![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240108/22/black-jack-1011/93/6d/j/o1080060715387278716.jpg?caw=800)
デル・ソル・バレー
そうすれば諦めもつく。
あの日々だって、最後に幸せな夢を見れたんだと考えればいい。
夢はいつか覚めて消えるものだから。
夢だと思えば縋らなくて済む。
取り戻したいと、叶わない願いを抱かずに済む。
叩き起こされるまでは、寝ててもいいだろ……。
良い夢を見られるかもしれないし……。
キルシュ「……えっ? あれ……なんで学校にいるんだっけ?」
ディラン「なんでって……今日は文化祭だろ?皆でまわろうって話してたじゃないか」
キルシュ「…………ぶんか、さい……」
ああ、夢だなこれは……。
色々あったけど、文化祭……楽しかったから……。
ディラン「疲れ気味なのか?まあ、今日くらいはゆっくり楽しんでいこう!」
ガーランド「ひえっ……あの、今、私に当たるところだったんですけど……?気を付けていただけませんか……」
カシュー「もうガラっち!細かいこと気にしないの!!」
ガーランド「細かくねーですが!?」
キルシュ「いや当てねえよ!!ボタン押すだけでいいのか……」
アレックス「壊れちゃったかなぁ、さっき力入れすぎてリモコンがバキッて言ったし!ぴゅ!」
キルシュ「お前の握力どうなってんだよ!!」
バーバラ「アンタの行きたいとこばっかりまわるんじゃないだろうね?ところでロシアンワッフルってなんだい?なんかウゲエエって見た目のワッフルが置いてあるけど」
インソレンス「平和なロシアンルーレットだ……」
ディラン「コモレビ山ではロシアンたこ焼きが流行ってるが、カッパーデールではワッフルというわけか」
エリザベス「くだらな〜い」
カシュー「え〜、面白そうだよ〜。やろうよエリっち〜」
ってディラン、早く食べなさい。
俺はなぜこんな物を食ってるんだろうというアレですか。
エリザベス「この出し物自体がしょうもないでしょうが」
インソレンス「エリザベスの言うとーり!!」
キルシュ(ロックが考えた出し物だっけ、これ……どんまい……)
ガーランド「おやぁ、ハズレでしたか。それはそれは残念ですなぁ!!まあこういうのは日頃の行いというヤツです!!頭が固い柔軟性のないシムには固いワッフルが寄ってくるのですよ!!」
インソレンス「んぎいいいぃ!!」
カシュー「あれ?ガラっちもハズレ引いたの?そんな顔してる〜」
ガーランド「ひ、引いてません」
カシュー「恥ずかしがらなくて大丈夫だよぉ〜私もハズレ引いたもん〜」
ガーランド「引いてませんったら!!」
結果
当たり組
キルシュ・アレックス・バーバラ・ディラン
ハズレ組
インソレンス・エリザベス・ガーランド・カシュー
綺麗に半分に分かれましたねぇ……。
アレックス「わあ凄い!響きがアドベンチャーだね!」
キルシュ「VRっつーか……ただのバブル・ブロワーじゃ……」
ガーランド「おっと、我々科学部の技術を疑っていますね?確かに見た目はバブル・ブロワーですが……中身はまったくの別物です!これを頭に繋げれば意識をデータ化してバーチャル空間に転送して……超絶リアルなVR体験が出来るのですよ」
バーバラ「……アンタが開発に携わったと聞くと不安になるねえ……」
キルシュ「わかったわかった……」
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240108/23/black-jack-1011/90/e4/j/o1080060715387289806.jpg?caw=800)
インソレンス「……うわっ!!雪山だ!!」
キルシュ「これVRなのか……?最近の技術って凄いな」
バーバラ「ふーん……なかなかやるじゃないか。雪山か……VRとはいえ初めて来たよ」
カシュー「わ〜い、やるやる〜!」
キルシュ「……スノボの方が格好良いなって……」
バーバラ「ガキっぽい理由だね!でもスノボの方が難しいからね、覚悟しておくんだよ!」
キルシュ「お前が転んでんじゃねえか」
エリザベス「ソリろうぜって何その誘い文句?ダサッ」
インソレンス「ぐはぁ」
エリザベス「まあいいけど。シエナさんからクラスメートとは仲良くしなさいって言われてるし」
インソレンス「マ!?やったぜ!!」
インソレンス「いい!後ろでもなんでもいい!!エリザベスと相乗り、うへへへへ」
エリザベス「キモいわね、突き落とすわよ」
インソレンス「さーせん!!」
ガーランド「は?イヤですが?」
アレックス「つれないなぁ、オレとアレクシスって名前似てるんだからさ!オレのことお兄ちゃんだと思いなよ!」
ガーランド「兄様をテメェみてえな変人と一緒にす…………いや、兄様も変人か……」
インソレンス(修学旅行までにエリザベスとアッハァンな関係になりてえなぁ……)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240108/23/black-jack-1011/97/b7/j/o1080060715387293768.jpg?caw=800)
バーバラ「ふう、なかなか楽しかったねVR雪山」
ガーランド「そうでしょうそうでしょう、自信作でありますよ」
カシュー「そろそろ女装コンテストの時間だしね〜、良い時間潰しになったね〜」
ディラン「……女装コンテスト……そんなのあったっけ?」
エリザベス「最近のシム界は女装がブームだったからねぇ」
キルシュ「確かになんか賑わってたけど、もうブーム過ぎ去っただろ……」
バーバラ「過ぎ去ろうが過ぎ去ってなかろうがどうだっていいのさ。もうやると決まってるんだからね」
エリザベス「逃げんじゃないわよ。アタシがアンタを可愛くしてあ・げ・る」
インソレンス「!!」
エリザベス「チョロいわね……まあアンタの女装姿なんてウゲエエもんだろうけど……精々ネタとして伝説になりなさいな」
インソレンス(エリザベスの熱い視線を感じる……ドキドキ……)
インソレンス「ぶぇへっ!!」
ガーランド「なんで乗り気なんですかね……」
キルシュ「アイツはなんでも楽しめるからある意味羨ましいわ……」
ディラン「誰が喜んで見世物になるものか!!」
カシュー「ノリが悪いよ〜。ほらほら早く〜」
ディラン「うわあ引っ張るな!嫌だっ、オレには男のプライドが…………力強っ!!」
ディラン「うわああああああ!!」
キルシュ「いや……借りを返すって言うなら女装に参加させないでくれ……マジで嫌なんだけど……」
バーバラ「他の奴らに捕まってネタ枠にされる前にアタシが美人にしてやるって言ってんのさ!!ありがたく思いな!!」
キルシュ「全然ありがたくねえよ!?恩着せがましいな!?」
ガーランド(キルシュさんには悪いが、これなら俺のメイクをする奴がいなくて女装を回避できる!!助かった!!)
ガーランド「はい、ガーランドであります!!どうなさいましたか兄様!!」
ガーランド「ええ、先程知りましたよ。まったくくだらない催しですなあ」
アレクシス『でも面白そうだよね……ねえ、ガーランド。オレがメイクしてあげるから女装コンテスト出なよ』
ガーランド「は?」
バーバラ「アンタもたまには汚れ役をやりな、良い機会だよ」
キルシュ「どういう機会だよ!!」
キルシュ(ハサミの音……)
小学校の先生「図工の時間は終わり!みんな、ちゃんと綺麗に紙を切れたかな?」
生徒「せんせー、キルシュくんなんにもやってませーん。サボりでーす」
先生「こらキルシュくん!駄目じゃないか、触った様子すらない!!」
キルシュ「…………」
先生「ほら、ちゃんとハサミを手に持って」
キルシュ「ひっ……!!イヤだ、ハサミ、近づけないで!!」
先生「こら、待ちなさい!!クソッ、この問題児が……!」
怖い……怖い、怖い、怖い……!!
キルシュ「……え……ぁ……」
バーバラ「急に立ち上がるなんて危ないじゃないか!ケガしたらどうするんだい!!」
キルシュ「……ご、ごめん…………俺、ハサミが、苦手だから……その、近づけないでくれたら、助かる……」
バーバラ「あ……そうなのかい、すまなかったね」
キルシュ「…………」
バーバラ「話す気がないなら無理には聞かないけどね……我慢できなくなったら吐き出したって良いんじゃないかい?誰かに頼ったり甘えたりすんのは弱さじゃないさ」
キルシュ「…………そんな事したって何も変わらない」
バーバラ「ん?」
キルシュ「いや、何も」
期待して裏切られるくらいなら、最初から頼らない方が楽だ。
なのに全部吐き出したら……俺の“何か”が壊れてしまう気がする……。
俺は弱いから、壊れたらもう立ち直れないってわかってる……立っていられなくなる……。
ディラン「…………」
カシュー「ディラっち、どうしたの〜?」
カシュー「大丈夫だよディラっち〜、映画のオカマキャラみたいになってて似合ってるよぉ〜」
ディラン「嬉しくない褒め言葉をどうも!!」
カシュー「だってディラっち、体が厳ついもん〜。顔もTHE・男だし、私にはこれが限界だよぉ〜」
ディラン「ううぅ……」
ディラン「!?」
アレックス「オレは素材の持ち味を活かしてるのさ!悪の魔女みたいで雰囲気出てるだろ!?ぴゅっ!!」
カシュー「確かに雰囲気出てる〜、すご〜い」
ディラン「なるほど……?」
ディラン「い、いや……オレはこれでいい……」
エリザベス「霞んでるわね」
インソレンス「はうっ!!」
インソレンス「どういう意味だ!?褒めてんのか!?」
カシュー「うんうん、インっち一番まともだよぉ〜この中ではね〜」
インソレンス「嬉しくねー!!」
インソレンス「いえ!そんな!!滅相もない!!!」
アレックス「ちょろいなぁ、ぴゅぴゅ〜」
バーバラ「何がそんなに不満なんだい」
キルシュ「こんな辱めを受けて不満に思わない理由があるとでも?」
キルシュ「お前はなんというか……凄いな……」
キルシュ「俺じゃなくてメイクしたバーバラに言えよ!!」
アレックス「メイク担当の腕じゃない!!素材に問題があるんだ!!もとが悪いんだ!!」
キルシュ「さらっと暴言!!悪かったな、もとが良くなくて!!」
アレックス「あっ、ガーランドだ!横顔だけは可愛いね!」
ガーランド「ぶち転がすぞ」
ガーランド「兄様に捕まったんですよ……ちなみに今、死ぬほどイライラしてます」
キルシュ「だろうな」
ガーランド「しかし、私は敗北という言葉が嫌いです。例え女装であろうと勝負とあらば負ける気はありませんからね!!アーハッハッ!」
アレックス「大丈夫!こんなコンテストに出てる時点で恥だから!」
インソレンス「そりゃそうだ」
キルシュ「……そろそろ始まるか……気は進まねえが、まあやるとしよう……」
「……っ」
そういや、あの後……誰が優勝したんだっけ……。
……思い出すのはやめよう……あの頃に戻りたいって、思ってしまう……。
楽しい夢だったな、今日も……1日……頑張ろう……。
※水曜日の更新はお休みです。