今週、東京出張に行った時に東京駅の本屋さんで見つけたんだ〜〜
これは買いでしょ!
鉄オタほど詳しくないけど、なんとなく電車好きな自分としては惹かれてしまいます。
ところで山手線て全部で何駅あるんだ?30駅?(あまり乗らないのでわからない)
これはその山手線30駅の一駅に一話のショートショートなお話をつけて綴った短編集です。読んでみましたが、あんまり、駅は関係なかったような気が・・・ストーリーはミステリーだったりギャグだったり、時たまホラーだったりファンタジーだったりで盛りだくさんでした。作者さん、苦労されたんだろうなあと偲ばれます
気に入ったお話をいくつか。
●浜松町駅『推し絵と旅する男』
江戸川乱歩先生のあの名作を題材にしたパロディー。なんで浜松町なのかな、と思うのですがこれ羽田空港から東京モノレールで浜松町まで行く時のお話よね。微妙に山手線ではないな・・・
余談ですが東京モノレールってめっちゃ速いよね!!速すぎて、停車する時の急ブレーキでドドドドドッて荷物が崩れそうだよ。キャリーケース吹っ飛ぶわ。
ギャグです。ニヤニヤしながら読みました。
昔ふうの服とか髪型をしている変な男が東京モノレールに乗っている。でかくて四角な風呂敷包みから絵のような荷物を取り出した。男はそれを窓に立てかけて話しかけてる。大阪弁で。
「いやー長旅やったねえ、もうすぐ浜松町やって」
同じ車両に偶然乗り合わせた、こちらも大阪人の輪本。彼は心中穏やかではない。
こいつ、まるでさあつっこめとばかりにチラチラみてくるな・・・
誰がつっこむかい。
お前がいま、どれだけボケようとも、絶対につっこまへんからな。
この二人のボケるかつっこむかという心の攻防戦(?)が面白かったです。大阪人の意地としてつっこんだら負けですか?まんまと相手をボケさすから?
よくわからないな・・・
●上野駅『山手線お悩み相談室』
電車の中で、中年女性がしきりに若い男に説教をしている。男は楽して儲けたいとかテキトーなことばっかり言ってて、女性は「それじゃダメよ」と真剣にアドバイスをしている光景です。
他の乗客は興味津々でこっそり見てたところ、降りる時に女性は男にお金を払い、男は「お悩み相談室、ありがとうございました」と言ってる。
逆じゃね?
不思議に思った乗客が男に尋ねてみた時の返答がこれ。
人間には誰しも、アドバイス欲があるのですって。人に何かアドバイスをするって、気分がいいですもんね。なので、一駅千円で男は商売をしているらしい。
まあそうかもね、と思いつつチクリと刺されるような、ブラックユーモア的なお話かなと思いました。
●日暮里駅『四少女探偵団』
電車の中の女子高生4人が、様子がおかしい一組のカップルを見かけて、助けるお話。ショートミステリーで、爽快なお話だった。
ここで知ったのが、密かに周囲に助けを求める「HELPサイン」というもの。まず親指を折り、そのほかの指はピンと伸ばす。その後、親指を握り込むように四本の指で包む、と。これ便利ですね。あまりに普及すると悪用する人も出てきそうですが。
●新大久保駅『お母さんお母さんお母さんお母さんお母さん』
マンションのエレベーターに乗ってきた不可解な家族。両親と二人の子供なのですが、上の子は身なりも良く、裕福な感じがするのに、下の子がボロボロの服装で、「お母さんお母さん」としきりに呼びかけるのに母親は無視しています。
この光景を何度か見た同じマンションの女性は、意を決して児童相談所に連絡するのですが、そこで驚愕の事実を知る。
ホラーなお話でした。こういうお話、本当にあるかも。しかし新大久保駅は全然関係なかった気がする。
●五反田駅『わたしの桜吹雪』
夫にも、義理の姉や弟夫婦にも毎週のように奴隷のようにコキ使われる主婦のお話。平日はパートで、土日も家事で、自分の時間など全然ありません。
この主婦が電車の中で全身タトゥーの少女と知り合い、それがきっかけで思いも寄らない行動に出ます。
主婦は、昔から好きだった遠山の金さんみたいに、桜吹雪の刺青を入れたいと少女に頼み込む。
あらあらまあ・・・と心配になるお話ですが、ラストは爽快。遠山の金さん、いいよね。昭和の人はこういう勧善懲悪の時代劇を見ながら、憂世のモヤモヤを晴らしたんだ、きっと。
山手線はループしているから時間軸がおかしくなったり、実はこの形状が魔法陣の役割を果たしていたり、よく考えつくなあというファンタジー要素のお話もありました。
東京駅って駅長さんが二人いるの?!なんで??
そして山手線には幻の31駅目があるらしい・・・?
それは、昭憲皇太后の葬儀の際に、霊柩車を京都まで運行する時の出発駅「葬場殿仮停車場」だとか。幻の、などと言われるとここにもオカルトな何かが潜んでいるような。