東京都現代美術館の「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」の続き、B1Fの展示です。

有名どころですが、この時期なので最初はこれ出しときましょう、Chim↑Pomです。

敢えてコメントしません。


 千葉和成《「ダンテ『神曲』現代解釈集」時獄篇4-6

   ―福島第一原子力発電所ジオラマ》
福島原発を「神曲」の時獄篇に見立てたもの。地面にヒビが入っているのは断層?

そういえば消防の放水車が出動しましたね、そんな事実まで入れていて、でも全体を黒く塗っているので重苦しく、小さなジオラマの人たちのうめき声が聞こえて来そうです。


 小谷元彦《サーフ・エンジェル(仮説のモニュメント2)》
これが個人コレクションですか! デカ過ぎるでしょ!? 東京近郊で室内でこれが展示できる美術館は、ここと横浜美術館くらいじゃないかな。サーフボードに乗ったランジェリー姿の女性は十字架に架けられたようなポーズをとり顔は見えずに星形に輝く。宗教的な永遠性と快楽的な刹那性が違和感なく一体になっているイコン。


 弓指寛治《挽歌》
この作家も初めて見るかな。水害に見舞われた街に巨大な水生生物、昭和の頃なら特撮映画の世界かもしれないけど、この絵は2016年の作なので、シャレにならないリアルな世界。

実在する街がモデルなのでしょうか、フィクションと悪夢が境界線なく融合しています。


 鴻池朋子《皮緞帳》
鴻池の作品は1Fにも展示あったけど有名どころなのでスキップしました。でも、これはスキップできない、この大きさ、メッタなことでは見ることができないでしょう。

この人にしては珍しく(でもないか?)、カワイイ動物たちも描かれていて、大きさだけでなくそれもレア。これ普段は倉庫に眠っているのでしょうか、もったいない! 岡本太郎の《明日の太陽》みたいに、どこかに常設展示してくれないかなあ。


ガラスで作った藻類や細菌の作品で知られる青木美歌。私も何度も見ているのですが、これには驚きました。

 青木美歌《Her songs are floating
打ち捨てられたような自動車のあちこちにガラス製の藻が生えています。

そもそも湿って柔らかい藻が乾いた硬く脆いキラキラなガラスで作られて、それが廃車にはびこっている、SFやシュール通り越して崇高な感じがします。


 梅沢和木《ジェノサイドの筆跡》
現代の情報の膨大な量とスピードをコラージュとペインティングで表現する梅沢和木。かなり前に取り上げたことあるのですが、このタイトルだし今もう一度見直すべき作品、と思うので載せます。

細部を見るとゴチャゴチャした混乱だけでなく疾走感があります。


 谷保玲奈《ウブスナ》
久しぶりに《ウブスナ》見ます。横浜美術館の小ギャラリーの個展で見たはずで、もしかして高橋龍太郎もそれ見て買い上げたのかも。私の中の日本画のイメージを劇的に変えた絵です。カラフルな多数の動植物が一見カオスのように描かれてますが、構図や配置はちゃんと考えられているようです。

一人の個人コレクションなのが信じられない程の量の現代アート展で、ある意味無節操ですけど、現代アート好きにはおなか一杯の展覧会でした。