東京オペラシティのICCで開催中の「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」に行ってきました。

亡くなった時にブログに何も書かなかったけど、坂本龍一はかなり好きで、アルバムほとんど持ってます。彼はメディアアートにも取り組んでいて、10年くらい前の東京都現代美術館の「アートと音楽」でもアドバイザーやってましたね。


最初の展示室では壁一面の大スクリーンに映し出される《センシング・ストリームズ 2023-不可視,不可聴》(ICC ヴァージョン)ライゾマティックスの真鍋大度とのコラボで、電磁波をセンサーで感知して可視化しようというもの。ICCヴァージョンというのはこの場所で検知した電磁波ということ。

コントローラーがあって、これを回したり押したりするとバシバシ映像が変わっていく、観客の介入で変わって行く作品です。デジタル技術で制作されているのに有機的な感じがします。

 

次の展示室は3つの映像作品の連続上映、最初の《レゾナント・エコーズ》は坂本の「Before Long」(アルバム「Neo Geo」の1曲目)が流れる中、その音符から作られたという神経ネットワークのようなCG作品。

私はアルバム「音楽図鑑」のいくつかの曲が浮かびました、「森の人」とか。

次は《Generative MV》、坂本のピアノ演奏の最後の映像が様々に変わって行くというもの。

操作端末みたいなのがあってですね、ここに入力した言葉からAIが即座に動画を合成して背景に流します。右の[ランダム]ボタンを押すとAIが生成した言葉が出て来て[送信]で1秒もかからず背景が火星のスペースコロニーに。

メッチャ早いです。キーボードで入力もできるので、試しに「月面の花火」と有り得ない言葉入れたら、

出ました。
「戦場のメリークリスマス」って入れようかと思ったけど、映画の場面じゃなくそのまんまが出そうなのでやめました。

最後は《The Sheltering Sky - remodel》、映画「The Sheltering Sky」の音符をインプットにして生成された、音響を視覚化したもの。

《レゾナント・エコーズ》よりかなりアナログで、音の群れが有機的に無秩序に流れているような感じです。

3つめの最後の展示室はトリビュート作品がメインです。

坂本と親交のあった李禹煥が最期のアルバム「12」のジャケット用に描いた《遥かなるサウンド》

もう一点《祈り》という坂本の癌からの快癒を願って描かれた作品もありました。今となっては届かなかった祈り(合掌)。


毛利悠子の《そよぎ またはエコー》は自動演奏ピアノを使ったインスタレーション。天井の布を巻いたロールが動いてピアノまで垂れてくると音色が変わり、向こうにあるワイヤーブラシが時々動いて音を鳴らせたり、音の響きに耳を研ぎ澄まさせる作品です。
なんですが、自動演奏するピアノが演奏者(=坂本龍一)の不在をどうしても感じてしまいます。


《PlayBack》は坂本のディレクションにより世界各地のミュージシャンが制作した音源を収めた16枚のアナログレコード。特殊な加工により世界地図が浮かび上がって見えます。これは印刷じゃなく音の溝.。これもある意味音の可視化です。

《insen live (short)》は坂本とカールステン・ニコライのよるパフォーマンスの映像。

反射してしまい写真見ずらいですが、坂本がピアノ、ニコライが電子音を出す装置を即興的に演奏して、後ろのスクリーンには電子音に反応して青い直線が流れ、ピアノに反応して白い形が生成変化します。音だけでなく映像も含めたコラボ。こういうの、もっとやって欲しかったな。

展示少ないですけれど、坂本龍一が音楽の枠を超えて次々と新しい試みに挑み続けたアーティストだということがよくわかるトリビュート展でした。