欠落感を抱えながら、葛藤し、他者や社会と渡り合う若者を描いた作品。

 

誤魔化してやりすごす、ノリと勢いで乗り切る、ゆる~い、どこにでもいそうな量産型大学生、堀貝(佐久間由衣)が、猪乃木(奈緒)吉崎(小日向星一)と、そして自分自身と本気で向き合うことで、眠っていた熱が解放していく。

 

恋愛じゃなきゃ人は動かないのか?そうじゃないでしょ??

 

吉野竜平監督曰く、もっと人の根っこの部分を描きたかったとのこと。

 

 

 

 

鑑賞後にいろいろ考えたくなった作品。

 

ということで、感じたことを1週間で整え2回目を鑑賞。

 

 

大学生活はリアル。学部までの4年間、学生寮で過ごした身としては、堀貝みたいな学生は周りにいっぱいいたので懐かしい。正直、あまり好きなタイプではなかったけど、鑑賞2回目では序盤から愛着が湧いちゃってるのが不思議なところ。笑 そして、冬の風物詩、卒論のアンケートは何枚も書かされたなと。笑笑 

 

私自身は、忙しさで文系にマウント取ってた理系学生だったし、ノートをコピーさせる側の真面目学生、つまり、極めて残念なことに猪乃木さんとは出会えないポジションということ。笑(どうでもいい) 

 

飲み会のシーンが不快だという意見もあるようだが、確かに気持ちいいものではないけど、(少なくとも10年前なら)ないことはないかなという印象。男子学生に周知の事実かのように処女でいじられるところをみると、自虐的に普段からゼミ内でネタにしてたのかな?と推定。

 

数分の短い出番で存在感を示した穂峰(笠松将)の別れ際の じゃあ!の雰囲気が好き。ヨッシーは、仲間のことを自分ごとで考えられるいいやつ。友達になりたい!笑笑

 

みんな、どこにでもいそうな大学生だけど、誰かのために行動できるやつばかり。

 

こんな感じで序盤から世界観にどっぷり。あの時代って特別だったな、という自覚があるのでなおさら。

 


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"私みたいな"、"私なんか"、"私ってやつは"、"こんな私"、、、口癖からも自己肯定感の低さが滲み出ている堀貝だけど、猪乃木との出会いで少しずつ変わっていく。

 

意図せず痛みを共有し、補完し合う二人。不安をぶつければ、自分のことのように受け止めて優しく寄り添ってくれる。

 

卒業パーティーよりも優先した二人の時間。あんなに楽しそうに笑っている二人を見るだけで距離が縮まったことは十二分に理解できるけど、

 

カフェバーで飲んでるとき、自分の家でぷよぷよやってるときすらも耳当てニット帽をかぶったままの猪乃木が、最後の牡蠣パーティーでは、心を許していることがわかる。

 

 

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取っ散らかったことしか言えない堀貝のまっすぐで、不器用な言葉。

 

「君は、永遠にそいつらより若いんだよ。」

 

猪乃木さんの過去の体験や抱えているすべてを理解して、つまりネタバレしてから、改めて彼女の表情や「その言葉でじゅうぶんだと思う。」 を聞くと、猪乃木さんにも響いて救われたんだなと思える。奈緒の☝この表情に、なんとも言えない気持ちにさせられた。


 

過去のことは、どうすることもできないけど、今、目を背けなければできることもある。誤魔化すことをやめ、一歩踏み出す。

 

損しちゃう人かもしれない、下手な人かもしれないそんな堀貝が嫌いじゃない。

 

 

 

 

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