⚠WARNING⚠
血の表現があります、苦手な方はご注意ください。
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サラリン(最近 狭間の世界からカオスの気配がしない……まさか、とは思ったけど やっぱり彼の中にいるのかな)
サザンクロス本部
ドライブ「ああ……」
ドライブ「……表面上は元気だが、心境までは分からない。ひとまず問題が解決するまで学校は休ませている。しかし、一週間も我慢させていたとはな……てっきり別のことで悩んでいるのかと思って、気づくことが出来なかった……私は親失格だ……」
ハンドル「ボス……」
ガツッ
ドライブ「やかましい!!自分で思っていても、改めて人に言われると腹が立つんだ!!」
ハンドル「ええぇ……」
ドライブ「そうなのか?」
ハンドル「そうですよ!家は基地、親は子供の防波堤とも言いますからね。家が心からリラックス出来る環境であり、親は何かあった時に助けになってくれる存在である事が何よりも大事ですからね!ちゃんと支えてあげましょう!」
ドライブ「ああ……」
ドライブ「……私も同じ気持ちだ」
ライト「貴方がバカなのは周知の事実ですが、こればかりは私が一番悪い……アリステラがツヨシから嫌がらせを受けていたとは薄々感じていましたが……精々子供の軽い嫌がらせだと甘く見ていた。セーターを燃やすほどのイキすぎた行為とは思わず……アリステラが言わないでと言っても話すべきだった」
ドライブ「……誰が一番悪いかは重要ではない。気づくことが出来なかった、力になれなかった、アリステラに我慢させた……この事実に変わりはない。だが今は……己を責めるより やるべきことがある」
オムニ「やるべきこと……」
ドライブ「たわけ、そんな事をしたら話が ややこしくなるわ。こういう時には第三者の介入が必要だ、つまり学校だ。まずは学校に報告、相談だ」
オムニ「なるほど!イジメが起きるとか なんて学校だコラアアァってブチギレるんですね!」
ドライブ「キレ芸から離れろ、学校側に喧嘩を売ってどうする。学校にとっては被害者親の方が煙たい存在なんだ、大事にしたくないし、イジメなんてありませんでしたと片付ける方が簡単だからな。感情に任せて言葉を吐くのではなく、冷静に相談だ」
オムニ「へ~い」
ドライブ「まあ、学校への相談は私がやる。お前は日中、皆が留守の間アリステラを見るようにな」
オムニ「ういっす!!」
ドライブ「まだ起きていたのか……先に寝ていても良かったのだぞ」
アリステラ「えへへ……ドライブちゃんにギューとしてもらって安心しないと眠れないんだぁ」
ドライブ「やれやれ……」
アリステラ「ありがとう~、ふふふ……」
ドライブ(昨日から ずっと甘えん坊だな……だが、遠慮せずに甘えてくれるのは安心するものだな)
アリステラ「ドライブちゃんは?」
ドライブ「私が片付けが済んだらベッドに入る」
アリステラ「うん、絶対だよぉ……」
『…………………』
ドライブ「うっ……ぐ……」
ドライブ(また、来たか……今度こそ、コイツと、対話を…………しかし、ここでは呻き声でアリステラを起こしてしまう……!)
『……僕は……名前は無い……名付けてもらえなかった。でも皆が、僕のことを“カオス”って呼ぶんだ……』
ドライブ(カオス、だと……?あの、狭間の世界から帰ってきた時から、声がするから……まさかとは思ったが……何故、貴様が私の中にいる……!何が狙いだ……!)
『狙い……?僕は……僕は ただ……君といたかっただけ……君には僕の声が聴こえるし、君も僕と同じで どこか寂しさを抱えてる人……あの子達には僕の声が聴こえないし、僕の気持ちもわからない……でも君は僕の声を聴いたから、わかってくれそうだと思ったから、君と一緒に行きたかった。そうすれば、寂しくなくなりそうだったから……』
『敵……?僕は、誰のことも敵だなんて思ってないよ。それに君の記憶が戻らないと……君の大切な人達が、悲しむと思ったから……悲しいのは見たくない……僕を作ってくれた人は、僕に沢山悲しい気持ちや辛い気持ちを食べさせてきて……それが凄く苦しかった……悲しいのは嫌だ……』
ドライブ(作った人……?サラリン、か?)
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『そう、サラリン。あの人は僕を作ってくれた、僕にとってあの人はパパだった。でも あの人にとって僕は道具だった。あの人が沢山 負の感情を食べさせてきて、僕が力をコントロール出来なくなったら、あの世界に僕を閉じ込めた。それから僕はずっと……ずっと、独りぼっち。僕と同じように作られた道具が何度も何度も殺しに来る……』
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『狭間の世界にいる子達は、気づいたら僕の側にいる。誰かがいなくなったら、また新しい誰かが来る。あの子達は僕の声を聞いてやってきたと言うけれど、僕の声は届いてない。僕を守るのは僕の力が欲しいから。僕の力を使って自分の望みを叶えたいから、だから守ってるだけ……でも……僕の事を守ってるのは確かだから……友達だと思いたいんだ』
ドライブ(声を聞いてやって来た……守る……眷属達のことか……)
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『……僕は……やっぱり いらない子、なのかな……サラリンも、あの子達も……結局欲しいのは僕の力だけ……君や、君の大切な子達にとっても、僕は危険な存在で……殺したい相手なんでしょ?本当は消えたほうが良いってわかってる……でも僕は自分で自分を破壊できないんだ……』
ドライブ(………………お前は……お前は、何が望みなんだ……?世界の破滅か?)
『…………僕は……』
ドライブ(そうか……)
『……信じてくれるの?僕の言葉……』
ドライブ(……無条件に信用できるほどではないし、鵜呑みにした訳ではないが……お前からは、元々 悪意や敵意を、感じなかった……それに……サラリンには何か……“裏”を感じる…………私は……自分自身で、何が真実かを、確かめる……)
『……そう……』
『ほんと……?でも、どうして……?』
ドライブ(………………私も、いらない存在だと言われてきた……親に売られ、価値のない存在だと言われてきた……だが、そんな私にも、優しく接してくれた人がいた……だから、私も……彼のように、なりたいだけだ……)
『彼って……ウィンカーって人?』
ドライブ(……ああ、そうだ……)
『ふふ…………ありがとう、僕の話……聞いてくれて。やっぱり君に……ついてきて良かったな』
翌日 金曜日
オムニ「いいのいいの!!アリスはずっと我慢して頑張ってきたんだから、これは休憩!ご褒美だと思えば良いんだよ!のんびりゆっくりしていいんだよ!」
アリステラ「そうなのぉ?」
オムニ「そうだよ!」
アリステラ「あら、エンジンちゃん どうしたの~?」
オムニ「んあ、散歩行きたいのかも!アリスも一緒にエンジン散歩させるか?」
アリステラ「うん!行く~!」
アリステラ「ふふ、そうだねぇ」
オムニ「んん?誰だ、エルちゃんって」
アリステラ「最近 一緒に遊んでる お友達なの」
エル「むにゃ…………アリス?」
オムニ(あっ……アリスと痴話喧嘩してた猫耳ティーンじゃん!!や、やっぱりアリスの本命!?)
エル「えへへ、ここにいたら そのうちアリス来るかなーって思って、待ってたんだー!!そうしたら眠くなって、気づいたら寝てた!でもアリスきたー!!やったー!」
オムニ「んえ……重いぃ……」
エル「んー?」
オムニ(いきなりコイツ呼び!?ドライブさんだったら礼儀がなっとらんってブチギレ案件だぞ……)
アリステラ「この人はオムニちゃん……私の…………お兄ちゃんなんだぁ」
エル「そっか、おにーちゃんか!オイラはエルだぞー、アリスの友達!!よろしくなー、おにーちゃん!!」
オムニ「お、おう……」
オムニ(これって将来結婚したいから お義兄ちゃんってコト?)
オムニ「んあ?誰の腹の音だ?」
エル「……オイラ……お腹空いた……昨日の昼からずっと待ってて……何も食べてない……」
アリステラ「ええっ!?」
オムニ「おいおいマジかよ!」
エル「だって……食べ物探してる間にアリス来たら どうしよーって思って……」
オムニ「んああ!色々おバカ!今 屋台で食べ物買ってきてやるから待ってろ!」
エル「だって、アリスと会いたかったんだもんー」
エル「だってオイラに優しくしてくれたのはアリスが初めてなんだもん!オイラ、ずっと独りだったんだ!とーちゃんもかーちゃんも、オイラが頭おかしいって言って捨てたし、遊んでくれる友達がいても いつの間にかいなくなっちゃうし……今一緒にいる人達も、オイラのことバカだって言って仲間外れにする!冷たい!だからアリスだけなんだ!オイラに優しくしてくれるの!!」
アリステラ「……そうなの……」
エル「アリス!?誰だ、アリスに石ぶつけたのー!!」
アリステラ「あ……ツヨシ、ちゃん……」
エル「お前かー!石ぶつけたのはー!!」
ツヨシ「……学校休ませられた。昨日の事で母さんや父さんに叱られたんだ……よくもトラブルを起こしたなって、嫌がらせされる お前が悪いって……凄く叱られた…………君のせいだ!!」
アリステラ「えっ……」
アリステラ「そんなの……無茶苦茶よ……そもそもツヨシちゃんが、そんな……嫌がらせなんかしなければ……」
ツヨシ「だって、君が転校してきてからチーキーちゃんはずっとイライラしてて笑ってくれないんだ!!チーキーちゃんだけだったのに……皆から馬鹿にされて無視されてた僕に話しかけてくれたのは……僕に笑ってくれたのは……!!だから僕はチーキーちゃんの笑顔を取り戻したかっただけなんだ!」
エル「………………」
ツヨシ「あっ……ヤバっ……」
アリステラ「オムニちゃん、追いかけなくても良いよ……!今ドライブちゃんが頑張って丸く収めようとしてるのに……私達が揉めたら、台無しになっちゃう……」
オムニ「う、うぅ……」
アリステラ「大丈夫よぉ、オムニちゃん……オムニちゃんが飛んできてくれて、凄く嬉しかったわぁ」
オムニ「んんん……オレ、不甲斐ねえよぉ……」
アリステラ「もう、大袈裟だよぉ」
アリステラ「えっ…………エルちゃん?エルちゃん、何処行っちゃったの?」
オムニ「お腹空いてるって言ってたのに!つか食いもん買ってくるって言ったのに!!」
アリステラ「大丈夫かなぁ……」
オムニ「んー……まっ、大丈夫だろ。一応エルを探しながら周りをグルっと散歩しようぜ」
アリステラ「うん」
ツヨシの父「昨日に引き続いて、今日もまた学校から呼び出し!?どういう事だ!!」
ツヨシの母「知らないザマスわよ!!昨日の件は片が付いた筈なのに、一体何だってんザマスかね!!」
ツヨシ「う……」
ツヨシの母「子育てをぜんっぜん手伝わなかったくせに その言い草は何ザマス!!あの子は貴方に似てしまったんザマス!!貴方の遺伝子が しょうもないんザマス!!」
ツヨシの父「亭主に向かって その口の利き方はなんだ!!」
ツヨシ「えっ、なに……」