こんな書き出しをする短編小説を読んだことがある。
内容とかはすっかり忘れてしまったけど…
今...まさに、そういう事なのである。
そんな時期が来たんだな…
若い頃は自分の存在しない世界を夢に見たり...憧れたり...
大好きだったヴォーカリストが謳った様に
【人は毎晩死に…毎朝生まれる...】
そんな風にやり直せたらどれだけいいだろうって…
泣いた夜もあった。
今年の春...いや、それ以前よりわかったいた事
今...
右胸にあるやつは、そいつに間違いないって事
それがわかっていたからこそ、人里離れた山奥に居を構え
ひっそり隠居生活を楽しむと決めたのだから。
春より爆発的に育ったこいつは進行性で...
息子が東京に旅立つ頃には、自らの皮膚を食い破り自壊した。
...安心して東京で生活出来るように...
...まだ...まだ大丈夫。
痛みの止め方もわかってきた。薬の使い方も大丈夫。
トラマドールはまだ在庫がある。
今はまだ...病院のベッドに縛られたくない。
梅雨が終わり...
ぼちぼち旦那さんや子供たちの生活も落ち着いて
仕事ものんびりしてきた頃
いつまでも続く咳が気になって...
血液検査を受けた時。
「腫瘍マーカーの数値が尋常じゃないので、すぐに病院を紹介します」
...って電話を切るとすぐに、港沿いの大きな専門病院の予約専門番号から電話がかかってきた。
否応なしに翌日にはPET-CT。すぐに指定病院が決まって...
自分で運転する車で向かう。
昨日とまったく変わらない私の身体。
その身体はすでに病巣だった。
...いよいよか。
「出来たら家族に話さずに、治療をしたいのですが…」
「もう切除出来る状態ではないので、全身に薬を投与して化学療法をしますが
入院時にご家族の承諾がいるので、ご主人にはお話しておかないといけません。」
う...困ったな…
今後のスケジュールとかやんわりキャンセルして、副作用がどんなもんか様子見ないと...
心臓弱めやから...フェスゴとドセタキセルくらいかな?
一定クールが終わっても緩和ケアしかないわけやけど...
そんならこのまま緩和ケアだけしながら、その時を待つか…
渋々...旦那さんに連絡
長い長い沈黙の後
「頑張って治していきましょう。」
そっか。
あなたの大好きだと言ってくれた、長い髪も抜けちゃうよ。
右手が痺れたまま動かなくなってしまうかもよ。
そうなるともう…
うちのねこたちよりお世話がかかるようになるよ…
「大丈夫。よくなるよ。」
その翌日。
ばっさり髪を切った。
その長さは90cmあった...
その数日後
旦那さんと一緒にステージと余命宣告を受ける事になる。