葵の残葉 | あだちたろうのパラノイアな本棚

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読書感想文、映画感想、日々のつぶやきなどなど。ジャンルにこだわりはありませんが、何故かスリルショックサスペンスが多め。

マズいぞ・・・
 
久々に推しのことが好きすぎて、恋わずらいみたいになっちゃったぞ・・・
 
昔の年末時代劇の「白虎隊」を見たら、とある登場人物にハートを奪われてしまった。
毎日その人のことばかり考えています。
 
誰のことかは内緒。
 
 
さて。
これも幕末の小説。
 
作者の奥山景布子さんて記憶にあるなぁと思ったら、
『時平の桜、菅公の梅』
で読んでいました。
これは大変面白かった!!平安ものなんだけど、藤原時平と菅原道真という、宮中のライバルを描いた作品でした。
 
奥山景布子さんの小説は、章の切り替え時の場面にワッと盛り上げる傾向があって、さながら週刊少年マンガを読んでいるようです。「えっ次どうなっちゃうの?!」と気になって進んでしまいます。
 
今回の本の登場人物は。
 
高須4兄弟
 
4兄弟のうち、最も有名なのは、おそらく会津藩主の松平容保さんかと。
 
高須藩は、徳川御三家の一つである尾張藩の分家で小藩なのですが、なぜか男子がポコポコ生まれて健やかに育ち、後継者のいない他藩に次々と養子に出て藩主に迎えられていました。
 
上から、
次男・慶勝(よしかつ):尾張藩主
五男・茂栄(もちはる):高須 ⇨ 尾張 ⇨ 一橋
六男・容保(かたもり):会津藩主
八男・定敬(さだあき):桑名藩主
 
どうでも良いが、みんな漢字が読みにくい!!
 
幕末の動乱期に、いち早く幕府を見限り新政府側についた慶勝、都合よく政治利用されながらも最後は新政府に重宝された茂栄、最後まで幕府と運命を共にした容保と定敬など、実の兄弟でありながら敵味方に分かれて戦わなければならなかった悲運を描いています。
 
かろうじて救われることには、この小説、冒頭は明治の世になって4兄弟が顔をそろえ、一緒に写真を撮るシーンで始まります。
 
つまり、色々あったんだけどとりあえず皆生きていて、こうして和やかに過ごせるという。
これがわかっているから、これから読む暗い話が耐えられる。
 
これが明治11年撮影だというその写真です。
 
 
容保さんと定敬さん…よくぞご無事で…えーん
京都守護職の際は、京の女たちをザワつかせたという美青年だったのに、さすがにご苦労の跡が。
はあ容保さん素敵・・・(あっ言っちゃった)
 
なんだか読み終えた後にこの写真を見ると、それぞれの生き様が出ているような気がするな〜
 
慶勝さんは思慮深く用意周到な策略家。弟たちを愛しているし気にかけてもいるのだけど、それよりも自分に与えられた尾張藩という重責を最も重視し、身を切られる思いで弟たちを突き放すところもあり。
あと、写真など新しもの好きで、理系アタマです。世の中の変化に敏感だったことで、熟慮のうえ新政府を選びました。
 
茂栄さんは、兄に利用されまくって翻弄されたのですが、あまり自分の意思を出しません。
なんかホワーンとして文句も言わないし。その割には結果オーライだし、すごい強運の持ち主なのでは…?
 
容保さんは、マジメを絵に描いたような男。気の毒なくらいに。頭は良いし冷静な判断ができるので、朝廷にも幕府にも大変重宝されました。
重宝されすぎて全部しょいこんで苦しみました。
 
末の定敬さんは、天真爛漫で元気いっぱい。桑名藩主として京都所司代に就任し、兄の容保さんを助けました。
「兄上、兄上、」っていつも側にいて、兄上大好きの可愛い弟です。が、兄上大好きすぎて肝心の桑名藩がおろそかになり、家臣たちが見限って別の藩主を立ててしまったので、帰るところがなくなっちゃいました。
 
定敬さんは会津の戦いで兄と別れた後、しばらく行方不明になるんですよね笑(⇦ごめん笑ってしまう)
何してたと言ったら、米沢・仙台に行き援軍を頼んだが断られ、箱館に渡って榎本武揚軍に加わり、その後はメリケンの船で上海に行く。そして「色々無理だった」と言って日本に帰ってきました。
 
なんだこの
フリーダム人間…
 
しかも、明治の世になって罪を許された後は、
「英語を勉強したい」
「外国に留学してみたい」
などと言って、すんごい切り替えの早いやつ。
ポジティブで良いことです。
ザ・マジメ人間の容保さんは、この弟がいたことでかなり精神的に助けられただろうな。
 
 
物語は主に、慶勝さんと定敬さんの目線で語られます。
慶勝さんの立場では、彼は彼で苦しんで、さまざまな角度から最善の方法を考えてきたわけだから、弟たちを裏切ったみたいな形になっても、責める気はしなかったです。
 
しかし・・・
 
全て終わって4兄弟が和やかに談話しても、決して徳川慶喜の話題は出ない。誰もあえて口にしない。
それほど慶喜は、兄弟に暗い影を落としてしまったようです。今となっては、詮ないことですが。
 
 
 
 
TOKYOの街も見納めかな、と思って早朝に散歩してみました。
 
引っ越し作業が全然はかどらないよ・・・
(推しのことばっかり考えているからだよ!!)