東京都写真美術館のB1Fで始まった、ちょっと変わった展示「いわいとしお×東京都写真美術館 光と動きの100かいだてのいえ」、博物館的な展示と絵本の原画と体験型メディアアートの複合展示です。

最初はこの写真美術館で時々やっている、映画発明以前の絵を動かして見せるマジック・ランタンやゾートロープなどの装置の展示です。

以前は展示だけでしたが、今回は観客がレプリカなどを実際に回したり手に取って試せます。
夏休みの子供をターゲットにした展示でしょうけど、これはいい企画ですね、デジタル時代にこれは意義大きいと思います。TikTokで動画見てる子供たちのうち動画は毎秒60の静止画の連続って知っている子供がどれだけいるか。

中盤からは東京オペラシティのICCにあるマシュマロスコープなどのメディアアーティスト岩井俊雄の回顧展的な展示です。
何と最初は彼が子供の頃に作ったパラパラマンガの実物展示、しかも手に持って試せます!

これは岩井が「驚き盤」と名付けた動画装置、これを手に取って鏡の前に立ち、模様が描かれた面を鏡に向けて回し、盤に空けたスリットから鏡に映る動画を見ます。19世紀の昔は馬や人が走ってるだけの単純なものでしたが、岩井のものはそこそこ複雑で、充分作品と言えます。

岩井はいわいとしおとして「100かいだてのいえ」という絵本のシリーズを出していて、かなり売れているそうです。その原画の展示。

面白いですね、絵本の絵って大抵もっとシンプルだと思うのですが、これはかなり情報量が多い。1階ずつ見て行ってページをめくっていくと最後は、

縦開き2ページぶち抜きの絵、これは子供が歓声上げそう。

次はメディアアート。《時間層》のシリーズです。

静止画しか撮れなかったのが本当に残念です。この種のもので等間隔にストロボが点滅して動画に見せるものはいくつも見ていますが、それらは同じ動きを繰り返すだけ。これはストロボでなくTVモニターを使っていて、そこに白や赤青緑などの帯を映すだけなのですが、それで様々な動きが生まれ、色が変化し、複雑な動画になります。


 

この《映像装置としてのピアノ》が本当に面白かった。奥にある自動演奏ピアノを手前の液晶画面上の単純な操作で鳴らします。細かいことは書きませんが、本当に面白い、ピアノが鳴るだけでなく音が色とりどりの形になって昇っていく、いいなあ。

最後に展示されていた進化系の「驚き盤」には本当に驚きました。スリットが等間隔でないので、全く予想のできない複雑な動きをします。