愛しき人よ | Heart of klaxon 〜癌との闘い心のクラクションを鳴らそう〜

Heart of klaxon 〜癌との闘い心のクラクションを鳴らそう〜

育児などの日常生活や闘病での心の葛藤を心の言葉にして。。。
大腸癌、腹膜播種になり大きな開腹手術は6回目。
自己導尿に排便障害の日々。抗ガン剤治療。
そして、肺転移…。
だけど、諦めず生きることにしがみついていたいと思う。

23時30分を過ぎ、いつもより長い長い1日の終わりそうな時間。
病院からの帰り道、高速道路。
両耳がツーンとしていた。。。



その日の朝…。

どれだけ、行きたいと願っていただろう。
行きたくても、行けなくて諦めた場所。
彼女も連れて行ってあげよう。。。

{CBE74338-4D4C-4415-ACAF-3E8BC649073D:01}


彼女から貰ったニット帽を被り、彼女と一緒にスーパーDr.の診察をうけた。


システム変更で混み合った病院。
診察中も、大忙しのスタッフ方や看護師さん。
だから、逆にいつもより長くDr.と色んな話しが出来た。
まるで、彼女の分まで診察してもらっているかのように。。。


この日の診察は、私にとって、内容は深刻なのに、笑いもあり、冗談もありの不思議な感覚。
診察の内容はまた次回書くことにしよう。


その日は、血液検査、点滴に輸血。
長い長い病院での時間だった。

病院に行くまでは、
明日、彼女に逢いに行こう。。。そう決めていた。彼女の顔を見て触れて、ちゃんと話ししたい。。。そう決めていた。


だけど、今の私にその体力がないことを痛感する診察結果だった。
輸血が終わったのが、22時30分を過ぎていた。
明日、悔しいけれど、寂しいけれど、逢いには行けないなぁ。。。

逢いに行くという希望から、お家から彼女に語りかける…と言う現実に変わった。


そう決めざるを得なかった。


こんな時までも、彼女は私の身体を心配して気遣ってくれたのだろう。
あなたは、本当に優しいね。。。

「klaxonちゃん、私の為にムリしないで!」と。。。彼女がそう言って、この結果に仕向けたような気がしてならない。




帰り道の高速道路。
滅多に山道でも耳はつまらない私。
だけど、病院を出てから、ずっと両耳が変だった。
高速道路を走り出し、相方に聞いた。

「何か耳がつまる。しかも両方。」

相方の答え、

「俺もやねん。。。」


思い出していた。
昨年の3月。彼女を病院から乗せて、彼女のお家まで送り届けた時のことを、、

後部座席の彼女とず~っと話しをしながら4~5時間かけて帰ったっけ。
今、まさにその道を相方と二人、車を走らせている。


彼女が乗っている。昨年3月に送り届けた時のように、後部座席に座ってる。

相方と私はすぐそう感じた。


逢いに来てくれたんだね。。。
一緒に今、乗ってるね。
耳が聞こえにくいよ。。。

嬉しい気持ちと、彼女の存在を感じながら声に出して言った。


「ありがとう。。。来てくれたんやね。嬉しいよ。。。
だけど、もう帰るべき場所にかえらないとあかんで…あっきぃ。。。
もう、旦那さんと姫の場所に帰らないとね。
明日逢いに行けなくてごめんね。。。」

彼女の家は、私の家のもっともっと先。

高速道路を下りる頃、耳の状態は戻っていた。

彼女が車から居なくなった。そう感じた。


彼女には、まだまだ伝えたいことがある。
まだまだ、話ししたいことがある。

いつも、いつも、LINEの最後は、お互い同じ言葉だった。

「大好きだよ」


女同士で何を言ってるんだ、と笑う人もいるかもしれない。
だけど、いつしかそれが私達の別れの挨拶になっていた。

ひとことだけLINEが来て、私の名前を呼ぶ。
私も「あっきぃちゃん!」と打ち返す。
すると、すぐ電話が鳴って、励ましあってはすっきりして電話を切ってお別れ。
私と彼女はそれが当たり前だった。


人見知りなのに、人なつっこい性格の彼女。
妹と言う感覚でもなく、闘友とひとくくりでは収まりきらないような気がする。


彼女が言った。

「klaxonちゃん、私よりも先に死なんといてね。。」

この言葉を彼女は何度か口にした。


「何を言ってるの!私はあっきぃよりも、もう10年も長く生きれてるんだからね。
私が、あっきぃよりも長く生きてる10年分は、あっきぃも過ごさなあかんよ。」


今考えると、彼女はなぜそんな言葉を口にしたのかわからない。
だけど、お互いが辛い状況でも、お互いを気にかけ心配していたことは確か。
彼女は、私を励ましてくれていたのだろうか。



彼女が永遠の眠りについたちょうどその頃、私は彼女のことを考えていた。
彼女とのLINEを読み返していた。
他愛もない会話から、病気の症状。
そして、心配な家族の話し。
不安や恐怖。逃げ出したい気持ち。逃げれない現状。


様々な話しの中で、彼女の行き着く言葉をみつけた。

「生きたい。。。」



最近の彼女は、痛みと息苦しさ。そのことに、苦しめられていた。
それでも、闘うしかなかった。

「生きる為に」

諦めるわけにはいかなかった。
たとえ、残された時間を感じていたとしても。


彼女の最期については、とても綺麗な言葉では語れない。


闘いぬいた姿は、とても想像できるものではないから。。。



だけど、

「楽になって、良かったね。」

とは決して言わないであげてほしい。
「良かったね」なんて、思えるはずもない。
時々、苦しい闘病生活から逃れられたのだから、これでよかったんだ。。。と口にする人もいるけれど、私は、そうは思わない。


だって、生きたかったんだから…。その為にずっと闘っていたんだから。

彼女は、楽になりたくて逝ってしまったわけではない。。。私はそう思う。

「生きたくて、生きたくて…」


それでも、どうしようもなかったのだから。


私はまだ、彼女の存在を感じている。


そして、私が生きている限り、私の知っている彼女の話しを伝えていきたい人がいる。


彼女が愛したものは、沢山あるだろう。


その中でも、やはり最愛の娘の姫や旦那さんは、彼女にとって掛け替えなく愛した人に違いない。


そして、姫や旦那さんもまた、彼女のことを掛け替えなく愛している人に違いない。


家族の心配ばかりしていた彼女が、残していった姫や旦那さんのことを考えると胸が張り裂けそうになる。

いつも、いつも、彼女は自分がいなくなってしまった後の家族のことを心配していた。


昨年の12月に逢いに行った時、私に話した。
今よりも一週間後、1カ月後は、もっと悪くなっていて、やりたいことも出来なくなってしまっていると思うから
「今」をもっと大切に生きたいと。

私の枕元には、いつも夢で逢えるように、彼女との写真がある。


{67BA6298-58F5-4E95-8330-BA89A51B05C5:01}



いつでも話しが出来るように、
いつも、近くに感じれるように。。。

お別れを言いに行けなかったこと、本当にごめんなさい。


声を聞けなくなって寂しいよ。逢えなくなって寂しいよ。

笑顔と、泣き顔。。。喋り声に、笑い声。。。
私の脳裏に、心に残っている彼女は、とてもチャーミングです。


ずっとそばにいて。。。なんて言わないよ。

私が、あっきぃを忘れないかぎり、いつもあっきぃはそばにいる。


ありがとう。。。あっきぃ。。。

あなたに出会えて、本当によかった。

大好きだよ。