ブリンドルトンベイ 動物病院
本人は元気だと言い張っているが、フラフラしたり吐いたり、明らかに元気じゃない。
トーマスからワクチンスナックは貰ったけど、それも効かなかったし……心配だからブリンドルトンベイの動物病院に来たわけだ。
クロウ動物病院?
エイデン先生、また怒りが溜まってるらしいから大暴れスタンバイらしい。
ウェアウルフって大変なんだな……。
キルシュ「ゲロ吐いて幸せ感じてるんじゃねえよ……何かあってからじゃ遅いんだし、ちゃんと診てもらえっての」
クルーク(はわ……)
キルシュ(これで不調の原因がわかればいいな)
キルシュ「ど、どうですか……?」
キルシュ「はっ!?」
獣医「ちゃんと診たうえで正しい診断をくだしました!!ウチがヤブだと言いたいんですか!?」
キルシュ「ひぇ……ご、ごめんなさい……」
キルシュ「……極めて健康だってさ」
シュバルツ(ジャア、ダイジョウブ、ナノカナ?クルーク、ゲンキソウ、ダシ!)
キルシュ「大丈夫なら良いんだけど……心配だな……一応予防注射はしてもらったんだけど」
クルーク(注射でヒリヒリします……)
シュバルツ(ウン、サムイ!)
キルシュ「ホントだ……親とか待ってんのかな」
キルシュ(いや、凍死寸前じゃん……親は何やってんだよ……子供はあんま得意じゃないけど仕方ないな……)
少年「な、ないもん……」
キルシュ「え?」
少年「家を、飛び出してきたから、服、これしかない!」
キルシュ「バッ……今すぐ室内に行かないと……ちょっとついてこい!!」
ブリンドルトンベイ公園
少年「ありがとうお兄さん……死んじゃうかと思った……」
キルシュ「でも勝手に連れてきて大丈夫だったかな……親御さんと待ち合わせとかしていたのかい?とりあえずれんら」
ぐううううぅ〜
キルシュ「お、おいおい……仕方ないな、腹ごしらえが先か……グリルで何か焼いてくるから、ここで待ってるんだよ」
少年「はぁい……」
クルーク(おまかせくださいっ!!)
クルーク(はわ?この子……キル兄の後輩くんと同じ匂いがしますねぇ……似てる、じゃなくて完全に同じ匂いです!)
少年「わあい、ベジタブルバーガーだ!僕、ベジタブルバーガー大好き!!」
キルシュ「それなら良かった」
キルシュ「いや、ただの高校生だよ。自炊してるうちに腕が上がっただけ」
少年「じすいって何?」
キルシュ「あー、自分でご飯を作って食べるのを自炊って言うんだ」
少年「そうなんだ!でも、お父さんやお母さんには作ってもらわないの?」
キルシュ「………………1人暮らしだからね」
少年「ひとりぐらし……あっ、もしかして……家出のお兄さん!?」
キルシュ「何その歌のお兄さんみたいなノリの通り名」
キルシュ「…………ふーん」
少年「お母さんを突き飛ばしたり、お父さんを殴ったり、お姉さんにケガをさせたってホント?」
キルシュ「全部ウソだよ、そんなことしてない」
キルシュ(むしろ俺がやられてる側だっての)
少年「そうなんだ……でも確かにお兄さん、優しい感じするもんね。そんなことはしなさそう」
少年「……トーマス」
キルシュ「トーマス…………トーマスか」
少年「どうしたの?」
キルシュ「いや、その……俺の後輩もトーマスって名前だなって」
トーマス「そうなんだ……お兄さんのお名前は?」
キルシュ「俺はキルシュっていうんだ、宜しくな」
トーマス「……待ってない。だって僕、家出してきたもん」
キルシュ「い、家出……?」
トーマス「そう、思い切って飛び出してきたんだ!だからお洋服もこれしかなかった!ブリンドルトンベイまで来れば見つからずに済むかなと思ってたけど、寒くて死んじゃうかと思った!でもちゃんとまだ見つかってないで家出できてるよ、凄いでしょ」
キルシュ「計画性の無さが凄いね、下手したら死んでたんだよ?わかってる?」
トーマス「うぅ……」
トーマス「やだ!帰らない!」
キルシュ「帰らないって……じゃあどこで寝泊まりするつもりなんだい?ここにはベッドもないよ?それに小学生が1人で危ないじゃないか、やっぱり家に帰ったほうが」
トーマス「やだってばやだ!!やだもん!!」
キルシュ「うーん……何で帰りたくないのかな?」
トーマス「……言いたくない。言ってもどうせ、大したことない話とか、ワガママだとか言われるもん」
キルシュ「言ってみなきゃわからないだろ?」
トーマス「やだ、言いたくないもん!!」
キルシュ「……はぁ……」
キルシュ(参ったな……住所や親の名前とかもわかんねえから、送り届けようがないし……でも、だからって放っておいたら危ないし……ここまで帰るのを拒否るってことは……もしかしたら、俺みたいに……虐待、されてるとか……………仕方ない、こうなったら……)
カイザ(ここは駆け込み寺か何かかね……いくら神がいると言えども、ここは寺院ではないのだがなあ!!)
キルシュ「家出のお兄さんって呼び方はやめてくれないかな……」
キルシュ「トーマスっていうんだ。まあ色々あって……暫く泊まることになった」
ワイルドソニック(そうなんでしゅね!)
ワイルドソニック(まあ、本当でしゅか!)
キルシュ「ああ!まだ情報がないけど……全力を尽くすから、待っててくれ」
ワイルドソニック(あい!)
キルシュ(ワイルドソニックに加えてトーマスも家に招いちまった……とりあえずトーマスは家出の理由を話してくれるようになったら良いんだが……ひとまず明日は学校休んで、ワイルドソニック達のケアをしないとな。クルークの体調も心配だし)
シュバルツ(……キルシュ、サイキン、ボク ヨリ、ホカノ コ、バカリ、カマッテナイ?)
キルシュ「ごめんってシュバルツ……あとで遊ぶから、ちょっと待っててくれよ……」
シュバルツ(……ムスー)
シュバルツ(……ブスー)
キルシュ「好きに決まってるだろ……?」
シュバルツ(ナラ、ヨシ!!)
シュバルツ(イク!!)
キルシュ「よし、わかった」
キルシュ「こらシュバルツ、興奮するな。どうどう……」
ワイルドソニック(やれやれでしゅわ……)
あとは素早さとジャンプスキルを上げるだけ!
シュバルツ(ボクモ、キルシュ ノセテ、ハシルノ、スキ。キルシュ イガイ、ノセタクナイナ……)
水曜日
キルシュ「おはようクルーク。なんか……昨日動物病院に行ってから、吐いたり倒れたりしてないな?」
クルーク(はわ!確かに!!)
クルーク(はい!!でもアレ、何だったんでしょうね……よくわかんないのですよ〜)
トーマス(しかし、まさか先輩がここに来るなんて……でもタイミング良く出くわして良かった。上手いこと言いくるめて家に帰らせることが出来たし……)
トーマス(……あれ、また新しいデータが入ってきてる……アクセサリーを身につけると肉体が変形……性的嗜好の上書き……酷いなコレは……)
トーマス(……バグ、か……)
トーマス(先輩、自分のせいで周りが……世界が狂ってきているなんて知ったら…………………絶対バレないようにしないと)
※明日の更新はお休みします。