東京国立近代美術館の「大竹伸朗展」に行ってきました。

 《宇和島駅》
外からもう展示が始まってます。

最近は廃物廃材を使ったアートって珍しくないし、一つのジャンルになってると言ってもいいくらいですが、大竹伸朗は1980年代からやっていた先駆者の一人。

七つのテーマ別展示で、作品には番号が付いてるだけでタイトルや説明はなし。スマホにアプリ「Catalog Pocket」をインストールしてその中の「大竹伸朗展」から作品リストを開いて、展示の番号からタイトルを探します。ペーパーレスはいいけど、これけっこう面倒でした。

最初は「自/他」というテーマで、学生の頃の習作絵画とか、めったに見られないものも展示されてます。

この「青の時代」みたいな《自画像》は好きだなあ。


 《ストラト》
全体的に、初期から最近の作まで、ギターやレコード、レコードジャケットなど音楽に関するものが作品の中に多く使われてますね。

それから「時間」「記憶」と続きます。

 《記憶の形》
廃材の断片や雑誌やチラシの切り抜き等々から作られる作品は、時間と記憶の集積。作者個人の記憶でもあるけど、社会の集団記憶でもあります。


楽器やレコードはよく使うけど、CDやパソコンなどのデジタル物は全然使わないんですね、世代的なものかな。

「時憶」「憶景」「憶片」など、作者の造語をタイトルにした作品も多数。

 《憶景14》

収蔵品展みたいな展示で1~3点くらい見た時は気付かなかったんですけど、組み合わせと集約の方法、そこにペイントなどで手を加えるなど、作品毎に方法を変え模索してるんだ、というのがよくわかります。

様々なものを詰め込んだ小屋と車を組み合わせた大型のインスタレーションも。


 《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》
中にも様々なものが詰め込まれ、外にも古い看板から小さなモニターの映像まで、情報の種類と量がハンパじゃないですね。ここにも音楽に関するものが目につきます。




 《残景14》
ネオンを使ったレトロな作品もあります。


 《スクラップブック #69 /宇和島》
大竹伸朗と言えば廃材アートともう一つスクラップブック。触れられないので捲って見られないんですが、スライドショーや展示室外の映像で中身の一部を見ることができます。
とにかくおびただしい量の切り抜きと集約。マンガや絵本のような物語性のあるものはほとんどなくて、時代や記憶を喚起するイメージ中心に集めてますね。

今回初めて知ったのですが、スクラップブックの中には裏にも装飾してワニや怪獣みたいにしているものがあります。

これは面白かった。確かにこのイメージの反乱は怪物的です。