⚠WARNING⚠
ストーリーの展開上、不適切な発言が出てきます。
苦手な方はご注意ください。
水曜日から修学旅行の牧場生活、
やっていきます。

月曜日


キルシュ(へー、コモレビ山って雪遊び以外にもハイキングとかロッククライミングとか色々あるのか。しかも精霊とかいるって……神秘的だな)


キルシュ(ヘンフォードの時はまだクラスに馴染めてなかったけど、今は違う……友達も沢山出来たし、今までの学校行事で一番楽しみだな……)


クルーク(キル兄、ソワソワしてますね!ずっと楽しみにしてましたもんね!)
キルシュ「まあな……まあ面子が面子だから、絶対トラブルが起きそうな気がするけど……主にアレックスとかが何かやらかしそうな……」

ゼーレ(ヤラカス ニ キマッテル)
キルシュ「だよな」


キルシュ「でもまあ、それを踏まえたうえで楽しみなんだよ。ただ……お前らを残して行くのが心配だな。今回は旅館に泊まるから動物はNGらしいし……」

ゼーレ(私達ノ コト ハ心配スルナ。牧場スタッフ、イルシ!)
クルーク(そうですよ!キル兄、たまには何もかも忘れて羽根を伸ばしてきてください!)

キルシュ「おう……ありがとな」


シュバルツ(キルシュ、りょこう、たのしみにしてる!いっしょにいけないの、すこし、さびしいけど……ボク、おにいさんだもん!みんなをまもらなくちゃ!とくにワイルドソニックのこと、おせわしなきゃ!ふんぬっ!)


シュバルツ(そして、いいこにしてて、かえってきたキルシュからエライ!さいこう!って、たくさん ほめられるんだ♪わーい!

 


 カッパーデール高校



校長「おはよう、ブルームくん」
キルシュ「……おはようございます、校長」

校長「あのね、話があるんだよね。昼休みになったら校長室まで来てほしいんだよね」
キルシュ「は、はい……」

キルシュ(なんか嫌な予感がするな……)


 校長室


キルシュ「あの……話というのは……?」
校長「明後日の修学旅行の事だね。率直に言うとね、君は修学旅行には参加させないことにしたんだよね」
キルシュ「………………は?」


校長「君にはいつも迷惑かけられてるって訴えてくる生徒もいるし、シムスタグラムでも悪評が広まってるよね!」


校長「それにこの間は人様の子供を誘拐したとか!」
キルシュ「誘拐してません!!大体、迷惑かけられてるって言ってんのは誰ですか!」


校長「そんなこと言えるわけないね!しかもこの間、ヘンフォード・オン・バグレーのバーで未成年なのにお酒を飲んでたらしいね!画像がソシャバに投稿されてるね!」
キルシュ「あれはお酒じゃなくてジュースです……!」

校長「そんな話信じられるわけないよねぇ!それに君って身体に犯罪組織に憧れて、ギャングワイフのタトゥー入れてるって聞いたよ!!」
キルシュ「……なんだよそれ……何もかも全部デタラメですよ!そんな組織のタトゥーなんて入れてません……」

校長「じゃあ、服を脱いでタトゥーなんてありませんって証明してみせなよ」
キルシュ「な、なんで脱がなくちゃいけないんですか!嫌ですよ!!」


校長「ふーん、見せられないんならタトゥーがあるってことだね。夏場でも長袖だから妙とは思ってんだよ。あーやだやだ。将来は犯罪キャリアコースかね」
キルシュ「………………身体に……」
校長「ん?」


キルシュ「…………身体に……傷が、あるんです……だから……あまり……人に見せたくないし……自分でも、視界に入れたくなくて……」

校長「あのねぇ、嘘つくならもう少しマシな嘘つきなよ」
キルシュ「う、嘘じゃな」

校長「傷があるってさ……自分でやったんじゃないの?君の両親から聞いてるんだよね。自分を可哀想に見せる為なら何でもするって」
キルシュ「…………っ」


校長「とにかく、君が修学旅行先で色々やらかしたら迷惑だし、カッパーデール高校の名前にも傷がつくしさ……君は修学旅行おやすみね。退学させないだけでもありがたく思ってほしいな」
キルシュ「…………………」

校長「ちょっと返事は?てか聞いてるのかね」
キルシュ「……すみませ……ト、イレ、行かせて、くださぃ」
校長「これが噂の自分可哀想ムーブかな?都合が悪くなったらそうやって逃げるんだね。まあいいよ、話は終わったし行きなさい」




キルシュ「うぐっ…………ゲホッ、ゲェェ……」


キルシュ(……シムって、言葉だけでも、吐き気を催すことが、出来るんだ…………話しても、わかってもらえなくて……ほんとのこと、言ってるのに、信じてもらえなくて……頭の中は熱いのに、体は凄く冷え切って、気持ち悪くなって……)


キルシュ(…………今日は、もう無理だ。ここに、いたくない……あの校長がいる場所に、いたくない……早退はいけないって、聞くけど……どうせ問題児扱いされてんだ……変わらない、だろ……)




先生(……ん、あれはブルーム?もうすぐ授業だというのに何処へ……?それになんだかフラフラしているが)


先生「おい、ブルーム!そろそろ数学の授業だぞ!席についていないと……って顔色悪いぞ!?大丈夫か!?」
キルシュ「……すみません……体調悪いんで、帰ります……」

先生「ぬっ、そうなのか!?おいおいしっかり体調管理せんか!明後日は修学旅行なんだぞ、それまでに治るのか!?」
キルシュ「…………しゅうがく、りょこう…………」
先生「ん、どうした?」


先生「あっ!おいブルーム、無言で立ち去るな!おおーい!!」


先生「……アイツ……なんだか様子がおかしいな……そういえば今朝、校長に声をかけられていたが……まさか、何か言われたのでは……校長に話を聞いてみよう」




 校長室


先生「……なんっですっとおおぉぉ!?ブルームだけ修学旅行に参加させないいいぃ!?しかもあんなことやこんなことまでブルームに言ったんですか!?」
校長「それがどうかしたのかね、僕は事実を述べただけだね」


先生「生徒に、子供に向かって、そんな心無い言葉……教育者の……いや!!シムの風上にも置けない!!人の心ってもんがないんですか!!」
校長「僕はね、ブルームくんの為に心を鬼にして言ってあげたんだよね。ああいう悪ガキには厳しいくらいじゃないと心に響かないんだよ、あれが若者くらいになったら価値観が練り固まって誰が何を言っても変わらなくなる。まだ柔軟なティーンのうちに無理矢理にでも変えとかなきゃダメなの」
先生「言っていることはまだわかりますが……アンタのやり方には賛同出来ませんっ!!!」


校長「はぁ〜。君はブルームくんに肩入れしすぎだね。教師が生徒1人を特別視するのは良くないことだね。君はブルームくんを特別扱いしてる、だから冷静で客観的な判断能力が失われているんだね」
先生「貴方だって、悪い意味でブルームを特別視してるじゃないですか!!問題児というフィルター越しにあの子を見ている!事実を確かめようともせず、悪評を広めている生徒の言うことを鵜呑みにして追い詰めている!!校長自らイジメに加担してるようなもんじゃないか!!」

校長「イジメって大袈裟な……僕は客観的な判断をしているだけだね。そろそろ午前の授業の時間。ブルームくんの修学旅行不参加はもう決まったことだからね、覆せないからね。ほら、授業に行きなさい」
先生「ぐうぅ……」




先生(……アイツ……修学旅行を楽しみにしていたのに……こんな形で…………なんとか……なんとかしてやれないのか……)

 


 放課後 ブルーム牧場



シュバルツ(キルシュ、どうしたんだろ……きょう、ガッコウなのに、スグかえってきちゃったし……それに、かお、まっさお……なにかあったのかな……しゅうがくりょこう、なくなったっていってたから……それのせい?)


シュバルツ(ミルヒ、しゅうがくりょこう、なくなっちゃったんだって。どうすればいいと おもう?)
ミルヒ「メェ……」
シュバルツ(そっか……ミルヒも、どうしたらいいか、わかんないんだ……)


トーマス「シュバルツくん!
シュバルツ(あっ、トーマスだ。キルシュなら、いま、クルークと おさんぽ、いってるよ)


トーマス「ああいや、今日は君に話があるんだ」
シュバルツ(ボク?)

トーマス「うん……先輩の修学旅行のことで」
シュバルツ(しゅうがくりょこう!なくなっちゃったやつ!)

トーマス「そう、それ。あのさ……この修学旅行は先輩にとって最後の…………ゴホン、最高の思い出になるんだ。だから僕は先輩を修学旅行に行かせてあげたい。その為には……君達の力が必要なんだ」
シュバルツ(ボクたちのチカラ……)
トーマス「シュバルツくん、明後日の朝……今から僕が言うように動いてほしいんだ」

 

そして水曜日の朝


キルシュ(……朝か……今日から皆、修学旅行……皆、楽しめてるといいな……)


キルシュ(……まあ、俺は行かないほうが良かったかもな。牧場のこともあるし……もしかしたら調子に乗ってスベって皆に引かれてたかもだし…………うん、良い方に考えよう……)


クルーク(キル兄〜!大変です〜!!)
キルシュ「ん……?どうしたんだ、クルーク」


クルーク(シュバル兄が……シュバル兄が……家出してしまったんです!!)
キルシュ「は!?シュバルツが家出!?

クルーク(は、はい……凄い勢いで走り去ってしまって止められなくて……!どうしましょう!!)
キルシュ「どうしましょうって……探しに行くに決まってんだろ!?ああ、でも何処に行ったのかわかんねえのか……手当たり次第に探すしか……」

クルーク(大丈夫です、キル兄!ボクがシュバル兄の匂いを辿っていきますから!)
キルシュ「ああ、なるほど!流石クルークだな!頼むよ!」
クルーク(はい!!


クルーク(クンクン!こっちの方からシュバル兄の匂いがします!)
キルシュ「おう!」

 


クルーク(キル兄、ほら!ここです!あそこにシュバル兄がいますよ!)
キルシュ「うん……でもここって……駅……」

クルーク(駅だかなんだか知りませんが、あそこにシュバル兄がいますよ!早く行ってあげてください!)
キルシュ「わ、わかったよ……」


キルシュ「……シュバルツ」
シュバルツ(キルシュ!ちゃんと、クルークにあんないされて、ここまで、きたんだね!!)
キルシュ「……えっ?クルークに案内……?お前、家出したんじゃ……」


校長「はぁー!?ちょっとちょっとブルームくん!?君は修学旅行に参加するなって言ったよねえぇ!?なにをサラッと集合場所まで来てるのかなああぁ!?」
キルシュ「う……」
シュバルツ(このシム、キルシュいじめる!!キライ!!)


校長「こんな所まで来たって君は修学旅行に参加できません!ほら、さっさと帰るんだね!まったく厚かましい、諦めが悪い!!」
キルシュ「ご、ごめんなさい……俺は、ただ、馬を、探しに」
待った!!!
キルシュ・校長「!?」


アレックス「キルシュは修学旅行に来たわけじゃないんだぞぉー!!個人的にアドベンチャーしにいくだけさ!ぴゅっぴゅっ!」
校長「はぁ!?」
キルシュ「……?」

バーバラ「ああ、そうさ!キルシュは1人で遊びに行くだけさ!」
キルシュ「???」


アレックス「キルシュはオンラインくじでコモレビ山の旅行券が当たったんですよ!だから修学旅行関係なしにコモレビ山へ旅行しに行くんでさあ!いいなー、羨ましい!ぴゅぴゅー!」
校長「りょ、旅行券が当たっただって……?」

アレックス「イエス!!ほらキルシュ、スマホに旅行券が添付されたメール来てるでしょ!?ぴゅ!」
キルシュ「いやそんなメール知らな…………あれ、マジで届いてる……」

キルシュ(でもメールの送信者がガーランドって書かれてんだけど……しかも“余計なことは言わずに周りに合わせてください”って書いてあるし……)


校長「い、いや……しかしねぇ……」

バーバラ「なんだい、この校長はプライベートな旅行さえもしちゃダメだっていうのかい!?個人で楽しむだけの旅行を禁止する権利がどこにあるって言うんだろうね!」
アレックス「まったくだよ、ぴゅぴゅ!キルシュはたまたまコモレビ山の旅行券が当たって、たまたまオレ達と目的地が同じで、たまたま同じ電車に乗り合わせただけなのに!アドベンチャーを奪うなんて酷いや酷いや!!」


先生「校長!ブルームは修学旅行に来たのではなく、1人でコモレビ山へ遊びに行くんです!生徒のプライベートにまで関与するおつもりで!?」
校長「……はぁ……ここで揉めた方がカッパーデール高校に悪いイメージがつくね……はいはいわかったわかった、個人で遊びに行くならどうぞご自由に!」


アレックス「……ぴゅう。やったねキルシュ!!これで一緒にコモレビ山へ行けるよ!!ぴゅぴゅ!!」
キルシュ「え、えっと……何がどうなってんのか全然わかんねえんだけど……」

バーバラ「アンタが修学旅行に参加出来ないって聞いてねぇ……皆で作戦立てたんだよ、アンタも一緒にコモレビ山に行く為の作戦をね」
キルシュ「さく、せん……?」


アレックス「おー、いえーす。主に作戦を考えたのはトーマス!そしてその作戦にオレ達クラスメートや先生、シュバルツ達が乗っかったってわけ!!」
先生「しー!ジョーンズ、あまり大声で言うな!!」

キルシュ「シュバルツ達が乗っかった……じゃあ、シュバルツが駅にいたのも、クルークが俺をここに連れてきたのも……!」
バーバラ「トーマスに指示された通りに行動したってことだね」


アレックス「うーん、しかし修学旅行じゃなくてプライベートの旅行だからOK理論はなかなか強引だったけど、なんとか乗り切れたね!」
キルシュ「……偽物の旅行券を送ってきたのはガーランドってことは、アイツも協力してくれたってこと……なんだよな……でも……俺1人の為に、そこまで……」

アレックス「イエス、マイフレンド!!だからさ!!ガーランドも、ディランも、カシューも、インソレンスも、柊や彗も、アレクシスも、キルシュと一緒に行きたかったんだよ!!」
バーバラ「それに、アンタが今回の旅行楽しみにしてるのはヒシヒシと伝わってきたからねぇ……校長の職権乱用なんかで潰させたくなかったんだよ」


キルシュ「……………………」
アレックス「あれ?キルシュ、もしかして……泣いてる!?」
キルシュ「な、泣いてねーよ!!」

バーバラ「相変わらずガキっぽいね、こんな事で泣くなんて」
キルシュ「泣いてねえっつってんだろうが!!」
クルーク(これは嬉し泣きですね、キル兄!)


バーバラ「ほら、そろそろ出発の時間だよ!電車に乗りな!アンタは“たまたま”アタシ達と同じ電車に乗り合わせるだけなんだからさ!遠慮することはないよ!」
キルシュ「お、おう」


シュバルツ(キルシュ、りょこう、たのしんできてね!)
キルシュ「ああ……ありがとな。でも帰りは大丈夫か?」

シュバルツ(うん!スタッフのヒトが、むかえ、くる!)
キルシュ「牧場スタッフまで協力してくれてんのか……帰ったらお礼言わなくちゃな……」


先生「ほら、早く電車に乗らないと間に合わないぞ!」
キルシュ「あ、はい!」

シュバルツ(キルシュ、いってらっしゃーい!!)
クルーク(楽しんできてくださいね!!)