ブリンドルトンベイ 動物病院



キルシュ(健診手続きっと……患者として動物病院に来るのは初めてだから、なんか変な感じだな)



昨日からクルークの様子がおかしい。
本人は元気だと言い張っているが、フラフラしたり吐いたり、明らかに元気じゃない。

トーマスからワクチンスナックは貰ったけど、それも効かなかったし……心配だからブリンドルトンベイの動物病院に来たわけだ。

クロウ動物病院?
エイデン先生、また怒りが溜まってるらしいから大暴れスタンバイらしい。
ウェアウルフって大変なんだな……。



クルーク(キル兄、ボク大丈夫なんですよ?今も幸せ感じてますし!)
キルシュ「ゲロ吐いて幸せ感じてるんじゃねえよ……何かあってからじゃ遅いんだし、ちゃんと診てもらえっての」
クルーク(はわ……)


獣医「次の患畜さん……クルークちゃん、どうぞー。はい、台に乗ってね」
キルシュ(これで不調の原因がわかればいいな)


獣医「ふんふん、なるほど……へえ、これが!ここがこれで!正常に可愛い!」
キルシュ「ど、どうですか……?」


獣医「極めて健康ですね!!幸せホルモンが物凄く出てますし、愛されてるとわかります!!」
キルシュ「はっ!?


キルシュ「いやいやいや、目茶苦茶フラフラして倒れたり、吐いたり、どう見ても極めて不健康なんですよ?もっとちゃんと診てください」
獣医「ちゃんと診たうえで正しい診断をくだしました!!ウチがヤブだと言いたいんですか!?」
キルシュ「ひぇ……ご、ごめんなさい……」

 


シュバルツ(キルシュ、クルーク、オカエリ!ドウダッタ?)
キルシュ「……極めて健康だってさ」

シュバルツ(ジャア、ダイジョウブ、ナノカナ?クルーク、ゲンキソウ、ダシ!)
キルシュ「大丈夫なら良いんだけど……心配だな……一応予防注射はしてもらったんだけど」

クルーク(注射でヒリヒリします……)


キルシュ「……とりあえず帰ろうか、暗くなってきたし雪まで降ってきた。ブリンドルトンベイは秋でも雪が降るんだな……」
シュバルツ(ウン、サムイ!)


クルーク(はわ?キル兄、あそこに子供が1人でいますよ!薄着ですし暗いですし大丈夫でしょうか)
キルシュ「ホントだ……親とか待ってんのかな」


少年「クシュンッ!!
キルシュ(いや、凍死寸前じゃん……親は何やってんだよ……子供はあんま得意じゃないけど仕方ないな……)


キルシュ「ねえ、君……余計なお世話かもしれないけど、あったかい服に着替えたほうが良いんじゃないかな……凍えそうになってるよ」
少年「な、ないもん……」

キルシュ「え?」
少年「家を、飛び出してきたから、服、これしかない!」
キルシュ「バッ……今すぐ室内に行かないと……ちょっとついてこい!!」

 


 ブリンドルトンベイ公園



キルシュ「はー、危なかった……とりあえず室内なら大丈夫かな……」
少年「ありがとうお兄さん……死んじゃうかと思った……」
キルシュ「でも勝手に連れてきて大丈夫だったかな……親御さんと待ち合わせとかしていたのかい?とりあえずれんら」
ぐううううぅ〜


少年「……お腹空いてフラフラする……」
キルシュ「お、おいおい……仕方ないな、腹ごしらえが先か……グリルで何か焼いてくるから、ここで待ってるんだよ」
少年「はぁい……」


キルシュ「クルーク、その子のこと頼むよ」
クルーク(おまかせくださいっ!!)


少年「わあ、もっふんもっふんのワンちゃんだぁ。可愛い……」
クルーク(はわ?この子……キル兄の後輩くんと同じ匂いがしますねぇ……似てる、じゃなくて完全に同じ匂いです!)


キルシュ(ワイルドソニック達、大丈夫かな……ゼーレやゲルダがしっかりしてるし、牧場スタッフもいるから安全とは思うけど…………でもあの子も放っておけねえし……はぁ、俺ってなんか中途半端だな……)


キルシュ「おまたせ、ご飯できたよ」
少年「わあい、ベジタブルバーガーだ!僕、ベジタブルバーガー大好き!!」
キルシュ「それなら良かった」


少年「凄く美味しい!お兄さんってプロの料理人?」
キルシュ「いや、ただの高校生だよ。自炊してるうちに腕が上がっただけ」

少年「じすいって何?」
キルシュ「あー、自分でご飯を作って食べるのを自炊って言うんだ」

少年「そうなんだ!でも、お父さんやお母さんには作ってもらわないの?」
キルシュ「………………1人暮らしだからね」

少年「ひとりぐらし……あっ、もしかして……家出のお兄さん!?」
キルシュ「何その歌のお兄さんみたいなノリの通り名」


少年「最近シムスタグラムで話題になってるんだよ?家族と喧嘩して、逆ギレして、お家から飛び出してきたワガママな家出少年って」
キルシュ「…………ふーん」

少年「お母さんを突き飛ばしたり、お父さんを殴ったり、お姉さんにケガをさせたってホント?」
キルシュ「全部ウソだよ、そんなことしてない」
キルシュ(むしろ俺がやられてる側だっての)

少年「そうなんだ……でも確かにお兄さん、優しい感じするもんね。そんなことはしなさそう」


キルシュ「お、俺のことはもういいだろう?それより君だよ……えっと、名前は?」
少年「……トーマス」

キルシュ「トーマス…………トーマスか」
少年「どうしたの?」

キルシュ「いや、その……俺の後輩もトーマスって名前だなって」
トーマス「そうなんだ……お兄さんのお名前は?」
キルシュ「俺はキルシュっていうんだ、宜しくな」


キルシュ「で、君の親御さんは?ベンチに座ってたけど、お母さんやお父さんを待っていたとかだったりする?」
トーマス「……待ってない。だって僕、家出してきたもん」

キルシュ「い、家出……?」
トーマス「そう、思い切って飛び出してきたんだ!だからお洋服もこれしかなかった!ブリンドルトンベイまで来れば見つからずに済むかなと思ってたけど、寒くて死んじゃうかと思った!でもちゃんとまだ見つかってないで家出できてるよ、凄いでしょ」

キルシュ「計画性の無さが凄いね、下手したら死んでたんだよ?わかってる?」
トーマス「うぅ……」


キルシュ「もう夜も遅いし、そんな格好で彷徨いていたらまた凍死しそうになるよ?家出なんてやめて帰りなさい、俺もついて行ってあげるから」
トーマス「やだ!帰らない!」

キルシュ「帰らないって……じゃあどこで寝泊まりするつもりなんだい?ここにはベッドもないよ?それに小学生が1人で危ないじゃないか、やっぱり家に帰ったほうが」
トーマス「やだってばやだ!!やだもん!!」

キルシュ「うーん……何で帰りたくないのかな?」
トーマス「……言いたくない。言ってもどうせ、大したことない話とか、ワガママだとか言われるもん」

キルシュ「言ってみなきゃわからないだろ?」
トーマス「やだ、言いたくないもん!!」
キルシュ「……はぁ……」


キルシュ(参ったな……住所や親の名前とかもわかんねえから、送り届けようがないし……でも、だからって放っておいたら危ないし……ここまで帰るのを拒否るってことは……もしかしたら、俺みたいに……虐待、されてるとか……………仕方ない、こうなったら……)

 


ドンッ


ゲルダ(まあ!また坊っちゃんがお節介を焼いたみたいネ!)
カイザ(ここは駆け込み寺か何かかね……いくら神がいると言えども、ここは寺院ではないのだがなあ!!)


トーマス「家出のお兄さん、凄い!こんな大きな牧場に住んでるんだ!」
キルシュ「家出のお兄さんって呼び方はやめてくれないかな……」


ワイルドソニック(キルシュちゃま、この子は誰でしゅか?)
キルシュ「トーマスっていうんだ。まあ色々あって……暫く泊まることになった」
ワイルドソニック(そうなんでしゅね!)


キルシュ「そうそう、お前が元の世界に帰る方法……俺の後輩も探すの手伝うって言ってくれたんだ」
ワイルドソニック(まあ、本当でしゅか!)

キルシュ「ああ!まだ情報がないけど……全力を尽くすから、待っててくれ」
ワイルドソニック(あい!)


キルシュ(ワイルドソニックに加えてトーマスも家に招いちまった……とりあえずトーマスは家出の理由を話してくれるようになったら良いんだが……ひとまず明日は学校休んで、ワイルドソニック達のケアをしないとな。クルークの体調も心配だし)


キルシュ「ん……ワイルドソニック、お腹空いたのか?ほらミルク」
シュバルツ(……キルシュ、サイキン、ボク ヨリ、ホカノ コ、バカリ、カマッテナイ?)

キルシュ「ごめんってシュバルツ……あとで遊ぶから、ちょっと待っててくれよ……」
シュバルツ(……ムスー)


クルーク(シュバル兄、大人になりましょうよ……完全に放置されてるわけじゃなくて、順番待ちしてるだけでしょう?)
シュバルツ(……ブスー)


シュバルツ(……キルシュ、ボクノコト、スキダヨネ!?)
キルシュ「好きに決まってるだろ……?」
シュバルツ(ナラ、ヨシ!!


キルシュ「まったく……拗ねるなよシュバルツ。じゃあ、ライドに行くか?トーマスも寝てるし、明日は学校休むし、ちょっとだけなら大丈夫だぞ」
シュバルツ(イク!!
キルシュ「よし、わかった」


シュバルツ(ミテ!!コレガ、ボクノ、トッケン!!キルシュ、ノセラレルノ、ボクダケ!!)
キルシュ「こらシュバルツ、興奮するな。どうどう……」
ワイルドソニック(やれやれでしゅわ……)


ライドに行ったらシュバルツきゅんの持久力スキル10になりました。
あとは素早さジャンプスキルを上げるだけ!


キルシュ「ふう、お疲れさん。やっぱりお前とライド行くの楽しいし、気持ち良いよ」
シュバルツ(ボクモ、キルシュ ノセテ、ハシルノ、スキ。キルシュ イガイ、ノセタクナイナ……)


水曜日


ゼーレ(………………)


ゼーレ(……ナンカ、キルシュ ノ周リニ アル、嫌ナ オーラ、強クナッテキテル気ガスル……)


ゼーレ(何事モ無ケレバ イイケド……心配……)


キルシュ「ふう……よく寝た……あ、クルーク……」


クルーク(ルンルンルン♪キル兄、おはようございます!)
キルシュ「おはようクルーク。なんか……昨日動物病院に行ってから、吐いたり倒れたりしてないな?」
クルーク(はわ!確かに!!)


キルシュ「予防注射が効いたのかな?それかトーマスから貰ったワクチンが効いたとか?どっちにしろ元気そうで良かったよ」
クルーク(はい!!でもアレ、何だったんでしょうね……よくわかんないのですよ〜)

  


トーマス(……先輩のワンちゃん、大丈夫でしょうか……ワクチン効くと良いんですが……)


トーマス(しかし、まさか先輩がここに来るなんて……でもタイミング良く出くわして良かった。上手いこと言いくるめて家に帰らせることが出来たし……)


トーマス(……あれ、また新しいデータが入ってきてる……アクセサリーを身につけると肉体が変形……性的嗜好の上書き……酷いなコレは……)


トーマス(……バグ、か……)


トーマス(先輩、自分のせいで周りが……世界が狂ってきているなんて知ったら…………………絶対バレないようにしないと
※明日の更新はお休みします。