素晴らしき襖絵の美しさに感動しました~~

              特別公開中ですが椿はまだ少し早かった~~





 真冬の寒い日でしたが、午後からは天気に恵まれ、思わずと言うか久しぶりにノンアルコリックな休日を過ごしました。


 出かけた先は京都市内の、比較的マイナ-な寺院、「円成山・霊鑑寺(れいかんじ)」さん。近くには観光スポットが極めて沢山あるエリアである、左京区「哲学の道」に程近い場所。


 ただこの時期のみ公開している寺院で、毎年「京の冬の旅」と題して、公益社団法人・京都市観光協会が主催する、冬の特別公開を行う幾つかの寺院の一つです。


 白川通りの少し東、哲学の道の全行程中のほぼ真ん中あたりを、更に少し東の坂を登った所にあります。


吹き抜ける風と太陽を浴びて・・・心の行くまま流れるまま・・・  


 門前の坂には最後に石段があります。ここを登れば山門。この日は休日だったにも関わらず、特別公開している事をご存じの方が少なかったのか、観光バスが来る以外ではお客さんはまばらでした。



 さて、歴史的な所を見てみましょう。


 この寺院は臨済宗南禅寺派に属する尼門跡寺院です。もともとはこの位置から少し南の鹿ヶ谷の渓流沿いに位置した為、「谷の御所」または、「鹿ヶ谷比丘尼(びくに)御所」とも呼ばれています。


 承応3年(1654)に後水尾上皇が皇女・浄法身院宮宗澄(じょうほっしんいんのみやそうちょう)を得度入寺させ(開基として)創建し、また円成山・霊鑑寺の山号と寺号を勅許した事に始まります。


 当時は荒廃していた如意寺の如意輪観音像と霊鏡を併せて祀った事から、「霊鑑寺」と名付けたと言われています。


吹き抜ける風と太陽を浴びて・・・心の行くまま流れるまま・・・


 上写真が本堂です。本堂に安置されているのは、その「如意輪観音像」です。恵心僧都の作であり、もともと如意寺の本尊であったと伝えられています。


 如意寺自体は、平安時代初期の承和年間に智証大師・円珍によって創建された寺院であると伝えられていますが、南北朝の戦乱により焼失し、それ以来荒廃・廃絶していました。


 それを後水尾天皇がある夜、霊夢により感得したため、この像を本尊として霊鑑寺を創建されたものとして伝えられています。


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 本堂右手の門を越えると、「池泉鑑賞式庭園」に出ます。 この庭園は東山連峰の大文字山より延びる稜線を上手く使って、書院の南側に作られています。細い池が組み込まれて、立石を使って上手く石組みを配しています。(上右写真)


 江戸時代中期の作庭技法を用いたものです。中央の石灯籠は「般若寺型石灯籠」で、上手く調和させているのは、この頃の技法が素晴らしかった事を物語っています。

 下写真はその書院前の庭園です。


吹き抜ける風と太陽を浴びて・・・心の行くまま流れるまま・・・-17


 現在の書院と玄関は、貞享3年(1686)に後西天皇の皇女・普賢院宮宗栄(ふげんいんのみやそうえい)の時に、後西天皇の院御所旧殿のうち、御休憩所及び御番所を賜って現在地に移建されたものです。


 尚、現在の本堂は、寛政6年(1795)に11代将軍徳川家斉の寄進によって建立されたものです。


 これらの建造物は江戸時代の尼門跡寺院らしく、格調の高さを感じさせる清楚な佇まいを見せていて、共に京都市の文化財に指定されています。


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 さてこの寺院で何より素晴らしかったのが、書院・居間の内部の襖絵。写真が撮れなかったのが何より残念なのです。これは実際に自分の眼で見てみないとどうしようもないのですが、本当に美しくビックリしました。


 狩野永徳や狩野元信・円山応挙筆と伝えられる「四季花鳥図」などの襖絵、歴代天皇(後奈良・正親町・後水尾・後西ら)遺愛の香炉や掛け軸、置物などが数多く残されています。


 特に御所人形の名品は少々気味悪さも感じましたが、当時と同じあどけない表情でしたね。これらの二百点にも及ぶ遺品など、皇室ゆかりの寺宝が多いのも興味深いものでした。



 私が訪れた時は、まだ殆ど咲いていませんでしたが、この寺院は別名、「椿の寺」とも言われて親しまれています。後水尾天皇が愛したと言われる、「散椿(ちりつばき)」や多くの種類の椿が境内裏山に沢山植えられています。


 見頃は3月~4月頃との事でした。秋の楓の頃にも綺麗になるとの事。是非もう一度訪れてみたいものです。


 また一般公開は、1月10日(木)~3月18日(月)までの間です。午前10時~午後4時まで。




「円成山・霊鑑寺」

   〒606-8422 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町12

              TEL 075-771-4040





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