地形の変化を上手く利用した琵琶湖疎水~

              比較的知られていない派流沿いを歩いてみる





 久しぶりに京都の市内に出かけた日、何処に行くか殆ど決めていないまま家を出発して、約40分。


 結局、突然降り立ったのは、市営地下鉄東西線の「蹴上駅」。


 ここから出発する日帰り探訪は、私にとっては比較的ポピュラーなコース。と言っても同じ場所には殆ど繰り返して行く事がありません。

 まあ、京都市内に出れば、何も考えずにどこかの駅で降り立っても、大抵は歩いて行ける範囲に、何かしらの名所旧跡・文化財は必ずあると言っても過言ではありません。


 従って、行く方向だけを決めて、ぶらり旅をしても充分満喫出来るのが、京都の良い所かも知れません。とてもありがたい事です。


吹き抜ける風と太陽を浴びて・・・心の行くまま流れるまま・・・


 で今回は、ある寺院に行ったのですが、その寺院からの帰り道、幾つかある疎水の派流沿いを歩いてみました。


 この辺りというと京都市民は勿論、京都好きの方なら多くの方がご存知の、「南禅寺」界隈に流れる幾つかの疎水の派流。特に有名なのが、南禅寺境内を経由する派流の一部が流れる「水路閣」。


 いわゆる天井川の様な構造になっているもので、滋賀県の大津市から長等山の下をトンネルで引いてきた水路が山科盆地の北部を通り、再びトンネルに入り、この南禅寺境内東部で地上に出ます。


吹き抜ける風と太陽を浴びて・・・心の行くまま流れるまま・・・


 そこから、幾つかの水路に別れるのですが、今回の散策した経路は、その南禅寺境内を流れるルートより、少し北側にある別の水路です。


 多くの京都盆地の川は、南に向かって流れますが、ここの派流の一部は傾斜地を等高線に沿って緩やかに流す為、このエリアのみ川は北側に向かって少しの間流れます。


      吹き抜ける風と太陽を浴びて・・・心の行くまま流れるまま・・・      吹き抜ける風と太陽を浴びて・・・心の行くまま流れるまま・・・


 写真で見て戴いて判ると思うのですが、当時に敷かれたレンガ積みの側溝の一部が残っています。


 そして水の流れは、歩いていて思う傾斜度合い以上に急な流れです。勿論生活排水は条例で直接は流し込みません。従ってとても清流です。


      吹き抜ける風と太陽を浴びて・・・心の行くまま流れるまま・・・      吹き抜ける風と太陽を浴びて・・・心の行くまま流れるまま・・・


 この川沿いを歩いていると何となく、玉川上水をイメージします。勿論規模は全く小さいのですがネ。


 上写真左は途中で横切る、「鹿ヶ谷通り」に渡る橋です。この路を横切るともう少しで上写真右の、「蹴上インクライン下」に流れ込みます。途中で一箇所、他からの派流と合流し、民家の下をトンネルで通り越し、仁王門通り前の直前で、「水路閣」を通って来た流れと合流します。



 こうして見ると琵琶湖疎水も、街中や有名寺院の中を経由して、分散離合して一度この地で貯水され、京都伏見の方まで「疎水」として流されているのですね。昔の人は凄い。


 哲学の路の様に有名所の小道ではなく、滅多に歩く事が無いこれらの沿道にも、近世・明治の歴史を感じる事が出来るものがあるのです。



 久しぶりに地元・京都の穴場的スポットを歩いてみました。それほど時間は要さないですから、もし京都、それも東山界隈を探訪されるなら、是非歩いてみて戴きたいものです。



 いや~、奥深いです・・・。





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