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始祖という単語が出てきます。
始祖様に強い思い入れがある方は、
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 フォーゴットン・ホロウ



セシリア「おにいちゃーん、何処まで行くの?夜中に出歩いちゃ駄目だってパパとママが言ってたよ」
アレックス「セシリア!オレ達は冒険家だぞ!親に言われたからってそれに従い、未知への遭遇を諦める……そんなのはノン・アドベンチャー!!」
セシリア「そうなの?」


アレックス「それよりセシリア!目的地に到着したぞ!あれを見なさい、ぴゅっぴゅっ!」
セシリア「なに〜?」


セシリア「なんか雑に封鎖されてるけど、何あの洞穴」
アレックス「あれが伝説のヴァンパイア洞穴らしいぞ!!フォーゴットン・ホロウの伝承本に書いてあったんだ!」

セシリア「ヴァンパイア洞穴?中にヴァンパイアがいるってこと?」
アレックス「伝承によると……遥か昔、このフォーゴットン・ホロウはコウモリを神の遣いとして祀っていた!!」
セシリア「コウモリが神様の遣い?」


アレックス「フォーゴットン・ホロウ以外のワールドにはコウモリがいないからね……当時はまだセルヴァドラータも発見されてなかったし。で、数も少ない希少な生物を昔の人は神の遣いと崇めてたんだろうなぁ。で、あの洞穴にはコウモリが住み着いていて、住人はそれを神の祠と呼んでいた……が!!時が流れて急に活性化!コウモリがわらわら飛び出して、そこから呪いが始まった!」
セシリア「呪い!?なになに!?」

アレックス「コウモリが洞窟から出始めてから、住人達が体調を崩すようになったんだ!頭痛、発熱、息苦しさ、酷い時には息が出来なくなって、そのまま死んじゃう……」
セシリア「えー、なんで!?」

アレックス「わからない!原因がわからないからこそ、神の怒りによる呪いだと言われるようになった!ぴゅー!!」


アレックス「困り果てた住人、困った時の神頼み……コウモリが活性化したのは神様がブチギレているからだと考えて、怒りを鎮める為に美しく若い女を捧げることに決めた!こういう時のお約束!人身御供!」
セシリア「要するに生贄ね」


アレックス「女は神の怒りを鎮めるべく、生きたまま神の祠に向かわされ、そのまま閉じ込められるのであった……」
セシリア「で、呪いはおさまったの?」

アレックス「結論から言うと おさまらなかったけど、結果的におさまった!」
セシリア「は?」

アレックス「生贄を捧げて暫く経った頃、フォーゴットン・ホロウに医者がやってきて……呪いだと思っていた体調不良は感染病だったとわかった!コウモリが外に飛び出すようになって、糞を辺りに撒き散らして、その糞に含まれていた細菌が広がって……とこんな感じらしい。医者が作ってくれた治療薬でそれらは収まりました、ちゃんちゃん」
セシリア「何それ……生贄に捧げられた人、意味ないじゃん!」

アレックス「まだ医療が発達してない時代だったからね、フォーゴットン・ホロウは閉鎖的なワールドだったしぴゅぴゅ〜。呪いではないと知った住人は祠を封鎖していた岩を退かし、生贄の様子を見に行ったが……そこには誰もいなかった……生贄の亡骸すらも……そして、その日からフォーゴットン・ホロウには血を吸ってまわる吸血鬼の話が広まるように……生贄の怨念がヴァンパイアを生み出したのではないか、とあの洞穴は伝説になったんだ!」
セシリア「嫌な伝説〜」


アレックス「まあ、そんなこんなであのヴァンパイア洞穴に入るとヴァンパイアになってしまうという伝説があるから、本当にヴァンパイアになるのが確かめるアドベンチャーに挑もうと思う!!さあ行こうセシリア!!」


ドライブ「やめんかバカ者!!
アレックス「うはぁ、びっくらこいた!!なんだなんだ、誰ですかテメー!!」


ドライブ「子供がこんな時間にフラフラ出歩くものではない!さっさと帰れ!!」
アレックス「オレが何時に出歩くかおじさんには関係ないじゃないですか!!」
ドライブ「おじさ…………ええい、いいからさっさと帰れ!!」


オムニ『ドライブさん、ティーンは頭ごなしに怒鳴られたら反抗したくなるもんなんですよ、ここはオレに任せてくだせぇ!』
ドライブ『……やってみろ』


オムニ「あのな、あそこの洞穴マジで入んないほうが良いぜ。ブラッドコウモリの進化系が沢山いてさ、オレそいつらに噛まれて丸1年昏睡状態になったんだぁ」
アレックス「えっ、1年も!1年寝たきり……ぴゅぴゅ……」

オムニ「なっ、ヤバいだろ?だから帰ったほうが良いぜ」
アレックス「うーん……」


アレックス「1年もアドベンチャー出来ないなんて耐えられない!!それにセシリアもいるし……わかった、ゴーイング・マイ・ホームする!!」
オムニ「おー、わかればいいんだぁ!」

ドライブ(……一発で成功……なんか腹立つぞ)


オムニ「ふいー、どうですかドライブさん!オレ、役に立つっしょ!!」
ドライブ「………………まあ、たまにはな」


オムニ「しかし、あのガキが話してた伝説ってマジなんですかね?生贄の怨念がヴァンパイアになったって」
ドライブ「さあな……そもそも生まれた時からヴァンパイアだったお前が知らないのに、私が分かるわけもない。ただ……あらゆる生物には始祖という存在がある。その生贄の女がヴァンパイアの始祖である可能性もあるだろう」
オムニ「だとしたらヴァンパイアは自然に生まれたんじゃなくて、ノーマルシムから変化したってことかぁ……」


ドライブ「お前は始祖ヴァンパイアが誰であるかわからないのか?」
オムニ「わかんねーです!もっと言うなら、クイーンがなんでクイーンなのかもわかんね!多分 力が強いからなんだろうけど!あ、キングはクイーンが選んだ男ってのは知ってます!」

ドライブ「……順当に考えれば、クイーンが始祖だということにならんか」
オムニ「えー、そうなんすか!!確かに言われてみればそうかも!!でも、元がシムなのにあんなにシム憎んでるんすか?」

ドライブ「…………まあ、それは本人に聞かねばわからん」
オムニ「うーん、難しい話はさっぱりだぜ!」


オムニ「とりあえずオレは寮に帰りまーす!!またパトロールする時には呼んでくだせー!」
ドライブ「ああ……」


ドライブ「…………この洞穴、よくクイーンが憎悪を秘めた目で見ていた。やはりあの女は……」

 


 コモレビ山



ヤテン「ただいま、父さん」
セイメイ「おお、ヤテン!!よく来てくれたな!!」


セイメイ「……まだ、私を父と呼んでくれるんだな。血の繋がりもないし、ずっと騙してきたのに……」
ヤテン「“まだ”ではない、父さんはこれからもずっと私の父さんだ。血の繋がりなど無くとも私達は親子……隠し事とて、悪意あっての事ではないのだから」
セイメイ「ヤテン……」


セイメイ「……ところで、我が物顔でくつろいでいるあのロボットは何なんだ!?」
ヤテン「キバが作ったロボットだ。名前はタスク」
セイメイ「ヴァンパイアがロボット学……世も末だ……」


タスク「ハジメマシテ!タスク、デス!!タスクがここに来た理由は、つまり、そこのおじさんのダッチワ」
セイメイ「ゔぉっほんゲホンゴホン!!キバ、お前どういうプログラムをしたんだ!!何だこのエロロボットは!!」

キバ『知らねーよ!!コイツの生まれつきの個性なんだよ!!』
ヤテン「知らないそうだ」
セイメイ「知らないで済むか!!不健全!歩く18禁!

ヤテン「私を挟んで口論しないでくれ……」


セイメイ「ま、まあエロロロ……ああ言いにくい!!エロボットの事はともかく……ほら、これが完成した究極のヴァンパイア治療薬だ。これを飲めば耐性がついて、お前はもうヴァンパイアになることはない」
ヤテン「うむ、ありがとう父さん」


ヤテン「分離の儀式を終えたあと、私がこれを飲めば……新月の子はいなくなる訳だ」
セイメイ「ああ……しかし、本当に良いのかヤテン?もう二度とヴァンパイアになれなくなるぞ。ヴァンパイア・パワーを捨てても、本当に良いのか?」

ヤテン「ならなくとも良い……新月の子の強すぎる力など無い方が良い……それに私は“普通”が良いのだ。特別な力など何もない、普通の人として生きていきたいからな」
セイメイ「そうか……お前が良いなら、それで良いんだ!」

キバ『ちょっと勿体ないって気もするが、それがヤテンの望みなら俺様はそれを尊重するぜ!』
ヤテン「ありがとう、2人共」

 


 ブライトチェスター



キバ『……で、これがヴァンパイア治療薬ってやつか』
ヤテン「うむ……」


キバ『めっちゃ禍々しいんだが、これ何が入ってんだ?』
ヤテン「ええと……ブラッドフルーツ、ニンニク、トリカブトが10個ずつ入っているそうだ」

キバ『聞いただけでウゲエエエエエ!!お前、吐かずに飲める?』
ヤテン「……努力する」


ヤテン「……いよいよ、だな」
キバ『ああ。俺様とお前のイカレた共生生活も終わりってことよ』

ヤテン「うむ、だが ある意味始まりでもある。肉体を得たお前と改めて友として過ごせるのだからな」
キバ『へへ……おうよ!!』


ヤテン「さて……次の講義に向けて準備を……」
オムニ「あっ、ヤテンとキバ。チーッス」
ヤテン「ああ、お疲れ様だオムニ」


オムニ「15日後、分離の儀式なんだって?」
ヤテン「うむ……14日間、シムからブラッドを奪わずに過ごす……これが最後に必要なタスクだからな。これをこなした次の日には分離の儀式だ」

オムニ「あーね……でも14日なんてあっという間よ!ブラッドパックがあればヘーキヘーキ」
ヤテン「確かにな」


オムニ「……そういや、お前って まだあの青髪ヴァンパイアとつるんでんの?」
ヤテン「青髪……ノクスのことか?」

オムニ「んむ……あ、あのさ……アイツ、結構性格悪いから気をつけろよ」
キバ『性格が悪いだぁ?アイツ、悪いどころかヘタレで気が良い奴なんだけど』

オムニ「いや、確かになんかヘタレなんだけどさ!!……オレがアイヴォリにヤテンにボコられた事を話した後、アイツが現れて……お前のことを聞いてきた時、めっちゃ態度悪いし上から目線だったんだわ!しかも殴ってきたんだわ、めっちゃ強かったんだわ!!多分アイツ腹黒だぞ!気をつけろよな!!」


ヤテン「……ノクスがそのような事をするとは思えぬが……」
キバ『てか強いって、それホントにノクスか?アイツ、パワーが弱すぎて最初いるのに気づかなかったくらいなんだけど』

オムニ「んあ……そうなのか?」
キバ『うん』

オムニ「んんん……?じゃあ別人なのかなぁ?そっくりさんとか?」
ヤテン「そうかもしれぬぞ」


オムニ「んー、別人だったんならいいや!今のは忘れてくれ!」
ヤテン「うむ……」
キバ『おうよ〜』

 


 そして15日後――コモレビ山



ノクス「いよいよ分離の儀式、ですよ!!」


ノクス「しかしヤテンさん、キバさん、14日間も会いに来てくれないなんて何してたんですかぁ!寂しかったんですよ!?」
ヤテン「すまぬ……あまりにも濃密な14日間だったのだ……ドライブさん達とセルヴァドラータに行かされたり、ノーマンの恋を応援したり、クロと高校生馬主の牧場に行かされたりなど……濃密だった……」
キバ『うん……イベントラッシュだったわ……凄かった……』

ノクス「そ、そんなに濃密だったんですか……」
セイメイ「ヤテンが青春を満喫していて何よりだぞ!!」


ヤテン「…………………」
ノクス「どうしたんですか、ヤテンさん。僕の顔をじっと見て」
ヤテン「いや、その……ええと……」

キバ『だーー!ハッキリ言えや!まあいい、俺様が言ってやる!ノクス、お前俺様達と会う前にオムニと会ったことあるのか!?』
ノクス「え、無いですけど。どうしたんですか?」


キバ『実はオムニから お前は実は性格悪い、腹黒、気をつけろってこの間言われてな』
ノクス「ええぇ〜!?もしかして……陰口ってやつですか?」

キバ『まあ、よくわかんねえけどよ……でもオムニも嘘ついてる様子じゃなかったし……けど、お前もそんな奴に見えないし……最終的にノクスと似てるだけで別人だったんじゃないかっておさまったわけ』
ノクス「似てる人………………ぁ…………」

ヤテン「む、どうした?」


ノクス「その……あの、ですね……」
キバ『何だ?』

ノクス「き、兄弟……」
キバ『あん?』

ノクス「兄弟が、いるんです……双子の、兄弟……」
ヤテン「双子……」
ノクス「はい……その、双子の兄かも……って……」


ノクス「あに、が……ぼくの、ぼくの、かぞくに、なってくれた、ひとたちを、あ、あうぅ……」
ヤテン「だ、大丈夫か!?」


ノクス「すっ、すみません……取り乱して…………だ、大丈夫です」
キバ『めっちゃ動揺してたな……その弟とやらと何かあったのか?』

ノクス「……………」
ヤテン『キバ……無理に聞き出すものではない。ましてやノクスは……実の家族に追い出された身、それらに良い思い出はないはず』

キバ『う……そうだな。悪い、ノクス』
ノクス「いえ……」


ノクス「……なんか、心配だな……アイツ……最近は姿を見かけないから、どこか……フォーゴットン・ホロウじゃないどこか遠くに行ったと思ったのに……」
ヤテン「…………………」


ノクス「ま、まあ弟のことはさておき!!今は分離の儀式、ですよ!さあヤテンさん、キバさん!パーッと分離しましょう!」
ヤテン「うむ……」
キバ『おうよ!』


キバ『じゃあ……準備はいいな、ヤテン。意識を集中させろ』
ヤテン「了解した」


キバ『瞑想によってヴァンパイア・パワーを極限まで高めた後、俺様がお前の体から出ていく。そして俺様はお前のパワーを吸収し、それを自分の糧として肉体を再構築する。お前のヴァンパイア・パワーは俺様が貰っていくから、パワーを失ったお前の体は元のノーマルシムに戻るってわけよ!』
ヤテン「なるほどな」


キバ『よし、今だ!キバ様ソウル登場!!あとはお前のパワーを貰って体を……』


キバ『……って、あれ?なんだ、引っ張られ……』

セイメイ「おい、キバ!?何処に行くつもりだ!?」
キバ『なんか思い切り引っ張られて……!!』

ヤテン「キバ!?


「ずっとこの時を待っていた……ようやく邪魔者が消えた……」
セイメイ「誰だ!?


キング「久しぶりだな、新月の子よ」

ヤテン「……お前は……キング……!」
ノクス「なっ、なんでキングがここにいぃ!?」

セイメイ「まさか……貴様がキバを……?」
キング「いかにも」


キング「キバの魂は私が頂いた……奴を救いたければ……私と戦え、新月の子よ」

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