またもや幕末ものにどっぷりハマる。
帯の「伊庭八郎」に本屋さんで目が釘付けになりました。
遊撃隊とは、幕府側の銃隊です。
それまでの剣術槍術をやめて、西洋式の銃をあつかう軍隊が編成され、伊庭八郎はその遊撃隊に組み込まれています。
伊庭八郎とは何者なのかというと、
もとは剣術道場の時期跡取りで、養父は幕臣なため最後まで幕府側として戊辰戦争を戦います。
あまりわたしも知らなかったのですが、土方歳三を追っかけているうちに、
この、幕末観光ヒジカタ君というマンガを読み、
左腕をギプスで巻いているのは、それまでの戦いで左腕を斬られて欠損しているからでしょう。
なので函館戦争にて、榎本武揚や土方歳三とともに戦っています。
…そして五稜郭の戦いにて命を落としています。
池波正太郎さんの文体はサクッサクッと、非常に明快に進みますね。
幕府と朝廷で政局がめまぐるしく変わる様、
取り残された各藩の事情、
誰がどういう思惑でどこに味方した、
とか、簡潔にグングン進んでいきます。
その史実の説明と交差して、伊庭八郎と周りの人間模様とか、吉原遊女との恋が描かれていきます。
そして、薩長の官軍側、幕府側どちらが良いか悪いか決めつけることなく、どちらの事情もきちんと説明しているから、
うーん、どうすれば良かったのかなあ…
と読後複雑な気分になりました。
確かに、日本人同士が殺し合った悲惨な戦争だったのですが、ある意味、この程度で済んで良かったのかも。
真に忌避するべきは、虎視眈々と利権を狙う外国に国内を食い物にされる事態だったので。
その点は、新政府軍も幕府軍もトップの思惑は一致していたようです。
まあそんなことを考えてしまいました。
実は五稜郭軍にいたということで、伊庭八郎と土方歳三とのエピソードを期待していたのですが、残念ながらひとつも絡みがなく終わりました…
それだけが、しょんぼりです。