アール・ブリュットの展覧会はずいぶん見ましたけど、毎回新しい発見と驚きがあります。

原宿のGYRE GALLERYでは「No Concept - 「THE WORLD」 A place where “No Concept” is allowed - 展」、まあアール・ブリュットはみんなコンセプト無しだから、今さらっていうタイトルですね。

入るといきなり目に飛び込んでくるのがこれ


榎本朱里という作家は勢いに任せて次々と無邪気に色を重ねたような絵を描きます。自分の中から出るエネルギーそのままのような絵に魅かれました。


刺繍かと思ったら「アクリル絵の具、フェルトペン」となっていて驚き。有田京子は絵の具を塗った面に細かく線を書いているようです。

かなり細かい線で、唯一無二のタッチになってます。アール・ブリュットでこの柔らかい色は珍しいかも。


水野貴雄も独特のタッチ。トロピカル系のポップな色使いもいいですね。

この展覧会で私の一番のフェイバリットは世古口幸太、

この人の描く植物が本当にいい。


 

次は渋谷に移動して東京都渋谷公園通りギャラリー、今回は「モノクローム 描くこと」というモノクロームで描く作家の特集です。


吉川敏明は木炭を使って、描くというより大胆に塗ってます。

野菜とか身近にある単純なものを描いてるのですが、単純に紙の白と木炭の黒グラデーションの実験をしているみたい。

高橋和彦はアール・ブリュットには多いタイプの街の絵を描いてますが、とにかく人がいっぱい。

ビルの窓全部に人の顔が描いてあったり、とにかく人であふれてます。人を描きたくて街を描くのか、隅々まで人がいないと不安なのか、とにかく面白い。

この展覧会での私一番のフェイバリットは西岡弘治。

楽譜をモティーフにしたドローイング。これは見ていて楽しくなる。

楽譜自体は空想の楽譜じゃなく、好きな曲の楽譜を見て忠実に描いてるそうです。

色のないドローイングは物足りなさがあるのですが、これはむしろモノクロじゃないとできない世界です。なかなかいい企画ですね。