ブルーム牧場



シュバルツ(アメ、ふってきた!コモレビやま、あめ、ふってないかな?キルシュ、たのしめてるかな?)


クルーク(キル兄が楽しめてるならば良いのですが、やはり……寂しいのですよ〜!!帰ってきたら思い切り甘えなくては……キュウン……)


ゼーレ(フフン、キルシュ ノ タノシイッテイウ感情ノ オーラ、ツタワッテクル。タノシメテルナラ良カッタ、良カッタ)


シュバルツ(そろそろ、スタッフ、くるジカン!アレ?)


ダイアナ「お馬さん、こんにちは!」
シュバルツ(カイザとワイルドソニック、ほご してた、こだ)

ダイアナ「今日は牧場スタッフさんがどうしても外せない用事が出来ちゃったの。だから、あたしとママがスタッフさんの代わりに来たのよ」
シュバルツ(そうなんだ!)


キャサリン「さあ、ダイアナ。張り切って皆のお世話をしましょうね」
ダイアナ「はい、ママ」


ダイアナ「わあ、ミニヒツジさんだ。可愛い〜」
キャサリン「可愛がるだけじゃなくて、ちゃんとお世話するのよ?」

ダイアナ「ちゃんとマッサージしてるよ」
キャサリン「あら、偉いわね」


キャサリン「じゃあ次は皆の体をキレイキレイしましょうね。ダイアナはカイザをお願いね」
ダイアナ「うん!」


ダイアナ「カイザ、気持ちい〜い?」
カイザ(まあ、奴隷ほどではないが悪くはないぞ!力が少々足りないのは幼子ゆえ……神である私は小さき命にも寛容なのだ、温かい目で見守ろう……カカカッ!!)


ゲルダ(坊っちゃんにも素直に言えばいいノニ……坊っちゃんのブラッシングが大好きだッテ)
カイザ(神の御心を察することが出来ん奴隷に問題があるのだ!!)

ダイアナ「ママ、カイザとウシさん何かお話してるのかなぁ?」
キャサリン「ふふ……そうかもしれないわね。ここの子達は皆仲良しみたい」


シュバルツ(……ダイアナ、おかあさんと、かぞくと、ナカヨシなんだ!)


シュバルツ(ナカヨシ、いいこと……でも、どうしてキルシュの、かぞく、キルシュとナカヨシじゃないんだろ……どうしてキルシュのかぞく、あんなに、こわいシムばかり、なんだろ……)

 


 コモレビ山



キルシュ(こ、これが宿泊先か……めっちゃデカイ……めっちゃ豪華……)


キルシュ(……そういや、母さん達も俺を置いてコモレビ山へ家族旅行した時は こんなデッカイ旅館に泊まったって言ってたな……高校生になって、自分がこういう所に泊まるってなると……なんだか不思議な気分だ)


キルシュ「お邪魔しま…………」
校長「んん〜?」


校長「なーんで君がここにいるのかね?」
キルシュ「えっと……その、宿泊先が、ここで……」
校長「へー。たまたま修学旅行と同じ日にコモレビ山へ個人的に旅行しに来て、たまたま皆と同じ電車に同じ時間に乗って、たまたま宿泊先も同じなんだね。なんだか上手くできた話だね」


先生「こ、校長!電車も空いてる便があの時間帯しかありませんでしたし、コモレビ山にある宿も2つしかありませんから!被るのも無理はありません!」
校長「ふーん……」


校長「その偶然って言い分が何処まで通じるかね〜?しかし、1人の生徒を特別扱いしてるなんて……教師としてどうかねぇ。そんなんじゃ教師失格と言われても無理はないねぇ」
先生「じ、自分は贔屓などしていません」
校長「いーや、贔屓してるね。まったく……そんな調子がいつまでも続くようなら僕も考えるからね」


キルシュ「……………………」


キルシュ「……あの、すみません……俺の、せいで……」
先生「気にするんじゃない!!それにお前のせいじゃないからな、私の自業自得だ!!今回の件だってお前がこうしてくれと頼んだわけじゃない、私が勝手にやっていることだからな!」
キルシュ「…………」


先生「とりあえずお前は自分の部屋に行きなさい!前にクラスで決めた部屋割り覚えてるだろう?」
キルシュ「覚えてますけど……いいんですか」

先生「この旅館は貸し切りじゃないんだ。たまたま1人分空いてる部屋に入れてもらった、それだけだろう」
キルシュ「……だいぶ無理がありますね」

先生「細かいことは気にするんじゃない!」
キルシュ「気にするわ……」


先生「と、とにかくブルーム!お前は修学旅行に参加している訳ではないが、同室の者は違うからな!夜中に騒いだりせず、消灯時間は合わせるんだぞ!いいな!?」
キルシュ「はいはい……」
先生「“はい”は一回!!」




キルシュ(とりあえず部屋に向かうか……えっと……部屋割りによると確か……アレックス、ガーランド、アレクシスと同じ部屋だったな。アレックスとアレクシスのアレアレコンビと同室なのは……大変そうだけど……まあガーランドならアレクシスの制御が上手いだろうし大丈夫だろ)


キルシュ(ここが俺達の部屋か……凄い“和”って感じだな……!)


キルシュ(……皆と旅行に来れたのは嬉しいけど……でも、先生や皆にめっちゃ迷惑かけちまってる……こんなんじゃ良くないよな……)


キルシュ(……皆に迷惑をかけるのはこれで最後にしよう。大体 俺が弱々しいのが良くない、こんなんだから皆が心配しちまうんだ。何か言われたら顔に出たり、気持ち悪くなったり、倒れたり……こういうのも直さないと。誰にも迷惑かけないように、負担にならないように、頼らなくても済むように……もっと逞しくならないと……)


キルシュ(…………でも、16歳にもなってまだ……くすぶってるし……やっぱり俺って……)


アレックス「ぴゅぴゅぴゅ〜!!ただいま!!あっ、キルシュ!早速コタツでくつろいでるね!お爺ちゃんだね!!」
キルシュ「……コタツ入ってるだけでお爺ちゃん呼ばわりされたくねえ」


アレクシス「わあ、ガーランド。布団があるよ……とってもコモレビだね。この布団を丸めて叩きあったら楽しそうだね……」
ガーランド「どこからそんな発想が……というか兄様、旅館の備品なんですからおやめください」

キルシュ「お前ら、帰ってくるなり騒々しいな……」
アレックス「えー?このくらい普通だって!キルシュが暗いだけ!ぴゅぴゅ!」
キルシュ「……暗い……」


アレックス「でも大丈夫!キルシュが暗い分、オレ達が明るくするから!ぴゅ〜!!
アレクシス「ふふ、そうだよ。だからキルシュは陰気なローテンションのままでも大丈夫だよ」
ガーランド「ちょっ……お二人共 失礼すぎますよ!?」

キルシュ「やれやれ……」


アレックス「ところでキルシュ!夕食にはまだ時間があるし、なんかやりたいことない!?」
キルシュ「やりたいこと……いや、特には」

アレックス「わかった、マッサージがしてほしいんだ!キルシュは柄にもなくロッククライミングしたから手が疲れ切ってる!ぴゅー!!」
キルシュ「マッサージのマの字も出てなかったが!?」

アレックス「さあ行こう、ぴゅぴゅー!最近マッサージ関連のアドベンチャーしたかったんだよねー」
キルシュ「お前がやりたいだけじゃねえか!!」


アレックス「まあいいじゃないか、人の善意は素直に受け取ろうよ!ぴゅ!」
キルシュ「わ、わかったよ」


アレクシス「そういえば、ガーランドも罰ゲームでロッククライミングさせられてたんだっけ。疲れてるよね、マッサージしてあげる」
ガーランド「いえ!!兄様に お手を煩わせるわけには!!」

アレクシス「遠慮しないでガーランド。たまにはお兄ちゃんらしく、弟を労らせてよ」
ガーランド「うっ……で、では……お願いします、兄様」

ガーランド(そんな澄んだ目で言われたら断れねえし、断ったら傷つくパターンだ!!)


ガーランド(でも兄様のマッサージって……死ぬほど痛えんだよな!!)


ガーランド「あの、兄様……あまり力は込めないでいただけると嬉しいです」
アレクシス「うん……わかってるよ」


アレクシス「とりあえず体が硬いから解すよ」
ガーランド「いででででで!!いでっ、ギブ!ギブ!!」

アレクシス「大丈夫、この痛みはやがて快感になる」
ガーランド「なりませんがあだだだだだだ!!


キルシュ「……隣から悲鳴聞こえるんだけど」
アレックス「気にしたら負けさ!それよりどう、キルシュ!」

キルシュ「結構上手いな……気持ちいいよ」
アレックス「だろ〜!ぴゅぴゅー!!」

ガーランド「キルシュさん、変わってくださぎにゃあああああ
キルシュ「がんばれ……」


その後は皆で食事を済ませ……


入浴……


アレクシス「それにしてもキルシュは貧相な体つきだね。筋肉が足りないよ、筋肉が。それに痩せすぎ。オレみたいに綺麗に腹筋割らないと」
キルシュ「お、俺は脱いだら凄いから良いんだよ。あと太りにくい体質なんだわ」


アレックス「でもキルシュは確かに細すぎる!!もっと食べる必要がある!見てよ、オレのこのムチムチボディを!!ぴゅ~!」

アレクシス「アレックスは筋肉が足りてないね」
アレックス「なんだいなんだい筋肉バカ!筋肉だけじゃ生き残れないぞ!」

ガーランド「あの……温泉では お静かに……」


アレクシス「ところでキルシュ、脱いだら凄いってどのくらい凄いの?腹筋バキバキ?」
キルシュ「……バキバキとまではいかないけど……綺麗に割れてる」

アレクシス「わあ、見たい。ねえ見せてよ」
キルシュ「えっと、見せるのはちょっと……」
ガーランド「兄様、セクハラみたいなことはやめてください」

アレクシス「でも気になるよ。ねえ、腹筋だけでいいから」
キルシュ「……そこまで言うなら。腹筋だけなら、まあ……見せてやるよ」
ガーランド(アンタもアンタで実は綺麗に割れてる腹筋見せたいのかよ)


キルシュ「じゃあ、腹筋だけ写メってお前らに送信するから待ってろよ」
アレックス「キルシュ自慢の腹筋!実は大したことなかったりして〜ぴゅぴゅ〜」


大したことはあるのだ。
ナイス腹筋。


キルシュ「どうだった、俺の腹筋」

アレックス「うん!キルシュとは殴り合わない事にした!」
アレクシス「美しい腹筋だった……オレももっと割らないと!」
ガーランド「それ以上は お父様達レベルになります、やめてください……」

キルシュ「ふふん……♪」




ガーランド「さあ皆様、消灯時間でありますよ。ここで先生に睨まれたくありませんから、お静かにお願いします」
アレックス「えー
ガーランド「えー、ではありません。寝てください」


キルシュ「スケジュール表によると7時起床なんだろ?早めに寝ないと体力が回復しねえぞ」
アレックス「うーん、わかってないなぁキルシュ。ティーンってのは体力の限界まで はしゃぐものなんだよ」


アレックス「てなわけでドキドキ怪談話の会!コモレビ山には怪談がいっぱいあるから良いよねぇ、ぴゅ~!!」
ガーランド「寝ろって言っているのがわからないのですか?」

キルシュ「悪いけど、俺 眠いからさ……またにしてくれ……」
アレックス「えー!仕方ないなあ、じゃあ今日はこれで勘弁してあげるよ!ぴゅー!!」


アレックス「じゃあ皆おやすみー!」
ガーランド「はいはい、おやすみなさい…………兄様、ちゃんと布団かけてください!風邪引きますよ!」


アレックス「んごー!!んごー!!
キルシュ(いびき うるっせえぇぇ)


アレックス「んごー、ダメダメ!わかってないなぁ、アドベンチャーってのは……むにゃむにゃ」
キルシュ(どんな寝言だよ……)


キルシュ(うるさすぎる、耳栓するか……てかアームストロング兄弟はなんで平気なんだよ!)


アレックス「うんうん、わかってるねバーバラ!インソレンスはもっとアドベンチャーしないとね……むにゃむにゃ……ふふふ、アドベンチャー楽しいねキルシュ……」
キルシュ(……楽しい……)


キルシュ(……俺と一緒にいると楽しくない、つまらないって沢山言われてきたけど………………友達、か。俺にも……一緒にいて楽しいと思ってもらえるような友達が出来たんだ……)