話しかけてくれたのは……僕に笑ってくれたのは……!!だから僕はチーキーちゃんの笑顔を取り戻したかっただけなんだ!」
アリステラ「あ……ドライブちゃん……」
アリステラ「うん、大丈夫よぉ」
ドライブ「そうか……アリステラ、悪いが今日はもう帰ろう……その……カオスの眷属が この辺りを彷徨いているかもしれないんだ」
アリステラ「カオスの……眷属が……?」
ドライブ「ああ、そうだ……ツヨシを殺したのはエールートという名のウェアウルフ。あれは善悪の区別がついておらず、何をしでかすか分からない怖さがある……お前はまだ戦う力が無いし、1人でいる時に奴に遭遇したら危険だ……暫く1人での外出は控えてくれ」
アリステラ「……わかったわ」
翌日 トマラン小学校
ライト「カオスの眷属が辺りを彷徨いているらしいですからね……警備を強化しているそうです」
ミッチ「それだったら学校休みにして、家にいた方が安全じゃね?」
ライト「ツヨシ一家は自宅にいたところを殺害されました。相手はドアをも破壊して中に押し入ってきますし、絶対安全な場所などありはしませんよ。それに警備強化といえども人員に限りはありますし、住民1人1人の家に警備をつけていてはハンターも人件費も幾らあっても足りませんし、家にいろと強制するほどの費用も権力もサザンクロスには無い。普段通りの生活を送ってもらい、学校や職場など人が多数集まる場所を集中的に警備するのがコスパが良いんです」
ミッチ「よくわかんねえが、そうなのか?」
ライト「そうですよ」
男子生徒「やっとツヨシの良さがわかってきたところだったのに、寂しいなぁ……でも、チーキーはもっと悲しいよな……」
チーキー「悲しい?なんで?」
女子生徒「なんでって……ツヨシと仲良かったじゃん」
男子生徒「それに皆の噂になってたんだぞ、ツヨシとチーキーはお互いが好きで両思いって」
男子生徒「え?でも、いつも一緒にいたじゃん」
チーキー「あのね、一緒にいて“あげてた”のよ!そもそもアタシが あんな元いじめられっ子のツヨシなんかに好きこのんで話しかけると思う!?なんでツヨシに話しかけたのか教えてあげる!ただの罰ゲームだったのよ!一番ダサい奴に話しかけろっていうね!」
チーキー「それで、罰ゲームに従って ちょっと話しかけてやったらツヨシのやつ、すっかり その気になっちゃったの!でもツヨシは“都合が”良いやつだったわよ!だってアタシのお願いは何でも聞いてくれたもん!アタシに好かれたくて必死だったんだろうね!だからアタシはツヨシのご機嫌とって、良いように動かしてやったわけ!でも、そんなツヨシがいなくなっちゃったから確かに悲しいかもね〜」
チーキー「……あれ……皆、急に黙っちゃってどうしたの?」
子供達「…………………」
チーキー「ねえ、ちょっと……」
女子生徒「……サイテー」
チーキー「えっ?」
女子生徒「死んだ人相手に普通そういうこと言うかなぁ……マジであり得ないんだけど……」
男子生徒「しかも仲良くしてた理由がそれかよ……ツヨシ、あんなにお前に尽くしてたのに……可哀想だな……」
チーキー「なっ、なによ!」
女子生徒「チーキーってクズだったんだ……まあ、前からそんな感じはしてたけど」
男子生徒「本性見えちまったなぁ……死んだ人を悼むんじゃなくてバカにするとか……人の心無さすぎ」
女子生徒「良心ってもんがないの?」
女子生徒「実はチーキーがツヨシ殺したんじゃないの?それか殺し屋に頼んだとか」
チーキー「はぁ!?そんなわけないじゃん!」
ミッチ「…………………」
女子生徒「自分の醜さにも気づけてないって哀れだよね……」
女子生徒「これが犯罪者予備軍ってやつじゃないの?」
男子生徒「ツヨシみたいな良いやつが死んで、こんなクズが生きてるって世の中おかしいよな」
女子生徒「ツヨシじゃなくてアンタが死ねば良かったのに」
チーキー「は……?」
男子生徒「ホントだよ。というか、こんな奴生きてたって世の為にならないし死んだ方が良いんじゃね?」
女子生徒「ツヨシくん殺した犯人捕まってないみたいし、ソイツにアンタが次殺されればいいんだよ」
チーキー「な……な……」
女子生徒「わっ、泣いちゃった」
男子生徒「被害者ヅラすんなよクズ、お前が悪いんだろ」
女子生徒「自分が悪いくせに都合が悪くなったら泣きだすとかマジでキショい、死んでほしい」
ライト「あー……またバカが騒いじまったか……」
女子生徒「なによアンタ!こんなクズの味方する気!?」
ミッチ「オレは別に誰の味方でもねえ!中立だぜ、ロックだろ!」
男子生徒「だったら黙ってろよな、こちとら世の中の悪の根を摘もうとしてんだから」
女子生徒「じゃあ、なんで止めるわけ?」
ミッチ「お前らもコイツと同じくらいに ろくでもねー事をし始めたからだ!」
女子生徒「はぁ〜?私達は間違ったこと言ってないけど?」
ミッチ「1人に数人で寄ってたかって死ねだとか暴言吐くのは間違ってねえのか?」
女子生徒「なんですってえぇ……」
ライト「バカは煽るのが無駄に上手いですねぇ……」
女子生徒「……わかったわよ」
ミッチ「なんだよ、ジッと見てきて!言いたいことあるなら言えよ、ロックじゃねえな!」
チーキー「…………あり、がとう……」
ライト(……あの熱を帯びた熱い眼差し……将来的に厄介なことになりそうな気がするぜ……)
夜 ドライブ邸
アリステラ「ふふ、ありがとうねぇオムニちゃん……」
オムニ「良い夢見るんだぞ!おやすみ!チュッ!!」
ドライブ「ああ……ご苦労」
オムニ「でも、ドライブさんがよく寝かしつけてたのに急にどうしたんスか?」
ドライブ「……………」
オムニ「あー、なるほどッス!」
ドライブ(本当は、最近 夜になるとカオスがよく話しかけてくるからな……アリステラと接してる時にタイミング悪くカオスが現れて、痛みに呻く所を見せたくないのだが……今言ったら話がややこしくなるしな……)
オムニ「最近 早寝早起きですね」
ドライブ「まあな」
オムニ「なんか、お爺ちゃんみたいッスね!!」
ドライブ「つっ…………あ、あれは……一種の愛情表現だ、お約束だ。アイツは殴られるのが好きなんだ」
『そうなんだ、バイオレンスな関係だね』
『うん……ごめんね、沢山話しかけちゃって。ちゃんと人と話したの……初めてで はしゃいでるんだ』
ドライブ「構わん……この痛みにも慣れてきたしな……それで、今日は何の話をしたいんだ?」
『あのね、あの子達が通っている……ガッコウ?について知りたいな』
ドライブ「ああ、学校か……いいぞ。学校というのは…………」
バタン
オムニ「んあ?ドアの音?ミッチ達は寝てるだろうし、ドライブさんか?」
オムニ『ドライブさああああっ!!』
ドライブ「……オムニ?」
オムニ『アリスが……アリスが外に飛び出していっちまったんです!!』
ドライブ『なに……!?』
オムニ『い、今……見失わないように追っかけてますけど、アリス足早すぎて!あと、なんか学校の方に向かってるっぽい!?嫌な予感がしますし、ドライブさんも来てくだせえ!』
ドライブ『ああ、わかった!』
キバ『へいへーい、超絶イケメ』
ドライブ「出るのが遅いっ!!貴様、今ヒマか!?」
キバ『なんだよテメーは!ヒマだけど それがどうした!!』
ドライブ「緊急事態だ!今すぐ私の家に来てミッチとライトとエンジンを見ていろ!!事情は後で話す!!」
キバ『なんなんだよぉ!!』
アリステラ「…………エルちゃん……私、エルちゃんに聞きたいこ」
アリステラ「……チーキー、ちゃん……?どうして、チーキーちゃんの名前が出てくるの?」
エールート「だって、ソイツもアリスのことイジメてるんだろ?サプライズでチーキーのこと やっつけてアリスを喜ばせよーと思ったけど、オイラはチーキーのこと全然わかんないから、探しようが無くて!」
アリステラ「……やっつけるって……どういう風に?」
エールート「どういう風にって、そりゃあバラバラに引き裂いて壊しちゃうんだよ!この間の……ツヨシってやつ!アイツもオイラがバラバラに壊したんだ!でもアリス、喜んでなかったみたいだからさー。チーキーをやっつけたら、アリス、笑ってくれるかなって!」
アリステラ「………っ!!」
エールート「んん?」
アリステラ「どうして、そんな事したの!!私が そんな事してって言った!?壊したりなんかしちゃ駄目だって、言ったじゃないっ!!」
エールート「だってアリス、物は壊しちゃダメって言ったけど……人は壊しちゃダメって言わなかったよー?」
アリステラ「あ……」
アリステラ「だって……あなたが!!ツヨシちゃんを……!!」
エールート「……ツヨシツヨシうるさい……オイラより、あんなに意地悪するヤツが好きだったの?」
アリステラ「好きとかそういう問題じゃないの!!あなたは……」
エールート「ああああー!!なんでそんな大声出すんだー!!なんで、そんなに冷たい目でオイラを見るんだ!!なんで、そんなに怒るんだ!!なんで褒めてくれないんだ!!なんで優しくしてくれないんだ!!アリスならオイラに優しくしてくれるって、思ってたのに!!」
アリステラ「エルちゃん……!」
アリステラ「ひっ……!」