コモレビ山 アマノハラ家


タスク「…………………」
キバ「どうしたタスク、俺様がイケメンだからって惚れんなよ?」
タスク「イエ……キバ様って、タダ飯食らいならぬタダ血食らいダナ……と思いマシタ」


キバ「ぐはあああぁ!!
タスク「ドウシマシタ、キバ様」

キバ「いや……今の言葉、俺様の胸に深くふかーく突き刺さったわ……」
タスク「アア、自覚あったんデスネ。毎日毎日泊まりに来ては稼ぎもなくて、かといって家事をするワケデモナイ、ブラッドパックを注文するだけのニートだって……」
キバ「やめろやめろ!!それ以上言うなー!!」


キバ「言っておくが俺様はニートじゃねえ!ちゃんと働いてるわ!シムの街で暮らしたいっていうヴァンパイア達を指導して、人間性を取り戻したヴァンパイアにしてっからな!!ただ……お賃金が出てねえだけだ!!」
タスク「デモ、稼ぎがないからタダ血食らいに変わりはありませんネ」
キバ「うぐぐぐぐ……」


キバ「……やっぱ俺様、ヤベーよなぁ……ヤテンに貴様はいい加減迷惑だ!暫く来るな!とか怒鳴られる日も近いか……?」
タスク「ヤテンサン、そんなコト言わないと思いマスガ……心配ナラ、家事デモしてみるとかどうデスカ?例えば料理、仕事から帰ってキテ疲れたヤテンサン……とついでにセイメイサンを、美味しいご飯で オモテナシするんデス」

キバ「えー、なんか専業主夫みてえでヤダー。俺様ヤテンと結婚した覚えねえしー」
タスク「……絶交される日も近いカモ……」
キバ「じょ、冗談だって!!ヴァンパイアジョークだよ!!」


キバ「しゃーねえなー、俺様がクソ美味い料理でも振る舞ってやるかー!アイツ ガリガリだし、美味いもん食って太らせてやっか!」


タスク「キバ様、お料理は経験ありますカ?」
キバ「あるわけねーだろ?俺様ヴァンパイアだぜ?ブラッドしか口にできないんだぜ?料理なんざしたことねえが、まあ何とかなるだろ」


キバ様のお料理地獄。


意外と上手い……だと……。


キバ「で、これをグリグリ掻き混ぜるんだろ?ヤテンはボウルを支えずに掻き混ぜてたが、俺様はそんなヘマしないぜ!」
タスク「なかなかやりますネ」


料理スキル1なのに変なことしないぞ……?
やはりヤテンがドジっ子だったのか……。


キバ「あとは焼いて終わりだぜ!」
最近キバ様の顔が可愛く見えてきたプレイヤーです。


キバ「ほーれ、出来た!野菜餃子いっちょあがり!」




ヤテン「ただいま……ああ、今日も来ていたのかキバ」
キバ「おうよ!おかえり!」

ヤテン「うむ……その野菜餃子は?」
キバ「疲れて帰ってきてるお前をたまには労ってみようと思ってな、作ってみた」
ヤテン「お前が……!?」


ヤテン「お前が私の為に作ってくれるとは……ふふ、嬉しいものだな。ありがとう、早速いただくとしよう」
キバ「おうよ!!」


ヤテン「いただきま……ぐっ!?


ヤテン「……キバ、これは、その……何の料理だろうか?」
キバ「見りゃわかんだろ?野菜餃子だ!」

ヤテン「そ、そうか……何の野菜を使ったのだ……?」
キバ「とりあえず野菜という野菜を全部ぶっこんだぜ、キャベツ、トマト、ほうれん草、ゴーヤ、ナス、ピーマン……でも野菜だけだと味気なさそうだし、炭酸飲料とマヨネーズで味付けしといたぜ!!」
ヤテン「うぐううぅ……!!


キバ「……もしかして不味かったか?」
ヤテン「そんな事はない。こ……個性的な味だが」

キバ「ヤテンよぉ……俺様達、マブダチだろ?下手な誤魔化しや隠し事は無しだ。正直に言え、お前になら何を言われても傷つきやしねえよ」
ヤテン「そうか……ならば、正直に答えよう」


ヤテン「今まで生きてきた中で一番不味い餃子だった……!!」

 


 カッパーデール



キバ「……という事があって、傷つきはしなかったが今までの人生で一番不味い餃子と言われてヤテンを見返してやりたくなったわけよ」
オムニ「んあ〜、事情はわかったけど……なんでオレに教わろうと思ったワケ?」


キバ「お前、大学に通ってた時は料理学専攻してたじゃん?料理について詳しくて、なおかつ暇な奴がお前しかいなかったんだわ」
オムニ「んえぇ……確かに料理学は専攻してたけど……講義に居眠りしながら出て、最終試験は丸暗記して答えてただけだから知識もスキルも実質0よ……そして丸暗記したことは全部忘れた」
キバ「マジかよ……」


オムニ「んー、でもやってれば思い出すかもだし!?とりあえずまあやってみるわ!」
キバ「おう……てか お前もドライブもヴァンパイアなのに、なんで食材が揃ってんだ……?」

オムニ「たまにウチでサザンクロスの会議をやるんだわ、その時にドライブさんが部下にメシを振る舞うから食材はいつでも揃ってる!」
キバ「へー、アイツ料理出来るんだな」
オムニ「シムだった頃は よく料理してたらしいからな〜。オレも料理出来るようになったら、ドライブさんの手伝いできて褒められるかも……?」


オムニ「んぇーい、見てろよオレの華麗な包丁さばき!!」


オムニ「で、ボウルをかき混ぜんあああ!!
キバ「なんで空いてる片手で支えねえんだよ……」


オムニ「あとは焼くだけ……でもさ……なんか野菜だけじゃ物足りなくね?」
キバ「俺様もそう思うわ……でもそうやってアレンジした結果、ヤテンからクソ不味いって言われたんだわ」
オムニ「んあ〜、じゃあアレンジしない方がいっかぁ」


オムニ「出来た!けど、オレ達は食えないし味わかんないから……これが美味いのか不味いのか判別できねーや」
キバ「俺様が近所をまわって、試食品として配ってきてやんよ。で、味の感想を貰う」
オムニ「おう、シクヨロ〜!」

数十分後



オムニ「おかえりー、どうだったよ?」
キバ「……ベチャベチャのグチャグチャのねちょねちょの食感、ちゃんと焼けてなくて生臭い、野菜餃子への冒涜……とか言われて殴られそうになったから逃げた……」
オムニ「んああっ!?レシピ通りに作ったのに!?」


オムニ「ん〜、わかった!オレ達に野菜餃子は難しすぎたんだ!もっと簡単な奴にしよう!ピザとか!」
キバ「ピザって簡単なのか?」

オムニ「簡単だと思うぜ!だってドライブさん、遊びながら作ってるもん」
キバ「遊びながら!?


オムニ「んん、そうだぞ。ドライブさんは生地を遊びながら捏ねて、簡単にピザを作っちまうんだ」
キバ「ほー!遊ぶほど簡単なんだな!!」


オムニ「こうやって生地をくるくる回しながら遊んで、わっ!わっ!!わっ!!!
キバ「かん……たん……?」


オムニ「めっちゃドロドロしてる……キモい……」
キバ「あー……失敗する未来が見えてきたわ……お前に頼んだの、やっぱ間違いかも……」


オムニ「んあー、バカにすんな!こんなもんは形を整えてチーズぶっかけまくれば美味くなるんだよ!シムってチーズ大好きだし!」


キバ「ところでオムニ、このドリルみたいなのがついてるコレは何だぁ?」
オムニ「小型家電!これでなんか、こう、粉とか肉とか野菜とか入れたらギュインギュインのウイィーンって掻き混ぜてくれるんだ!」
キバ「おー、面白そうじゃん!俺様やってみてえ!!」


キバ「うおお!本当にギュインギュインのウイィーンしてんじゃん!おもしれー!!
オムニ「あばばばば!めっちゃ飛び散ってるぅー!綺麗にしないとドライブさんに叱られるっ!!」

数時間後



キバ「んー、こんなに作りまくってんのに誰からも美味いって言ってもらえないな!つーか俺様の顔見た通行人が逃げるようになりやがった!」
オムニ「んあ〜、キバはレシピ守んないから不味いんだろ……今もなんか変な調味料ぶっかけてるじゃん」

キバ「レシピ通りじゃ物足りないからアレンジ加えてんだよ!お前だってレシピ通りに作ってんのに、食感が最悪とか言われてんじゃん!」
オムニ「んん〜、なんでだろ?大体小さじとか目分量とか言われてもオレ……よくわかんねえや、初心者にもわかりやすいよう注釈してくれよぉ」


キバ「うーん、2人でやった方が料理のコツを掴みやすいと思ったけどそんな事はなかったぜ!」
オムニ「うぅ、なんかオレが無能みたいで つらたん……頑張ってはいるのに……」
キバ「いや、そういう意味じゃな」


キバ「いいいいぃ!!


オムニ「んあ?なんか焦げ臭くね?」
キバ「バカバカバカバカ、コンロ見ろ!燃えてっから!!ファイヤーしてっから!!
オムニ「ファイヤー?」


オムニ「んああああ!!ファイヤーしてるううぅ!!


オムニ「ぴゃー!!オレ、こんな間抜けな死に方やだー!!」
キバ「うおおお、待ってろ、消火器!消火器どこにあんだよ!?」

ドライブ「ただいま……む、何やら焦げ臭いような……」


オムニ「あー、ドライブさんおかえりなさい助けて!!」
ドライブ「……何やっとるんだお前は……」

キバ「おー、家主!家主なら消火器の場所わかんだろ、早くしろよ!」
ドライブ「帰って早々にまったく……」




ドライブ「…………料理を練習していたら火事になった?」
オムニ「へへへー、はい……」
ドライブ「お前は そそっかしいから火を使うなとあれ程言っているだろう」

キバ「ま、まあ今回の件は俺様の責任でもあるし……俺様がついていながらこんな事になっちまって申し訳ねーっていうか……」
ドライブ「貴様には何一つ期待していない、気にするな」
キバ「うわ、腹立つ」


ドライブ「大体 貴様はヴァンパイアなのだから、料理する必要なかろう」
キバ「いやー、まあそうなんだけど……たまにはダチを労いたいし、美味いもん食わせて喜ばせてやりたいって思ったんだわ。お前なら気持ちわかるだろ?」
ドライブ「………………」


オムニ「つーか、ドライブさん帰ってきたんならドライブさんに料理教えてもらおーぜ!」
ドライブ「馬鹿言え、私はお前達と違って暇ではない」

オムニ「そう言わずにー!ドライブさんめっちゃ上手いし、芸術的な料理作るし、上手いし、なんかもうめっちゃ上手いし、プロ並だし、頼んますよー!!」
ドライブ「……まあ、そこまで言うならば少しは付き合ってやる」
キバ(チョロいな)


ドライブ「では、手本として私が一番得意なチョッピーノを作ってやろう。料理の基本となる包丁やフライパンの使い方など よく見ておくように」
キバ「めっちゃノリノリだなオイ」


キバ(でも二刀流はハイレベルすぎて参考にならねえわ……)


ドライブ「よし、完成した。どうだ、これで少しは基本がわかっただろう?」
キバ「いんや、まったく」
ドライブ「は?」

オムニ「オレら料理初心者すぎて、見ただけじゃなーんにもわかんねえや」
キバ「お前、料理は上手いみたいだけど教えるのは下手だな」
ドライブ「………………文句言っている暇があるなら勉強しろ!!!」




ドライブ「貴様の料理が不味いという理由がわかった!!貴様は余計なものを入れすぎだ!大体なんだ、ピザにチーズとトマトソースとトンカツソースとお酢を入れるとは!」
キバ「いやー、美味いもん全部乗っけてたら倍美味いんじゃね?と思ってさ」

ドライブ「たわけが!!どんなものにも組み合わせというものがあるわ、まずはレシピ通りに作れ!」
キバ「えー、なんか味気ねえじゃんそれじゃ。なんか付け加えようぜ」
ドライブ「素人の分際でアレンジに手を出すな!!


オムニ「そーだそーだキバ!ドライブさんの言う通りにしろ!」
ドライブ「オムニ、貴様もだぞ。貴様は比較的レシピ通りにしているが、分量が雑すぎる!あと薄力小麦語を使えと書いてあるのに、何故 強力粉を使う……!」

オムニ「同じ小麦粉だし、違ってても誤差かな〜って」
ドライブ「違うわ このうつけ!!!だから食感が悪いだとか言われるんだ!!」
オムニ「はひいいぃ」

 


 コモレビ山



ヤテン「うむ、美味い!」
キバ「おっ、マジ?」

ヤテン「ああ、素晴らしい味だ……まさか1日でここまで上達するとはな……」
キバ「まっ、俺様が本気を出せばこんなもんよ!」


セイメイ「ただいまヤテーン……ってまたいるのかキバ!」
キバ「いちゃ悪いのかよ」


セイメイ「いや、むしろ丁度良かった……お前に聞きたいことがあってな……」
キバ「あぁん?なんだよ」


セイメイ「……今日、カッパーデールに怪しいヴァンパイアが出たそうだ」
キバ「なに!?まさか過激派のヴァンパイアか……?ソイツ、どんな奴だ?何をしていたんだ?」

セイメイ「性別は男。髪は黒く長く艶がある、唇は血の気がなく青白い色で、前を閉じた黒いチェスターコートを着用、一人称は俺様……」
キバ「……んん?」
ヤテン「……む?」

セイメイ「人に危害を加えてはいないが、とてつもなく不味い料理を配ってまわっていたらしく……悪い意味の“飯テロ”をされたと本部に多数の報告があがっている…………心当たり、ありそうだなぁ……?」


キバ「いや、あの、まあ……なんつーか……うん……」
セイメイ「はっはっは……これは説教コースかな?」
キバ「勘弁してくれよおおぉ」

ヤテン「ふむ……事情はよくわからぬが、頑張れキバ」
タスク「キバ様、最後がどうにも決まりませんネ」
キバ「うるせえええぇ