森アーツセンターギャラリーの「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」の続き、これで最後です。
※掲載する写真の作品には暴力や性的な描写がありますのでご注意ください。
キース・へリングは無名時代のストリートの落書きアートから、ストレートで辛辣に社会にコミットする作品を描いていました。①で掲載した作品では頭が戦車の巨人が両手に燃える札を持っていて左上に「US」と書かれていました。そういう作品は有名になってからも。
これは当時アパルトヘイトという黒人差別政策を続けていた南アフリカ共和国への抗議のポスター。制度は亡くなりましたが今でも世界中に残る人種差別を告発する力があります。
さらにエイズ啓発や差別に立ち向かうことを訴えるポスター。
日本で言う「見ざる聞かざる言わざる」ですが、キース・へリングは「IGNORANCE=FEAR」知らないから怖い「SILENCE=DEATH」黙っていたら行き着く先は死、と訴えます。
核兵器廃絶を訴えるポスターもあります。キース・へリングはけっこう日本贔屓で来日もしていて、掛け軸や扇子の作品もあります。さらにコンサートのポスター。
HIROSHIMA出身のどっかの国の首相に見て欲しいポスターですね。
CRACK、つまり麻薬はやるな!ニューヨークのアーティストというと薬物ヤリまくりみたいなイメージがあって、ジャン=ミシェル・バスキアは薬物で死んだけど、キース・へリングは麻薬撲滅を訴えていました。
《ブループリント・ドローイング》のシリーズは初めて見ます。
描かれているのは人類がやってきたこと、今もどこかで行われていること、そしてしばしば私たちが目を背け、なかったことにしようとすること。
細かくリアルに描いて彩色したら、ただグロテスクになってしまうような絵、それがキース・へリングのタッチだと力強いメッセージになります。
展示のしかたも考えられていて、黒を背景に照明を落とした部屋に斜めに吊られていたて、不安な感じを出しています。
これで終わりにしようかと思ったのですが、たぶん今年最後になるブログで暗く終わるのもどうかと思うので、もう少し続けます。
ピカソの《泣く女》を想わせる、言われなければキース・へリングとはわからない作品。偉大な先輩へのオマージュでしょうか。
最後はこれこそキース・へリングという作品たち。やっぱり好きだなあ。