⚠WARNING⚠
血の描写が含まれます、苦手な方はご注意ください。
ニュークレスト
リング「うん………………ねえパパ、本当にオアシス・スプリングスに行かなくちゃダメ?」
ハンドル「……ああ、ダメだよ。悪いヴァンパイアがいつやって来るかもわからないからね。オアシス・スプリングスなら太陽光も強いし、ヴァンパイアの魔の手も伸びにくいだろうから……少しは安心だ」
リング「そう…………パパは?パパは一緒に来てくれないの?」
リング「……………」
ハンドル「リング……ママを頼んだよ」
リング「わかった」
ハンドル「……ああ」
「いえ……守らせてみせます」
ハンドル「その声は……」
ヤテン「ハンドルさん……」
数日後
クイーン(新月の子の力を持ちながら、歴代最強キングの力を得たノクス……あれを止められる者などこの世にはいない。シム共はヴァンパイア治療薬入りの弾丸で抵抗するつもりのようだが……そのような弾丸などノクスの強靭な体に刺さりはしない)
『命乞いをするなど恥知らずな!神への捧げ物として選ばれたことを誇りに思わんか!』
『お母さん!お父さん!!お願い、助けて!!出して!!死にたくないよ!!』
『オプスキュリテ……貴女は死ぬわけじゃないわ。神のお側で仕え、苦しみも汚れもない……聖なるものに満ち溢れた天上で永遠の安らぎを得るのよ。それはとても幸せなことなのよ』
……それに……私が死ぬことで神の怒りとやらが本当に鎮まるというのなら、私が死ぬことで私を捧げた村の者が救われるというなら……なおさら死んでなどやるものかと……いつかここを出て、奴らに復讐してやると強く思った。
口の中には言葉では言い表せない程の血生臭さが広がり……最初のうちは何度も吐き戻したが、生存本能か、生きたいという意思が脳を麻痺させたのか……いつしか生肉や血が……美味いと感じるようになった……。
そしてその穴から月の光が射し込み……辺りに散らばっていた鉱石が赤く煌めき……その光を浴びた私の身体はヴァンパイアに変化した。
後から知った事だが、鉱石は元は闇の魔石だったらしい。
月の光を浴びて力を取り戻し、私の生きたいという思いと……私をこんな目に合わせた奴らへの怒りに共鳴し、私の肉体を闇の魔物に変化させたのだろう。
だが私は怒りがおさまらず……何も知らずに呑気に日の下で暮らしているシム達に憎悪を抱いた。
あいつらにも……私と同じように地獄を見せてやろうと思った。
ヴァンパイア創造の力で配下を増やし、増やしたヴァンパイアの力を強めていき……特に強い力を持つ者をキングにしていった。
世界を闇に包み、支配する為に長い時を費やした……。
ドライブ「まずいな……ラウンジは捨てて、フォックスベリー大学寮に退却しろ!大学寮防衛部隊と合流し、守りを固めろ!」
クラクション『はいー!!』
ドライブ(戦力差が大きいな……フォックスベリーエリアが制圧されるのも時間の問題か)
オムニ「へぁっ!?」
ドライブ「……その声は……」
ブライトチェスターラウンジ前
セイメイ「その聞いてて恥ずかしい技名は叫ばずにいられんのか!」
キバ「うるせえな!!気合を入れるのに必要なんだよ!!」
クロ「そうよぉ!キバしゃまのセンスにケチつけんなぁ!!」
セイメイ「う、ううむ……」
クロ「はあぁ!?クロ達、そんなヴァンパイア達に負けないもん!」
ノクス「パワーが違いすぎるんですよ。ヴァンパイアの力というのはその者の心によって大きく形を変える。私やワイパーのように力を欲する者は力を奪う能力が目覚め、お前達のようにシムと共存したいなどという甘い考えを持つ者は戦闘能力を犠牲に、シムの世界で馴染みやすくなる力を得る……私の配下のヴァンパイア達は吸血や破壊行為を好んでいる……つまり、そういう力が強まっている。甘っちょろい貴方達では簡単に勝てないんですよ」
ノクス「ヴァンパイアの皆さんは今のうちに降伏した方が良いのでは?そうすれば仲間として受け入れてさしあげます。そもそも私を相手に勝てるわけがないんですよ。敗北が決まりきっているのに抗うなど馬鹿のすることだ。何故私に頭をたれない?」
キバ「……無駄だろうがバカだろうが……“人”には引けない時があるんだよ。それに……ダチを裏切んのも、テメェにヘコヘコ頭を下げるのも考えただけでヘドが出るんだわ!!バーカバーカ!!」
ノクス「はぁ……そうですか」
共同大学寮
クイーン「ふん、貴様らの結界など私にとっては無に等しい。ノクスはじわじわと追い詰めていくのが好きなようだし、絶対に勝てるという自信があるからか、本陣や最終防衛線に奇襲をかけたりはしないようだが」
ドライブ「………………」
ドライブ「……新たなキングの威を借り余裕ぶっているようだが……貴様自身は大した戦闘能力も無いことを忘れたか?キングだった頃の力は失われたとはいえ、貴様1人が相手ならば私とて負けはしない。それにこちらには貴様をただのシムに出来る治療弾がある。迂闊に切り込んできたことを後悔させてやっても良いんだぞ……」
ドライブ「当たり前だ!!!」
オムニ「ひいぃ」
ドライブ「ずっと、貴様を殺すことを考えて生きてきた……!手段を選ばずに、汚い手も他者を利用することも厭わずに、組織を立ち上げハンターとして沢山のヴァンパイアを狩ってきた……!それも全部……貴様を殺す為に、復讐の為にだ!!」
クイーン「……憎悪に溢れた闇を感じる目……」
クイーン「………………」
オムニ「ひえっ!すみません、すみません!!」
オムニ「へ、へいいぃ!」
クイーン「ジャスティン・ドライブ……お前は私が使い捨ててきたキングの1人……だが私はお前を個人的に気に入っているよ。私とお前はよく似ている。強い憎悪を抱き、死を目の前にしながらも足掻いて生き延び、目的の為に長い時を生きてきた」
オムニ「ひっ、ひえええぇ!?」
ドライブ「オムニ……!?」
オムニ「あばばばばば」
ドライブ「……っ」
ブライトチェスターラウンジ前
セイメイ「はぁ、はぁ……」
キバ「へぇ……気が合うな……俺様も、まだ、2割しかマジになってねーから……げほっ」
キバ「……諦めて、たまるかよ……」
ノクス「はぁ……」
「待て!!」
ノクス「……おやおや」
セイメイ「な、んで……」
キバ「だからってお前……!!お前が来たって何も出来ないだろうが!!お前にはもう戦う力がない!!死にに来たようなもんじゃねえか!!」
ヤテン「……そうだな。確かに私はもう戦う力がない……だが、力など無くても……私は私にしか出来ない方法で戦える」
ノクス「ほう……」
オムニ「ドライブさん……」
ドライブ「え……」
オムニ「オレが死ぬだけで、ドライブさんの復讐が果たせるなら、い、い、いいですよ!!オレ、ドライブさんに助けられてなかったら、ワイパーに殺されて、死んでただろうしっ!!オレ、こんな形でドライブさんの役に立てるならっ、ほ、ほほほんもうですううぅ!!」
クイーン「嘘つけ……顔に怖い、死にたくないと書いてあるぞ」
ドライブ「……復讐のチャンス…………ウィンカーの仇…………私の悲願…………」