また行ってきました、東京都渋谷公園通りギャラリーのアール・ブリュット展。今回は「ディア ストーリーズ ものがたり、かたりあう」という「語り」「ものがたり」がテーマです。


最初はミルカというペンと色鉛筆で精密に鳥を描く作家。

細部まで精密でリアル、なのでカラフルな色が全然違和感がなく自然に見えます。

淡い色の背景のタッチが効果的ですけど、これ薄い色を塗ってるのではなく細かい♪などがびっしり書き込んであるんです。なるほど、これが語りなのか。

メインの鳥だけでなく背景にこの描き込み、このこだわりこそアール・ブリュット。

次の山崎健一は2015年に71歳で亡くなった人で、建設現場で働いた経験から船やクレーンなどを方眼紙に書き、メインの形に色や周囲の物でバリエーションを付けて描き続けたそうです。

同じ形にこだわる一方で、そのバリエーションで様々なストーリーが語られます。


NHK Eテレの「no art, no life」で見たことがある松本寛庸の作品の実物を見るのは初めてです。この細かく塗り分けた日本地図は《加藤清正と徳川家康の陣取り合戦》という、もちろん実際の歴史ではなかった完全なフィクションなのですが、まあ硬いこと言わず楽しみましょう。メッチャ細かいです。

このトリプティックは《過去》《現在》《未来》、哲学的でコスモロジカル、でも見ていて楽しくなります。

上が《超新星》で下が《ブラックホール》、よく「無」や「死」のイメージと結びつけられるブラックホールをこんなにカラフルに楽しく描くのはアール・ブリュットならではですね。

hidekiという作家は廃材などを使って空想の街のジオラマを作っては作り替え、を繰り返しているのだそうです。

これだけ細かく細密なのに架空の街なんだそうで、作者の頭の中ではここで様々な人物たちの物語が生まれては消えているのでしょうか。


富永武は大阪釜ヶ崎で働きながら、本で知った「からくり人形」にヒントを得て、主にビールの空き缶でビールを飲む人形や通天閣爆  笑などを作り続けているそうです。

これ全部動きます! この人の作品だけ動画撮影OK。みんな楽しそうに生ビール飲んでます! 

いかん、こっちまで飲みたくなってくる、私はビールじゃなくハイボールだけど。

今回はポジティブで楽しい作品が多かったですね。