死にたがりの完全犯罪と部屋に降る七時前の雨 | あだちたろうのパラノイアな本棚

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読書感想文、映画感想、日々のつぶやきなどなど。ジャンルにこだわりはありませんが、何故かスリルショックサスペンスが多め。

 

 

長いタイトルだな!笑

 

…今思えば、このポエム的タイトルが全てを物語っていたんだな。

 

すんごいカッコつけてるお話でした…

 

悪口っぽくなって恐縮ですけれども。

 

テーマは何なんだろう。

暗い過去を背負った青年の犯罪小説なのか、

青年達の熱い友情(恋人未満ぽくもある)なのか。

 

共感の落とし所がなく、頭に混乱をきたしています。

 

シチュエーションは、コロナ禍にてステイホームを余儀なくされた大学生二人です。彼らは同じ地方の出身の先輩後輩で、家賃を節約するため二間のアパートで一緒に暮らしています。

 

先輩の名が月也で、地元の政治家の息子です。いわゆる名家のおぼっちゃま。

複雑な生い立ちで親とは険悪な関係。

 

後輩が陽介と言いまして、同じ町の農家の息子。人格者と謳われている父親がいるのですが、そのプレッシャーを疎ましく思い、彼も自分の家を嫌っています。

 

月也は親を殺害する完全犯罪を計画していて、陽介はそれを阻止するためにあれこれ策を練っていて。

二人は地元からも家からも離れたいと思っているのに、ことあるごとに自分の中に流れる「血」を意識し、がんじがらめになっている自分を歯痒く思う。

 

いや遠慮なく

どこでも遠くに行けばいいがね…

 

よくわからないんだな…

江戸時代の後継息子じゃあるまいし、なんでそんなに「家」「家」って意識するんだろう。

 

まさかお前

自分に酔ってるな?!

 

ああ、ダメだ。またイラッとして余計なツッコミを入れながら読んでしまった。

 

舞台は緊急事態宣言下の都内なので、大学も休みになっているし、バイトもシフトに入れてもらえないし、ひたすら家にこもって自炊している二人です。

悶々とよからぬ事を考えるのも当然か。

 

彼らが始めたことは、ネットを使ったお悩み相談、”理系探偵”でした。

1回500円で、他人の相談にのって回答してあげる。

事件なら謎解きをしてあげるというもの。

 

まあ寄せられる相談は、匿名でチョロッと暇つぶしに送ってくる人が大半なので、悪戯のような、謎かけ挑戦のような、他愛のないものです。

 

メールの文面にある情報だけで謎解きをしていく様は面白くはありますが、それと月也が秘めている犯罪計画とは何の関係もないんだよな。

 

ついでに言うと、月也と陽介の関係も、お互い敬語になったりタメ口になったり口調がごちゃ混ぜなので、性格が掴みにくい。というか、両方同じ人間に思えてくる。

 

もう〜読みにくい話だな〜〜

 

ちなみにラストは、とても古式ゆかしいトレンディドラマ的シーンが待っています。わあぉ。

 

今更気づいてみれば、月也と陽介っていう名前も、いかにもっていう組み合わせなんだな。

 

実は作者はすごくロマンチストなのかもしれない。

 

 

 

 

梅の蕾が膨らみました。