イヤミスは好きなんだけど、これはイヤミスのレベルを超えているのでは・・・
かなり胸クソなミステリーを読んでしまいました。
あ〜後味が悪い。
『聖女か悪女』というタイトルは、サドの『美徳の不幸』のオマージュなんですって。
『美徳の不幸』とは・・・(小説内で解説されているあらすじ引用)
裕福な家に生まれた姉妹が、突然両親を亡くし、路頭に迷います。奔放な姉のほうは金持ちの愛人になり、放蕩と悪徳の限りを尽くし、伯爵夫人へとのし上がります。
一方妹は、その真面目な性格が仇になり、何度も騙され、貶められ、ついには濡れ衣を着せられ、落命します
奔放な姉がジュリエット、真面目な妹がジュスティーヌ。
これだけ聞くとかわいそうな娘の不幸話のようですが、何せサドだから。その内容がとてもここでは書けないようなものすごいコトという・・・
ちなみにわたしは原典は読んだことないです。なんかあらすじを読んで気持ち悪くなっちゃったな。
今回のミステリーには、澄美子と絵美子という双子の姉妹が登場します。この二人がサドの書くジュリエットとジュスティーヌになぞらえてありました。
これ、真面目で従順なジュスティーヌのような生き方が同情され共感されるわけではないってところがポイントなんだな・・・
で、悪は必ず罰せられ滅びるってわけでもないんだな・・・
そこがイヤーなところでもあり、深く心に突き刺さるところでもあります。
彼女らの過去にあるのは、「モンキャット事件」。
これも過去に実際に日本で起きた「プチエンジェル事件」をモチーフにしてあります。
闇の深い事件ですね・・・
それは17年前に、六本木の高級ウィークリーマンションで数人の子供たちが監禁されているのが見つかった事件。犯人とされたマンション管理人の男が発覚直後に自殺してしまった。しかし、マスコミが事件の真相を追って取材をしても、次々と関係者が消えたり左遷されたりで唐突に事件は幕引きとなった。
どうやら、「モンキャット」とは児童買春を斡旋する組織で、顧客には政治家や著名人などが名を連ねていたため、何らかの圧力で”もみ消された”らしい?
この事件自体も胸クソ悪いが、さらに取材に圧力がかかってもみ消されたというのがもっとタチが悪い。
物語に出てくるカリスマブロガーや女優、テレビの人気コメンテーター、それと「あなた不幸になるわよ」というセリフで有名な人気占い師(なんか昔こういう人いましたね、)などが次々と登場し、全く別の世界にいる人々が事件を通して繋がっていく様子がとてもスリルのある面白い謎解きになっていたのだけど、如何せん書かれる内容がエグい。酷い。猟奇的。
そういう意味で、多くの人に受け入れられるわけではないが、狭い範囲でおすすめって感じです。
しかし買春って女の敵かと思いますが、だいたいこういうのって主犯格に女がいたりしますよね・・・男が女を一方的に虐げてるわけじゃなくて、女が女を売ってるところもあり。
あーほんとに後味悪い。
本の内容には何も関係ないが・・・
野口英世カップの酒、美味しかった。