AIが美術作品を「生成」する時代、アーティストの「創造」と並べて考えてみようという展覧会、東京都現代美術館の「MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ」に行ってきました。

入り口の前に、いきなり「『創造と生成のあいだ』をテーマとする企画展の挨拶文を書いてください。」とチャットAIに質問して帰ってきた3通りの文章が展示されてます。美術展の解説もAIが書く時代が来るかも。


最初は荒井美波という、デジタルとアナログの間をいくアーティスト。漱石の「こころ」や太宰の「人間失格」などの原稿のコピーの上に筆跡をなぞった針金を付けた、文学を立体化(?)した作品や、

スマホが「こころ」などの文章を「生成」していく作品。アナログな筆跡を冷たい金属にしたり、執筆をプログラム化したり、作品としては面白くないけど試みは面白いです。


後藤映則の作品は細長いパイプを輪切りするようにスリットで光を当てて人などの形を浮かび出させ、その光が移動することで動きを生み出します。

これは子供が見ても面白いでしょうね、ストロボライトで動きを生み出すアート作品がありますけど、あれと違って目がチカチカしないし幻想的です。


原田郁など4作家によりデジタル空間に「生成」されたギャラリー。これは平面な壁画ですが、横にあるQRコードから3D空間を鑑賞することもできます。

最近はオンラインのアート展も開催されてますから、これからこういうの増えて行くんでしょうね。
私はゴッホとか絵の具盛ってる絵を3Dで再現してくれないかなって思うんですけど、誰かやってくれないかな。


次はバーチャルギャラリーにも参加した作家やんツーの「重力発電」というメチャアナログで大掛かりなインスタレーション。中庭にある太陽光パネルで発電した電気でワイヤーを巻き上げてバイクを持ち上げ、それが重さでガラガラと降りてくる力で発電して

スマホを充電します。これだけの仕掛けで最後はスマホ充電って、笑っちゃうほどバカバカしい。TEFCOって、バカバカしいけど超面白い。

花形槙はテクノロジーで身体の感覚に変化を加えるパフォーマンスなどをやっているそうで、ここではつま先にカメラを装着しそのモニターを顔に装着して街などを移動する映像などの展示。ふーん、そんな風になるのか、というくらいしか感じないです。自分がその感覚を体験できたらと思いますが、そういう展示は無理かなあ。

菅野創+加藤明洋+綿貫岳海のユニットによるインスタレーションは、あの掃除ロボットによる「戦隊もの」

本来室内で使う掃除ロボットを野外で動かす映像があって、そのためこの隊員たちはかなり疲れた感じになってます。

各隊員のプロフィールがどれもミジメっぽくてユーモラス。この批評性は秀逸ですね。

作品が多かったので今日はここまで。