少々ブログ書くの遅れ気味。
東京国立近代美術館のコレクション展MOMATコレクションです。何度も行ってるのですがまだ初めて見るものがあります。

TRIO展でもここのクレーの《黄色の中の思考》が展示されてましたけど、MOMAT展でも

 《花ひらく木をめぐる抽》
《黄色の中の思考》は黄色い面を線で区切ってまあしたが、ここでは面だけの構成、配色の教科書のようなコンポジションです

 《破壊された村》
抽象と具象を組み合わせてファンタジックな世界を描くのも得意なクレーですが、ここではおそらく第一次大戦で破壊された村を描いてます。全然リアリティないですが、リアルな戦争ではなくその記憶でしょうかね。ナチスから退廃芸術の烙印を押されたクレーが描いた戦争を今この時に見るというという意義も考えます。


 アレクセイ・フォン・ヤウレンスキー《救世主の顔》
全然知らない画家だけど名前から東欧の出身ですかね。TRIO展の「まどろむ顔」からのスピンオフ?


 岡本唐貴《制作》
これもスピンオフかな、右半分はデ・キリコみたい。左側の二人は誰で何をしているのでしょう、二段になった空間も奇妙。

TRIO展であの《海》が展示されていた古賀春江、東京国立近代美術館には200点以上作品があって毎回小出しにされてます。

 《観音》
《海》と同じ人が描いたとは思えないですね、題材もタッチも。これが1921年で《海》は1929年、

 《女》
これは1924年、この時代の女性でこれほど変わり続けた画家って他にいないのでは。

TRIO展で東京都大阪の収蔵品3点佐伯祐三がありましたが、もう1点「パリのサロン」というコーナーにもありました。

 《パリ雪景》
やっぱり心象風景だなあ。左下の絵の具を厚塗りした雪道、歪曲された建物、どんよりとした空、小さな人影が一つ、どうしても佐伯の心の投影に思えてしまいます。こんなに重くて寂しいパリの風景ってない。

 ホアン・グリス《円卓》

 アルベール・グレーズ《二人の裸婦の構成》
このあたりも初めて見るかな。この美術館はキュビスムからシュールレアリスムあたりの作品が洋の東西を問わずかなりあるはずなんですが、いつもは日本画含め写実的な絵が中心で物足りなさを感じていたのですが、今回はTRIO展にちなんでこのあたりの絵が多いです。

 ニコラ・ド・スタール《コンポジション(湿った土)》
これも初見かな、面でも線でもなく、プリミティブなタッチによるコンポジション。


 上條陽子玄黄(兆)
この美術館にムンクあったっけ?と思ったら日本人の1977年の作でした。情念みたいな表現が凄いですね。

最後の展示室では過去にアーティストトークやったアーティストのその映像と作品の展示。

 中村宏《空襲 1945》
中村宏作の新収蔵品。爆撃機は実体のない雲、爆弾の落ちて行く先にはもう閃光がある。電線のような線がインターネット/SNSに見えたのですが、どうでしょう。これは第何次世界大戦?

最後は堂本右美。この美術館で見た画で好きになって

 《無題》
その後GINZA SIXの休憩スペースで見て、

もっとみたいなと思っていました。一見抽象画みたいだけど、水滴などは細密にリアルに描かれていたり、不思議だけど心を捉えて離さない力があります。

 《kanashi-11》
アーティストトークでは、背景に写真の一部を拡大して使うこともあるのだとか、なかなか面白いことが知れました。